アンケート記事
日々忙しく働きながら、患者とのコミュニケーションに気を使ったり、時には患者の命に関わる場面にも対面したりする医師たち。どんなことに、どのくらいストレスを感じているのでしょうか。民間医局コネクトでは、医師・初期研修医・医学生を対象に、ストレスについてアンケートを実施。その結果、2,346名から回答を得ることができました。
多くの医師や医学生は徐々にたまるストレスが自身や周囲に及ぼす影響を自覚し、実際に休職や退職に追い込まれることもあることがわかりました。医師の働き方改革がどのように影響しているのかも含めて、結果を見ていきましょう。
[ 目 次 ]
・医師の7割以上が仕事に対して何らかのストレスを感じている
・医学生は医師の実感以上に、仕事のストレスを感じることになると考えている
・医師・初期研修医がストレスを感じる対象は、給与や今後のキャリア不安、実力不足など、多岐にわたる
・ストレスを感じると答えた項目は、直近1年間でストレスが強まっていると感じている
・「ストレスの直近1年間の変化」について年代別で見ると、50代以降では人間関係や将来への不安、40代・30代は実務に関して、20代は実力不足に対するストレスが強まっていると感じている
・医師はプライベートではしっかり寝て、美味しいものを食べ、自分の好きなことをする。仕事中は飲み物・食べ物を口にするか、休むなどしてストレス解消・緩和を図っている
・医師がストレスや不満を感じた際の相談相手は、「家族・親族」が半数近く。「同僚の医師」、「友人・知人」も、それぞれ2.5割
・約7割の医師が、ストレスが自身や周囲に与える影響を自覚している
・医師は勤務先の周囲の人へは、あいさつや話しやすい雰囲気づくり、相手の話を聞くなど、ストレスを与えないコミュニケーションを大切にしている
・人間関係を良好に保つための研修やセミナーについては、受けたことがある、または受けたみたいと答えた人のほうが多数派となり、興味をもっていることがわかった
・勤務先のストレス解消・緩和サポートは、「特になし/わからない」が最多だが、ストレスチェックを行ったり、相談窓口を設けたりしているところが一定数ある
・医師の1割以上、コメディカルの約2割がメンタルヘルスの不調で休職や退職に追い込まれている
・復帰支援プログラムや取り組みは、「わからない」が56.6%。ある・なしがわかる人の中では、「ない」27.0%、「ある」16.4%で、ないほうが多い
・働き方改革によってストレスは変わらないと考えている人が最多。変わると考えている人では、ストレスが増えると考えている方が多数派
医師の7割以上が、仕事に対してストレスを感じている
医師は仕事に対してどの程度、どのようなことにストレスを感じているのでしょう。また、医学生は医師の様子を間近に見ている中で、将来の自分の姿をどのように想像しているのでしょう。
まずは、現在の職業を聞きました。
回答者は、医師が76.2%(1,788人)、初期研修医が10.8%(254人)、医学生が13.0%(304人)でした。
このうち医学生を除いた医師、初期研修医に対して現在どの程度ストレスを感じているのか、質問しました。
Q:次の「仕事に関連する項目」について、ご自身がどの程度ストレスを感じているか、それぞれ教えてください(単一回答マトリクス、回答数2,042)
多少なりともストレスと感じている項目のトップは、「仕事内容」の76.3%(かなり12.7%、感じている25.5%、多少38.1%)。続いて「総合的に」が74.0%(かなり9.4%、感じている26.9%、多少37.7%)で、この2項目が70%を上回りました。「かなりストレスを感じている」と答えた項目を見てみると、「給与」13.5%、「仕事内容」12.7%、「仕事上の人間関係」10.8%がトップ3で、10%を上回りました。
ストレスを感じていない(あまり・まったく)と答えた項目は、「仕事上の人間関係」39.1%(あまり31.8%、まったく7.3%)、「労働時間・仕事量」38.3%(あまり31.5%、まったく6.8%)、「給与」37.5%(あまり30.7%、まったく6.8%)がトップ3でした。
項目ごとに多少意見が割れるものの、すべての項目で6割以上が多少なりともストレスを感じていると回答し、回答した多くの医師・初期研修医がストレスを感じていることがわかりました。
続いて医学生を対象に、同様の質問を行いました。
Q:次の「仕事に関連する項目」について、ご自身が医師として働く際にどの程度ストレスを感じると思うか、それぞれ教えてください(単一回答マトリクス、回答数304)
多少なりともストレスと感じると思う項目のトップは「総合的に」の94.4%(かなり思う15.1%、思う43.8%、多少思う35.5%)でした。「仕事上の人間関係」の92.4%(かなり思う20.1%、思う37.8%、多少思う34.5%)、「仕事内容」91.1%(かなり思う16.4%、思う35.2%、多少思う39.5%)、「労働時間・仕事量」90.7%(かなり思う26.6%、思う35.5%、多少思う28.6%)が続き、「総合的に」と合わせて4項目で90%を上回りました。
