アンケート記事
新型コロナ禍の自粛ムードも久しく、多くの人で賑わう街や飲食店。飲み会が行われている様子もさまざまなところで見られます。コロナ禍を経て、医師の飲み会にはどのような変化が起こっているのでしょうか。今回、民間医局コネクトでは、飲み会をテーマにアンケートを実施し、医師1,593名、初期研修医181名、医学生455名(※)より回答を得られました。その結果、仕事関係の飲み会は新型コロナ流行前の水準には達していないが、増加傾向にあることがわかりました。また回答からは、飲み会は気疲れや時間を奪われることは嫌だが、仕事上の人間関係を築くためには大切であると考えている様子がうかがえます。主な調査結果は下記のとおりです。
※20歳未満の者の飲酒は「20歳未満の飲酒の禁止に関する法律」により禁止されているため、20歳未満の医学生には、今回のアンケートでは回答権を付与していません。
[ 目 次 ]
❶ お酒を飲む人は7割、飲み会参加率は3〜5割。参加頻度は新型コロナ流行前までは戻らず
❷ 仕事関連の飲み会は、新型コロナ5類移行後より増加傾向。同僚や上司、後輩、医師以外のスタッフなど、日頃働く中で距離感の近い人との飲み会に参加することが多い傾向
❸ 勤務先の人との飲み会は、気疲れや時間を奪われるのは嫌だが、仕事上の人間関係の構築には大切だと考えている
❹ 飲み会1回あたりの理想額は5,000円未満だが、実際使っている額は10,000円未満。店選びの最重要点は、料理が美味しいこと
お酒を飲む人は7割、飲み会参加率は3〜5割。参加頻度は新型コロナ流行前までは戻らず
医師、初期研修医、医学生にお酒を飲むか聞いたところ、約7割がしていると回答し、そのうち2割は「よくしている」と答えました。医師、初期研修医には、仕事やプライベートでの飲み会への参加状況も聞きました。その結果、5割強が「勤務先の人との飲み会に参加」していると回答。「勤務先とは別の仕事関連の人との飲み会に参加」しているのは3.5割で、「仕事とは別のプライベートの飲み会に参加」は約5.5割。飲み会は、プライベート、勤務先の人、勤務先以外の仕事関連の人の順にしている頻度が高いことがわかりました。
また、2019年から現在(2024年)にかけて、それぞれの時期での飲み会への参加頻度についても聞いたところ、参加頻度が最も高かったのが新型コロナ流行前の2019年で、流行中の2020〜2022年が最も低いという結果になりました。2023年の5類移行後から現在にかけて再び頻度は高まっていますが、まだ流行前の状態にまでは至っていません。
飲み会へ参加する際に気をつけている(気をつけていたこと)では、「少人数で行う」「消毒を行う」「体調がすぐれない場合は参加しない」「店内の他グループと接触しない」「マスクを着用」といった項目が、新型コロナ流行前の2019年と現在(2024)を比較すると、回答数が著しく増加しています。
Q 次に挙げる①~④について、ご自身にあてはまるものをお選びください。
※飲み会は、ご自身入れて2人以上(ご家族以外の人)参加で、お店だけでなく、家やオンラインも含めてください。この定義は以降も同じです。
※医学生は①のみお答えください(単一回答マトリクス)
Q 2019~2024年それぞれの時期について、ご自身はどの程度飲み会に参加しましたか。
※この質問の飲み会は、仕事関連・プライベートすべて含めてください。
※医学生は2024年のみお答えください(単一回答マトリクス)
Q 2019~2024年それぞれの時期について、飲み会へ参加する際にご自身が気をつけたこと・気をつけていることはありますか。
※この質問の飲み会は、仕事関連・プライベートすべて含めてください。
※医学生は2024年のみお答えください(複数回答マトリクス)
仕事関連の飲み会は、新型コロナ5類移行後より増加傾向に
