アンケート記事
年収が高い医師は、自身の資産形成についてどのように考えているのでしょうか。民間医局コネクトは、「民間医局」の会員である医師に「資産運用」についてオンラインでアンケートを実施しました。資産運用やFIREに対する関心は高く、回答した人の約8割が資産運用に取り組んでいることがわかりました。低金利の預貯金よりも「高い利回り」を期待しながら、「節税のため」や「老後への備え」のために運用していることがわかりました。
始めた時期は30代が最多 学生・研修医時代から始めた人も
まず、株式投資・投資信託・暗号資産・不動産などの資産運用をしているかどうか聞きました。回答した人の約8割にあたる277人が資産運用していると答えました。現在、資産運用はしていないが、興味はあると答えた人も合わせると、9割以上にのぼりました。
Q:株式・投資信託・暗号資産・不動産などの資産運用について、先生ご自身にあてはまるものを教えてください。(回答数350)
資産運用をしていると答えた277人に対し、どんな金融商品を保有しているのか聞きました(複数回答可)。最も多かったのは、2024年から制度が拡充される少額投資非課税制度の「NISA」で、7割以上の206人が保有していると答えました。また、「投資信託」、「株式投資」、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」についても、半数以上の人が保有しているという結果でした。このほか、ETF(上場投資信託)は76人(27%)、仮想通貨と不動産投資をしている人も、それぞれ36人(13%)いました。
Q:現在、どんな金融商品をお持ちですか。(回答数277、複数回答可)
資産運用を開始した時期についても聞きました。最も多かったのは「30代の頃」で、4割以上を占めました。一方で、「医学部の学生の頃」と「研修医の頃」、そして「20代の頃」を合わせると、半数近くの人が医師になる前後の早い段階から資産運用を始めていることがわかります。
Q:初めて資産運用をしたのは、いつ頃ですか?(回答数277)
資産運用を始めたきっかけについても聞いたところ、最も多かったのは「余裕資金ができた」で、半数以上が回答しました。次いで「NISAやiDeCoなど、税金の優遇があることを知って」が約4割、「老後の生活資金に不安を感じたから」が約3割でした。余裕資金ができたのを機にはじめる人が多く、安心して老後生活を送るための備えとして資産運用を始めている様子がうかがえます。
Q:資産運用を始めたきっかけは何ですか?(回答数277、複数回答可)
資産運用にかける時間は「30分未満」が約8割。スキマ時間を有効活用
1日のうちで、資産運用にかける時間について尋ねました。8割近くの医師が「0~30分未満」と回答しました。「30分~1時間未満」は13%、「1時間~3時間未満」は9%と、いずれも1割程度にとどまりました。
Q:1日のうちで、資産運用にかける時間はどのくらいですか?(回答数277)
どんな時に資産運用に関する情報を確認したり投資をしたりするかについて聞いたところ、最も多かったのは「帰宅後、自宅で」が107人、次いで「勤務の合間の休憩時間」が100人と、帰宅後や勤務中の空いた時間を活用している人が多いことがうかがえます。「週末や休みの日など、まとまった時間がとれるとき」という医師も91人いました。
Q:資産運用に関する情報を確認したり、投資したりするのはどんな時ですか?(回答数277、複数回答可)
資産運用に関連する情報をどのようにして手に入れているかも尋ねました(複数回答可)。圧倒的に多かったのは「アプリやネットのコンテンツを見る」で、約7割にのぼりました。次いで「本や雑誌などを購入している」、「投資家が運営するブログを見る」で、それぞれ約3割の医師が回答しています。
Q:資産運用に関連する情報は、どのようにして手に入れていますか?(回答数277、複数回答可)
「銀行や証券会社など、金融機関に相談している」、「FP(ファイナンシャルプランナー)に相談している」、「税理士に相談している」はいずれも1割以下にとどまりました。ネットやアプリなどで好きな時に手軽に情報を得る人が多く外部の専門家を通じて情報収集をしている人は少ない印象です。
資産運用をするうえで最も大事だと思うことについて、自由記述形式で尋ねました。
・「余裕資金で無理のない範囲で行うこと」(血液内科・30代)
・「自分がリスクを許容できる範囲で投資すること」(精神科・20代)
・「分散、長期投資」(呼吸器内科・50代)
・「長期投資。勤務中に動きが気になるような投資はしない」(リウマチ・膠原病科・40代)
といった回答が目立ち、リスクを抑えた運用を重視している様子がうかがえます。
このほかにも、以下のような回答が寄せられました。