「スキルの維持向上」は72.0%(かなり思う8.9%、思う27.6%、多少思う35.5%)、「給与」は63.8%(かなり思う8.9%、思う16.1%、多少思う38.8%)で、この2つは他の項目と比べてやや少なくなりましたが、それでも6割以上の方がストレスを感じると思うと答えています。
また、医師・初期研修医の結果と比較すると、すべての項目で医学生のほうが、ストレスを感じると思う割合が高い結果となりました。「総合的に」は94.4%がそう答え、ほぼ全員に近い医学生が、医師として働き始めた後に何らかのストレスを感じることになるだろうと考えていることがわかりました。
続いて医師・研修医に、何に対してストレスを感じるか、複数回答可として選んでいただきました。
Q:次に挙げる項目について、ご自身がストレスに感じるものをすべてお選びください(複数回答可、回答数2,042)
ストレスを感じる項目のトップは「給与が安い」の646票でした。次に「自分の実力不足を感じるとき」629票、「今後のキャリアへの不安」598票が続きました。この3つが500票を超えており、回答者の4人に1人以上が選択しました。
その他、「休暇が少ない・取りづらい」451票、「仕事を押し付けられる」368票、「上司の医師との人間関係」365票、「自分のやりたいことができない」358票など、さまざまな項目に票がつきました。
人間関係関連を見ると、「上司の医師との人間関係」365票、「医師以外のスタッフとの人間関係」359票、「患者との人間関係」313票が多く、同僚や部下などの医師との人間関係に答えた人はやや少ないという結果でした。
給与や今後のキャリア不安、実力不足がやや突出していますが、多岐にわたる対象にストレスを感じていることがわかりました。
続いて、医学生に同様の選択をしていただきました。
Q:次に挙げる項目について、ご自身がストレスに感じるものをすべてお選びください(複数回答可、回答数304)
トップは「仕事が激務」の154票。「自分の実力不足を感じるとき」148票、「休暇が少ない・取りづらい」141票、「宿直やオンコールが多い」140票、「上司の医師との人間関係」139票などが続きました。
票が少なかったのは、「ネットでの評価」23票、「院内感染のリスク」42票、「仕事内容が合わない」51票、「勤務先等の業績や将来の不安」58票、「正当な評価を受けていない」59票、「自分のやりたいことができない」63票といった項目でした。
医師の話を聞いたり、働く姿を見たりして、想像しやすい項目(人間関係、働き方・環境など)に多くの票が集まったと言えるでしょう。
本質問でも前述の「どの程度ストレスを感じているか」と同様に、医師・研修医よりも、医学生のほうが多くの項目に答えていました(医師・研修医では回答率30%を上回る項目は2つですが、医学生は13項目で30%を上回りました)。医学生は医師の仕事に対して、実際以上に厳しいものとしてイメージしているのかもしれません。
直近1年間で医師のストレスは強まっている
多くの医師は仕事に対してさまざまなストレスを感じていることがわかりましたが、医師が置かれる環境は、働き方改革や診療報酬改定などにより、常に変化しています。直近1年間では、医師が感じるストレスはどのように変化しているのでしょうか。
医師・初期研修医に、ストレスを「感じる」と答えた項目に関する直近1年間の変化を聞きました。
Q:ストレスに感じている項目について、直近1年間のご自身におけるストレスの強弱をそれぞれ教えてください(単一回答マトリクス)
すべての項目で、「弱まっている(やや・かなり)」よりも、「強まっている(かなり・やや)」が大きく上回りました。22項目中、「ネットでの評価」44.4%を除いた21項目では、半数以上(50%以上)が「強まっている(かなり・やや)」と回答しました。
中でも「正当な評価を受けていない」70.5%、「給与が安い」71.3%、「自分のやりたいことができない」70.1%の3項目は、7割の人が強まっている(やや・かなり)と答えました。
ほとんどの医師・研修医が、ストレスが強まっていると回答し、これは各項目に関する環境が改善されず(変化がなく)、ストレスが少しずつ「たまっている」ということなのかもしれません。
この質問の結果を、年代別に分析してみると、次のような結果となります。
「人間関係」に関する項目は50代以降が、多い結果となりました。また「今後のキャリアへの不安」もこの年代が多く答えています。
その他、「宿直やオンコール」「勤務時間」「休暇」「仕事が激務」「仕事を押し付けられる」といった、実務に関する項目では、40代、30代の働き盛りが答えた割合が多く、「実力不足を感じるとき」は20代が最も高いという結果に。
まとめると、人間関係や将来への不安は50代以降、実務は40代・30代、実力不足は20代が、ストレスが強まっていると感じているということができます。
医師のストレス解消法は?
