アンケート記事
宿直や日直、また不規則な勤務シフトなどによって、睡眠をとるタイミングが不規則になりがちな医師たち。十分な睡眠時間の確保や休養は取れているのでしょうか。民間医局コネクトでは、医師・初期研修医・医学生を対象に睡眠についてのアンケートを実施。医師1,730名、初期研修医219名、医学生426名の合計2,375名から回答を得ることができました。
アンケートからは、睡眠に対する関心の高さ、良質な睡眠が取れていないと意識しつつも、具体的な対策がまだ取れていない、これから改善に取り組んでいきたいという、前向きな姿勢を感じることができました。主な調査結果は下記のとおりです。
[ 目 次 ]
❶ 睡眠時間は、平日6〜7時間未満、休日7〜8時間未満が最多。一般的な会社員に比べてやや少ないと答える傾向も見られた。
❷ 半数弱が睡眠の悩みがあると回答。起床時に疲れが残ること、睡眠不足と答えた人が多く、原因の上位は、慢性的な疲労やストレスなど。
❸ 6割が就寝前にスマホ・タブレットを見ると回答。寝床に入ってから入眠までの時間は10分以内が最多。
❹ 約半数が、勤務先で仮眠をすると回答。タイミングは、昼休みが圧倒的多数。
❺ 快眠を得るために現在お金をかけている人は4割弱だが、8割弱が今後かけてもよいと回答。こだわりたい寝具は、枕、布団、マットレス。
平日の平均睡眠時間は6〜7時間が最多。約1割は5時間未満
医師、初期研修医、医学生に平均睡眠時間を聞いたところ、平日は「6〜7時間未満」、休日は「7〜8時間未満」が最多となりました。一方で、理想の睡眠時間を聞いたところ、平日・休日ともに「7〜8時間未満」がトップでしたが、2位は平日「6〜7時間未満」、休日「8〜9時間未満」と差異があり、休日の方が長い睡眠時間を望んでいることがわかりました。
平日の平均睡眠時間に関しては、4時間未満と答えた人はかなり少数(3時間未満0.4%、3〜4時間未満1.1%)でしたが、「4〜5時間未満」には7.7%の人が答えていて、約1割の9.2%は5時間未満の睡眠しか取れていないという実態が見えました。
また、「一般的な会社員(医師・初期研修医の場合)」「一般的な大学生(医学生の場合)」と比べて十分な睡眠時間と確保できているかという質問では、医師・初期研修医は「どちらも変わらない」が最多となりましたが、医学生は「一般的な大学生の方が確保できている」が最も多くの票を獲得しました。
Q 次に挙げる①~④の睡眠時間について、ご自身にあてはまるものをそれぞれお答えください(単一回答マトリクス、回答数2,375)
Q:ご自身と一般的な会社員を比べて、どちらのほうが十分な睡眠時間を確保できていると思いますか(回答数1,949)
Q:ご自身と一般的な大学生(医学生以外)を比べて、どちらのほうが十分な睡眠時間を確保できていると思いますか(回答数426)
睡眠の悩みがある人は45.6%で、50.1%が今後睡眠を改善すると回答
自身の睡眠についての回答結果を見ると、傾向として、睡眠で休養は取れているが、睡眠の時間や質には満足していなく、悩みもある、だから睡眠時間や質を改善したいと考えていることが読み取れました。
睡眠の困りごと・悩みごとについては、「起床時に疲れが残る」「睡眠不足である」「途中で目が覚める(トイレ等)」などの項目が特に多くの票を集めましたが、数は少ないながらも「寝ている間に食べ物を食べてしまう(睡眠関連摂食障害)」などの項目にも票が投じられ、睡眠に関する困りごと・悩みごとの多様性が浮き彫りとなりました。
その原因についてどう考えるかについても質問をしたところ、トップは「慢性的な疲労」で707票。僅差で「ストレス」680票、その後に「就寝前のスマートフォンやタブレットの使用」515票、「不規則な睡眠スケジュール」491票、「生活習慣の乱れ」425票、「加齢」422票などが続き、こちらもまた、さまざまな見解が寄せられる結果となりました。
Q:次に挙げる①~⑤の項目について、ご自身にどの程度あてはまるかそれぞれ教えてください(単一回答マトリクス、回答数2,375)
Q:次に挙げる睡眠に関わる項目について、ご自身にあてはまるものがあればすべてお選びください(複数回答可、回答数2,375)
Q:前問でお選びいただいたようなことが起こる原因は、どのようなものでしょうか。 あてはまるものをお選びください(複数回答可、回答数2,012)
約6割の人が就寝前1時間にスマホ・タブレットを見て過ごしている
就寝1時間前の過ごし方について聞くと、全体の約6割(1,459票)が「スマホ・タブレットを見る」と回答し、複数回答可の設問でしたが、2位の「テレビを見る」539票とも圧倒的な差をつける結果となりました。入眠・起床時間は、いずれも「10分以内」がトップとなりました。
また、使用している枕や「寝具(ベッド・マットレス・敷布団)」のブランド・メーカーについても聞いたところ、大多数が「ノーブランド」か「ブランド・メーカーはわからない」を選択。しかし、ブランドやメーカーわかっている人の中では、枕では「テンピュール(TEMPUR)」、寝具では「エアウィーブ(airweave)」など、人気のブランドがいくつかあることもわかりました。
Q:自宅での就寝1時間前について、ご自身の過ごし方を教えてください(複数回答可、回答数2,375)
Q:自宅でのご自身について、「①寝床に入ってから眠りにつくまでの時間」「②目覚めてから寝床を出るまでの時間」をそれぞれ教えてください(単一回答マトリクス、回答数2,375)
Q:現在ご自身が自宅で使用している「枕」について、どのメーカー・ブランドを使用していますか。あてはまるものを1つだけお選びください(回答数2,375)