・「人の意見に流されない」(消化器外科・30代)
・「自分で学んで、経験を積むこと」(精神科・40代)
・「安定した配当金、成長企業に投資すること」(糖尿病代謝内科・40代)
・「リスクに見合ったリターンがあること。 リスクが大きくないこと」(小児科・40代)
・「生活に必要な資金は投入せず、損をしても全く問題がない余裕資金で運用すること。金融市場の上下動に一喜一憂しないこと。下落相場は最大のチャンスと心得ること」(麻酔科・30代)
・「ハイリスク ハイリターン」(内科・60代)
・「投資の目的を明確にし、自分のキャラクターを考えて楽しく投資をする」(小児科・40代)
・「長期投資をできるかどうか。 今日や明日、来月に株価が上がろうが下がろうが、私にはどうでもいいのです」(腫瘍内科・40代)
などという回答もあり、自身で投資へのスタンスを決めている様子もわかります。
また、資産運用に期待していることについても尋ねたところ(複数回答可)、最も多かったのは、「預貯金以上の利回り」で、回答者の約7割にあたる248人の医師が選択しました。次いで「節税のため」が158人おり、年収が高い医師だからこそ、投資の目的が節税という人も多くいました。
「リタイア後の備え」と考えている人が4割、「自分自身に、『もしも』のことがあった場合に備えるため」は約3割と、老後や緊急時のための備えとして資産運用を活用していることもうかがえました。
Q:資産運用に期待することはどんなことですか?(回答数350、複数回答可)
預貯金以外で資産運用している額は500万円未満が最多
資産の状況についても尋ねました。まず、年収について聞いたところ、「わからない・答えたくない」と答えた人を除いた回答者327人のうち、最も多かったのは「1200万~1500万円未満」で61人(19%)でした。以下、「1000万~1200万円未満」が45人(13.8%)、「1800万~2000万円未満」が44人(13.5%)と続きます。全体の回答の傾向から、1000万~2000万円未満がボリュームゾーンであることがわかります。また、2500万円以上を含め年収が2000万円を超える人は53人(16%)いました。
Q:現在の年収を教えてください。(回答数350)
続いて、資産総額についても聞きました。「わからない・答えたくない」(64人)を除いた回答者286人の中で、最も多かったのは「1000万~2000万円未満」で58人(20.3%)でした。以下、「0~500万円」54人(18.9%)、「500万~1000万円未満」39人(13.6%)と続きます。
また、資産運用をしている277人に対しては「資産総額のうち、預貯金以外で資産運用している額」についても尋ねました。わからない・答えたくないと答えた33人を除く、244人のうち、最も多かったのが「0~500万円未満」73人(30%)でした。次いで、「500万~1000万円未満」が61人(25%)、「1000万~2000万円未満」が50人(21%)という結果でした。
約6割がFIREに関心があると回答。「FIREをするつもりで考えている」医師は約1割
今後、取り組んでみたい資産商品について聞きました(複数回答可)。最も多かったのは「株式投資」で、以下「NISA」、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」、「投資信託」と続きました。
Q:今後、取り組んでみたい資産商品は何ですか?(回答数、複数回答可)
昨今、不動産投資などで経済的自由を手に入れることを「FIRE」などと言いますが、医師の仕事を辞めてFIREすることに関心はあるかどうかについても尋ねました。半数の医師が「FIREするかわからないが、興味はある」と回答しました。「すでにFIREをするつもりで考えている」と答える人も1割おり、合わせると6割の人がFIREに関心があると答えました。
Q:医師の仕事を辞めてFIREすることに関心はありますか。(回答数350)
まとめ:FIREに高い関心も、リスクを抑えた無理のない運用傾向
今回のアンケートでは、回答した8割以上の医師が資産運用に取り組んでいると回答しました。「FIREするかわからないが、興味はある」「すでにFIREをするつもりで考えている」という回答が全体の6割を占めたという結果からも、資産運用について高い関心があることがわかりました。
また、高所得の医師にとって、運用益が非課税になるNISAの人気が高く、投資に節税効果を期待していることもわかりました。
【アンケートの概要】
調査期間:2023年5月31日
対象:「民間医局」会員の医師
回答者数:350人
回答者属性:「民間医局」会員の医師
回答を寄せていただいた医師の年齢や診療科目の内訳は、以下の通りです。