日々強まる、または日々たまっていくストレスに対して、医師はどのように対処しているのでしょうか。全回答者を対象に、ストレス解消法について質問しました。
Q:ストレス解消・緩和のため、ご自身が行っていることがあれば教えてください(複数回答可、回答数2,346)
「しっかりと睡眠をとる」953票、「美味しいものを食べる」910票がトップ2で、それぞれ4割前後の人が答えました。
「趣味を楽しむ」737票、「旅行やレジャーへ出かける」661票、「運動する」613票、「お酒を飲む」516票、「音楽を聴く」514票、「映画・ドラマ・動画を観る」509票、「ゆっくりお風呂に入る」506票などにも、それぞれ2〜3割の人が答えました。
しっかり寝て美味しいものを食べ、自分の好きなことをすることで、ストレス解消・緩和を図っていることがわかります。
それでは、仕事中に気分転換するには、どのようなことを行っているのでしょうか。医師・初期研修医の方に複数回答可として選んでいただきました。
Q:仕事中にリフレッシュしたいと思った際、ご自身が行っていることをいくつでも教えてください(複数回答可、回答数2,042)
「なにかを飲む」が859票でトップ。「なにかを食べる」638票が続きました。その他、「仮眠をとる」506票、「ネットサーフィンをする」479票、「周りとおしゃべりする」475票、「身体を動かす」466票などが多く選択されました。
仕事中にも手軽な方法で、日々強まるストレスを管理しようとしている姿勢がうかがえます。
ただ自分で管理しきれないストレスについては、他者に相談することもあるでしょう。医師・初期研修医に、相談相手について質問しました。
Q:仕事でストレスや不調を感じた時、ご自身はどなたにご相談しますか(複数回答可、回答数2,042)
ストレスや不満を感じた際の相談相手は、「家族・親族」が1,010票と、2人に1人が答えダントツトップでした。「同僚の医師」544人、「友人・知人」500票で、それぞれ4人に1人が答えていました。
「上司の医師」は274票で、1割強にとどまり、「相談しない/自分で解決」も393票を集め、約2割の人が答えていました。
ストレスを管理する方法として、家族や友人、同僚など信頼できる人に相談することが多いことがわかりました。
医学生にも同様の質問に答えていただきました。
Q:医師として働く際にストレスや不調を感じた時、ご自身はどなたにご相談したいと思いますか(複回答数可、回答数304)
医師として働き始めた際、ストレスを感じたとき誰に相談したいかを聞いたところ、「友人・知人」212票、「家族・親族」168票、「同僚の医師」155票がトップ3でした。それぞれ50%以上が答えました。
「上司の医師」は4番手で、61票。2割が投票していました。
家族・親族や同僚医師、上司の医師だけでなく、友人が相談相手として多く選択されました。
約7割の医師が、ストレスが自身や周囲に与える影響を自覚している
多くの医師が感じているストレスは、医師自身や周囲にどのような影響を与えるのでしょうか。医師・初期研修医にストレスが及ぼす影響について、質問しました。
Q:ストレスに関連する次の項目について、ご自身にあてはまるものがあれば教えてください(複数回答可、回答数2,042)
「特になし」を除く約7割の医師が自身や周囲に及ぼす何らかの影響を自覚 しており、「ストレスが、精神面に影響を及ぼしている」541票が最も多く選択されました。「ストレスが、健康面に影響を及ぼしている」421票、「ストレスを発散できず、抱えている」349票が続きました。
自身の心身への影響に関する項目が多く選択される傾向があるものの、「自分の行動や態度が、周囲にストレスを与えていると感じることがある」301票、「仕事でのストレスを、家庭内に持ち込んでしまっている」281票と、他者への影響も自覚していることがわかりました。
他者と関わることの多い医師という職業ですが、他者にストレスを与えないよう、注意していることはあるのでしょうか。医師・初期研修医を対象に、他者との関わりについて質問しました。