2020〜2022年(新型コロナ流行中)、2023年(5類へ移行)、2024年(現在)の各期間に、飲み会へ参加したことがあると回答した医師・初期研修医に、どのような飲み会に参加したかを聞きました。その結果、仕事関連、プライベートともに、現在に近づくにつれて回答数が増加する結果となりました。
各期間の回答母数に対する割合で見てみても、仕事関連の飲み会への参加は、新型コロナ流行中は5割弱(回答母数853に対して391票)、5類移行の2023年は約6割(回答母数1,341に対して803票)、現在(2024年)は約7割(回答母数1,399に対して966票)と、徐々に増加しています。一方、プライベートの飲み会は、全ての期間で8割弱という結果となり、こちらは変動が見られませんでした。ここから、飲み会に参加した方々について、新型コロナの流行により仕事関連の飲み会は控えられた一方で、プライベートでは変わらず行われていたと推測されます。
また、仕事関連の飲み会への参加者が誰であったかを聞いたところ、「勤務先の同僚医師」がトップの507票、僅差で「勤務先の上司や先輩医師」495票が続きました。この2つには回答者の5割以上が答えています。その後に続くのは「勤務先の部下や後輩医師」343票、「勤務先の医師以外のスタッフ」342票で、日頃働く中で距離感の近い人ほど一緒の飲み会に参加することが多い傾向が見られました。
Q 2020~2024年それぞれの時期について、ご自身が参加した飲み会は仕事関連もしくはプライベートでしたか。あてはまるものをお選びください(複数回答マトリクス)
Q 今年(2024年)参加した「仕事関連(勤務先・学会・関連会社など)」の飲み会は、どなたが参加しましたか(複数回答可、回答数966)
勤務先の人との飲み会は、気疲れや時間を奪われるのは嫌だが、仕事上の人間関係の構築には大切
医師、初期研修医に、飲み会への気持ちや考え方について聞いた回答を見ると、あてはまる(あてはまる・ややあてはまる)と答えた項目は、「仕事とは別のプライベートの飲み会が好きである」が約6割でトップ。「お酒を飲むことが好きである」が5割強で、この2項目は5割を上回りました。「勤務先の人との飲み会」と「勤務先とは別の仕事関連の飲み会」の2項目を見ると、「好きである」にあてはまる(あてはまる・ややあてはまる)と答えた割合はどちらも3割強でほぼ同等でしたが、「必要だと思う」は、「勤務先の人との飲み会」のほうがやや高い割合となりました。ただし、あてはまらない(あまりあてはまらない・あてはまらない)と答えたのはともに4割でした。
また、医師、初期研修医に医学生も加えた全回答者に、勤務先の人との飲み会について、さまざまな項目で自身の気持ちや考えがあてはまるかを聞いたところ、「気を遣う」が763票で最多となりました。この項目には回答者の約3.5割が票を投じています。
回答全体を見ると、ネガティブな項目では、「気を遣う」に続いて、「余計なお金がかかる」697票、「翌朝が辛い」567票、「プライベートの時間が減る」567票、「大人数は苦手」554票などが、ポジティブな項目では、「同僚との親睦が深まる」642票、「上司・先輩との親睦が深まる」639票、「チームや部署の親睦が深まる」553票、「美味しいものが食べられる」494票、「仕事がしやすくなる」485票、「楽しい」481票、「名前や顔を覚えられる」475票などが上位となっています。気疲れや時間を奪われるのは嫌だが、仕事をスムーズに進めるための人間関係構築には大切だと考えていることが推察されます。
Q 次に挙げる①~⑥について、ご自身のお気持ちやお考えに近いものをお選びください(単一回答マトリクス、回答数1,774)
Q 勤務先の人との飲み会について、ご自身があてはまると思うものをすべてお選びください(複数回答可、回答数2,229)
飲み会1回あたりの理想額は5,000円未満だが、実際使っている額は10,000円未満