Q:現在ご自身が自宅で使用している「寝具(ベッド・マットレス・敷布団)」について、どのメーカー・ブランドを使用していますか。あてはまるものを1つだけお選びください(回答数2,375)
約1割の人が勤務先で仮眠をとっている
回答者のうち医学生を除いた医師・初期研修医に、仮眠をとるかを聞いたところ、とると答えた人は48.6%で5割近くとなりました。タイミングは「昼休み」698票が圧倒的多数で、「突発的な休憩時間」200票が続きました。
また、勤務先での仮眠の質を上げるために行っていることがあるか聞いたところ、7割近くの人が「特になし」と答えましたが、「音楽を聴く」57票、「アイマスクを使用」55票、「昼寝用デスク枕を使用」52票など、少数ながらさまざまな工夫をしている様子もわかりました。
Q:ご自身は勤務先で、仮眠をしますか。※当直を除く(回答数1,949)
Q:ご自身が勤務先で仮眠をとるタイミングに、あてはまるものを教えてください(複数回答可、回答数948)
Q:勤務先での仮眠の質を上げるため、行っていることがあれば教えてください(複数回答可、回答数948)
快眠のために、約8割が今後お金をかけてもいいと回答。行いたいのは、就寝前のスマホ閲覧をやめること
快眠のために、現在かけている金額と今後かけてもいい金額を聞いたところ、現在は6割の人はお金をかけていない(0円)状況でしたが、今後は約8割がお金をかけていいと考えていることがわかりました。
現在かけている金額の内訳は「0円」が61.2%。お金をかけている人は「3,000円未満」18.1%、「5,000円未満」6.3%、「10,000円未満」5.1%、「20,000円以上」4.4%の順で多く、合計では48.7%となりました。今後かけてもいい額の内訳は「0円」が21.6%、かけてもいいと答えた人は「10,000円未満」20.7%、「3,000円未満」17.7%、「5,000円未満」15.9%、「20,000円以上」14.2%の順で、合計では78.3%でした。
また、快適な睡眠のため、日頃行っていることを聞いたところ、「日中適度に体を動かす」664票、「遮光カーテンを使う」639票、「カフェインが入った飲み物を飲まない」568票、「湯船に浸かる」547票が、500票以上を獲得。今後行ってみたいことでは、「寝る前にスマホを見ない」が871票でダントツでしたが、その他にも枕や寝具など環境整備に関する項目にも票が集まりました。
Q:月々にかける費用として、「①快眠のために現在かけている額」「②快眠のために今後かけてもいい額」をそれぞれ教えてください(単一回答マトリクス、回答数2,375)
Q:快適な睡眠のため、「①日頃行っていること」「②今後行ってみたいこと」を教えてください(複数回答マトリクス、回答数2,375)
自由回答:睡眠不足による身体への影響や伝えたいことなど
・イライラしやすくなったりと感情のコントロールが難しくなったり、自律神経が乱れやすくなる(小児科 50代)
・胃腸障害の大半は睡眠障害が合併しており、胃薬だけでなく、睡眠障害の改善が必要なことが多い(消化器内科 40代)
・睡眠不足による肥満や高血圧は予防できうることなので、積極的に睡眠をとるように意識していただきたい。また短い時間の昼寝は集中力向上だけではなく、認知症予防につながることを知っていただきたい(初期研修医 20代)
・更年期症状の一つとして不眠があること(内科 40代)
・睡眠の研究者として、睡眠の規則性が健康アウトカムと関連することが最近報告されており、周知されたほうがいいと思っている(その他 30代)
・睡眠負債は溜めないことが大事ですが、仕事環境や育児では慢性寝不足となることも多く、周囲の協力や社会全体の取組みが必要です(健康診断 40代)
・安易な睡眠薬は避ける(精神科 30代)
・休日の寝溜めは睡眠不足の解消にはならないということ(医学生 20代)
自由回答:快眠のために、最も効果的だと思うこと、周りにおすすめしたいこと
・CBT-iの技法を応用する。ベッドでは睡眠以外では横にならない。眠くなったらベッドに横になることを意識すると良い(その他 30代)
・Pokémon Sleepは、寝る前スマホを徹底的に予防してくれるので、ポケモンに興味がある人もない人もおすすめです(医学生 20代)
・カーテンはあえて遮光にしない。夜間明る過ぎる部屋では難しいと思いますが、朝の陽が入ることで比較的目覚めやすくなります。SwitchBotなどを導入して、寝る時は遮光にして起きる時は陽が入るようにするのも良いかもしれません(神経内科 40代)
・カフェイン入り飲料を14:00以降飲まないこと。お風呂を上がってから寝床につくまで必ず30分以上あけること。お風呂あがりすぐでは暑さで寝つきにくくなるから(医学生 20代)
・テレビやネットの情報に右往左往しすぎず、自分の体質・体調をよく観察して、自分に適した方法をみつけること(皮膚科 60代)
・ベッドのマットレスはこだわって、課金すべき。人生の1/3をベッド上で過ごすので、良いと思ったベッドが高くても購入すべき(小児科 30代)
・ラジオを聴きながら寝落ちするのがおすすめです(初期研修医 20代)
・リズムを崩さないことが重要だと思います。毎日決まった時間に就寝・起床するだけです(眼科 30代)
【アンケート概要】
調査期間:2024年8月8日~10日
対象:「民間医局」会員の医師・初期研修医・医学生
回答者数:2,375人(男性1,598人、女性681人、答えたくない96人/医師1,730人、初期研修医219人、医学生426人)