Q:「①部下の医師」「②看護師」「③コメディカル」に対してストレスにならないよう、普段ご自身が行っていることがあれば教えてください。※「部下の医師がいない」等の場合、「該当する人がいない」をご選択ください(複数回答マトリクス、回答数2,042)
部下・看護師・コメディカルともに、彼らのストレスにならないために行っていることは「あいさつを心掛ける」(部下630票、看護師1,007票、コメディカル1,024票)がトップでした。続いて「話やすい・相談しやすい雰囲気づくり」(部下575票、看護師800票、コメディカル772票)、「相手の意見を聞く」(部下546票、看護師675票、コメディカル663票)、「相手にプレッシャーをかけない」(部下515票、看護師562票、コメディカル568票)の順となりました。
ストレスを与えないコミュニケーションを大切にしていることが読み取れる結果となりました。
続いて、医学生に同様の質問を行いました。
Q:周囲の方に対し、ストレスにならないよう、普段ご自身が行っていることがあれば教えてください(複数回答可、回答数304)
「相手の意見を聞く」168票、「あいさつを心掛ける」137票、「話しやすい・相談しやすい雰囲気づくり」137票、「相手の感情に共感」131票という順に多い結果となりました。
医師・初期研修医と同様に、ストレスにならないコミュニケーションを大切にしていることがわかります。ただし、「相手の意見を聞く」「相手の感情に共感」など、より相手を理解しようと心がけている傾向がありました。
医師、医学生ともにストレスを身近なこととして捉え、人間関係に注意していることがわかります。そこで、全回答者を対象に、人間関係に関する研修やセミナーについて、質問しました。
Q:アンガーマネジメントなど、人間関係を良好に保つための研修やセミナーについて、ご自身にあてはまるものをお選びください(回答数2,346)
現在研修やセミナーを受けている人は4.3%、過去に受けたことがある人は17.1%で、2割強が人間関係を良好に保つための研修やセミナーの受講経験があることがわかりました。
今後受けてみたいは43.3%で、4割強が希望している一方で、過去に経験がなく、今後も受けたいと思わないのは、34.8%で3.5割という結果でした。
受けたことがある、または受けたみたいと答えた人のほうが多数派となり、興味をもっていることがわかりました。
5割の医師が、勤務先にメンタルヘルスの不調で休職や退職した人がいると回答
勤務先には上司、同僚、部下の医師、看護師などさまざまな立場の人がいて、それぞれにストレスを感じていると考えられます。そこで、医師・初期研修医を対象に、各立場の人がどのようなストレスを感じていると思うのか、質問しました。
Q:現在の勤務先の方たちについて、どのようなことにストレスを感じていると思いますか。あてはまるものを教えてください。※当該職業以外の方との人間関係:「医師なら、看護師・コメディカルに対して」「看護師なら、医師・コメディカルに対して」といった意味です(複数回答可)
各立場について、各項目に多くの票が集まりましたが、医師は職場の方たちに対してそれぞれ次のように考えていることがわかります。
・上司の医師は、仕事が忙しく休みがとれない、また部下との関係にストレスを抱えている
・同僚医師は、キャリアへの不安や給与の安さ、仕事の忙しさ、休みのなさ、上司・同僚との関係にストレスを抱えている
・部下の医師は、キャリアへの不安や給与の安さ、上司との関係、自分の実力などにストレスを抱えている
・表記以外の医師に対しては、あまり接点がないためか、わからない
・看護師は、わからないことも多いが、給与の安さ、忙しさ、患者との関係などにストレスを抱えている
・コメディカルは、わからないことも多いが、給与が安いことがストレスになっている
それでは、医師の勤務先にはストレスに関するサポート体制があるのでしょうか。医師・初期研修医に対して、現状について聞きました。
Q:現在の勤務先にある、ストレスを解消・軽減するためのサポートについて、あてはまるものがあれば教えてください(複数回答可、回答数2,042)
勤務先のストレス解消・軽減のサポートは、「特になし/わからない」が666票でトップでした。