飲み会の費用に関しては、実際にかかった1回あたりの平均額は、「10,000円未満」が32.5%で最多で、「8,000円未満」22.6%、「5,000円未満」21.5%の順となりました。一方で、理想とする金額は、1回あたり「5,000円未満」が35.8%で最多。「10,000円未満」27.6%、「8,000円未満」21.2%の順です。5,000円未満は、実際にかかった金額では2割強ですが、理想額では4割が希望していることがわかります。また、実際にかかった額も、理想とする額も10,000円未満を相場として見ている人も多いこともうかがえます。
飲み会費用の理想は5,000円以内だが10,000円以内は許容するという傾向が見られましたが、自分が飲み会の店を選ぶとなったら、どんな基準を重要視しているのでしょうか。ダントツで票を集めたのは「料理が美味しい」の1,161票で、回答者の6割が答えています。その他で得票数が多かった項目は、「人数や予算の融通が利く」「口コミサイト等でお店の評判がいい」「職場から近いこと」「禁煙や分煙の徹底」「個室であること」などでした。料理が美味しいことが一番重要で、予算や人数の融通、職場からの距離といった条件面、また禁煙・分煙、個室といったお店の環境面で選ぶ傾向が読み取れます。
Q 勤務先の人との飲み会で、「①1回あたりの平均金額」「②ご自身が理想とする1回あたりの金額」はいくらですか(単一回答マトリクス)
Q ご自身が飲み会のお店を選ぶとなった場合、お店選びで重視する点を教えてください(複数回答可、回答数1,923)
[仕事関係の飲み会で良かったこと]
・今まで話したことのなかった同僚と親睦を深めたこと(50代 透析科)
・苦手だと思っていた人とコミュニケーションがとりやすくなった(30代 産業医)
・コメディカルと仲良くなれた(20代 初期研修医)
・飲み会をきっかけに、その後も上司との関係が良好となった(30代 内科)
・手術室メインの先生、看護師さんの素顔が見られて新鮮でした。ざっくばらんに話をできる機会もたまにはいいかと思います(40代 健康診断)
・上司に、普段行かないような素敵な店に連れて行ってもらえて嬉しかった(20代 初期研修医)
・非常勤なので、飲み会がないと他の非常勤医師とは全く会えない(50代 皮膚科)
・救急系の病院で勤務していた頃は体育会系の雰囲気で、それはそれで楽しかったと思う(40代 麻酔科)
[仕事関係の飲み会で悪かったこと]
・あまり話したことのない上司と飲むときは気を遣う。先輩医師のお祝いの飲み会の時に先輩医師のぶんまで払ったので金欠になった(30代 消化器内科)
・こちらの都合はお構いなしに、強制的に参加させられた(40代 麻酔科)
・せっかくコロナで職場の飲み会がなくなったのに、コロナが5類になったあたりで余計な飲み会が軒並み復活したこと。参加させるならば残業代を出してほしい(30代 病理診断科)
・酒が入るとみな声がつい大きくなるので、医療情報が漏れないか気が気でなかった(60代 消化器内科)
・プライベートのことを聞かれた(60代 心臓血管外科)
・初期研修医で薄給なのに、病棟飲み会をした際に医師値段設定で、看護師(ベテラン多し)より大幅に多い金額を払わされ、理不尽だと思った(40代 内科)
・学会中の飲み会は、誰かの悪口はその人間が店にいたという話はよく聞かれるので、ほどほどにしないといけないと戒めている(30代 泌尿器科)
・心底嫌いだった、ワイン好きの先輩のうんちくを聞かされるのが鬱陶しかった(60代 内科)
【アンケート概要】
調査期間:2024年9月12日~14日
対象:「民間医局」会員の医師・初期研修医・医学生
回答者数:2,229人(男性1,471人、女性653人、答えたくない105人/医師1,593人、初期研修医181人、20歳以上の医学生455人)