サポートがある中では、「定期的にストレスチェックがある」の602票が他を引き離してトップ。「相談窓口がある」398票、「意見を言いやすい雰囲気づくりをしている」321票、「ワークライフバランスを支援する取り組みがある」254票が続きました。
「特になし/わからない」が最多ですが、ストレスチェックを行ったり、相談窓口を設けたりしているところも一定数あることがわかりました。
ストレスの多い医療職では、サポートが求められているといえるでしょう。実際、ストレスなどの影響で休職や退職になってしまうことはあるのでしょうか。勤務先の実情を聞きました。
Q:現在の勤務先に、メンタルヘルスの不調で「休職」「退職」した人はいらっしゃいますか(複数回答可、回答数2,042)
「わからない」が最多で707票でした。
わかる範囲では、「医師以外のスタッフ(看護師やコメディカルなど)」の409票、「同僚の医師」328票、「メンタルヘルスの不調で『休職』『退職』した人はいない」308票、「部下の医師」249票、「上司の医師」217票の順で多い結果となりました。
「同僚の医師」「部下の医師」「上司の医師」にはそれぞれ1割以上の人が「いた」と回答し、「コメディカル」は約2割に上りました。
また、「メンタルヘルスの不調で『休職』『退職』した人はいない」と「わからない」と答えた人(計1,015票)はその他の項目へ投票していないとすると、残りの1,027人はいずれかの項目に答えたことになり、回答者の半数が勤務先においてメンタルヘルスの不調で休職・退職した人がいると答えたことになります。
それでは、休職した人が復帰する際には、支援のプログラム等はあるのでしょうか。現在の勤務先の体制について聞きました。
Q:現在の勤務先で、メンタルヘルスの不調で休職した人が、職場に復帰する支援のプログラムや仕組みはありますか(回答数2,042)
復帰支援プログラムや取り組みは、「わからない」に56.6%の人が答え、最多でした。
ある・なしがわかる人の中では、「ない」27.0%、「ある」16.4%で、ないほうが多いという結果でした。
医師の働き方改革により、医師のストレスは「改革」されるのか?
医師の働き方改革は、医師の労働環境を改善することで、労働参加人数を増やし労働生産性を向上させることが目的です。労働環境が改善すれば、医師のストレスは軽減するはず。すでに実感している経験もふまえて、働き方改革によるストレスの変化を全回答者に聞きました。
Q:2024年4月より、医師の働き方改革の新制度がスタートしました。これにより次の項目に関連するストレスが、どのように変化すると思いますか。すでに実感されている経験をお答えいただいても構いませんので、教えてください(単一回答マトリクス、回答数2,346)
すべての項目で「変わらない」が最多で、それぞれ50%以上を占めました。またすべての項目で、「減る(かなり・やや)」よりも、「増える(やや・かなり)」と答えた人の方が多いという結果になりました。
変わらないと考えている人が多い一方、変わると考えている人の中では、ストレスが増えると考えている方が多数派となりました。
大きな制度改革の過渡期にある現在、医師のストレスは変化を実感できる段階になく、個人や勤務先によっては制度の変化をストレスに感じる機会が多くなりやすいと考えられます。医師は環境の変化に合わせて、自身の健康や周囲のために、ストレスを管理する努力が求められているといえます。
【アンケート概要】
調査期間:2024年4月25日~27日
対象:「民間医局」会員の医師・初期研修医・医学生
回答者数:2,346人(男性1,618人、女性623人、答えたくない105人)
執筆者:Dr.Ma
2006年に医師免許、2016年に医学博士を取得。大学院時代も含めて一貫して臨床に従事している。現在も整形外科専門医として急性期病院で年間150-200件の手術を執刀する。知識が専門領域に偏ることを実感し、医学知識と医療情勢の学び直し、リスキリングを目的に医療記事執筆を開始した。一般の方向けの医療解説と、医療関係者向けのコラムを主に担当し、これまでに執筆した医療記事は300を超える。