アンケート記事

2024.06.13

勤務時間は短縮傾向だが、その分給与減少と業務へのしわ寄せが明らかに 〜「働き方改革・施行後について」のアンケート〜

医師の働き方改革が始まりはや2ヶ月。医療現場ではどのような変化が現れているのでしょうか。民間医局コネクトは会員医師・研修医・医学生を対象にオンラインでアンケートを実施。 2,590人から回答が寄せられました。

■医師・研修医

Q 2024年4月から施行した「医師の働き方改革」による、勤務内容への影響についておうかがいいたします。施行前と施行後の変化で、現在のご自身にとって「最も良い変化」「最も悪い変化」の内容を1つずつお選びください。(回答数: 2,228)

 

Q 「ご自身の勤務先で実際に起こっていること」について、あてはまるものをお選びください。(複数回答: 3,140)

Q 「医師の働き方改革」が開始され、今後ご自身は現在の勤務先で勤務を続けますか。また転職についてのお考えや状況について教えてください。(回答数: 2,228)

Q 「医師の働き方改革」によって実際に変化したことや、ご自身にとって気になることなどあれば、どのようなことでも結構ですので、お知らせください。 (自由記述:全文・原文のまま記載)

・労働時間が155時間/月を超えてはいけないため、蓄積している人は当直や手術件数が減らされてしまう。症例のためには時間外をつけないで働く必要が出てくる。 (外科 60代)

・慢性期病院で勤務しています。大学医局からの派遣の外勤が、回数は以前と変わりませんが、これまでと別の先生が来られるようになりました。今後派遣回数の減少に繋がらないか心配です。 (内科 30代)

・病院勤務のままでは何も変わらず、待遇だけが悪化すると思い、昨年度から転職した。 (消化器内科 30代)

・特に非常勤バイトなので恩恵を受けてはいない。法律上、有給休暇取得義務があるはずだが、勤務先では取得しないように未だに圧力をかけられているし、末端にはあまり関係ないかもしれません。 (その他 30代)

・働き方改革に基づいて当直前後の勤務調整などをした結果、往診や救急対応などのデューティーが一部の同僚に交代等のしわ寄せがいっている。 (呼吸器内科 40代)

・働きたいのに働けなくなったため、勤務医をやめて、管理者になった。週4-5当直だが、やりがいがあるためつらくはない。一律に規定するのはおかしい。裁量制にすればよいのに。 (産婦人科 40代)

・当直明けに大きな手術を控えている際には、0時を回った患者の救急を断ることを求められるようになった (消化器外科 40代)

・当直明けに帰宅できる診療科とできない診療科があり、帰宅できない診療科はよりいっそう人気がなくなる (腎臓科 30代)

・当直が宿日直許可をとったため、仕事時間ゼロとなった。退職者がでたが業務量が変わらず、残業規制のためサービス残業が増えた。 (循環器内科 50代)

・転職を検討する医師が増えた、フリーランスになる医師が増えた。 (内科 40代)

・大学病院勤務であるが、外勤日の労働時間を大学病院で働いているという体裁にしなければならず、外勤日以外の日にその分の時間を割り振っている。そのため、普段から20-21時まで労働していることに名目上なってしまったため、時間外が申請できなくなった。 (精神科 30代)

・騒がれているほど実質的な変化は感じないが、形上の定時上がりにより過労で体調を崩した際に「自己研鑽だったでしょ、自己責任だよね」と言われる可能性と、無茶な研鑽がしにくくなる結果、実力をつけるのに一昔前よりも年数がかかる点が気になる。 (総合診療科 20代)

・診療科によって、当直明けの勤務手当の有無が異なる(内科はつく、外科はつかない、整形外科はつく)ので、外科チームが不満をこぼしていた (内科 20代)

・書類上だけ辻褄を合わせて誰が幸せになるのか、この徒労は偉い人たちにはわからないだろうと思う。 (産婦人科 30代)

・順守していれば無理な手術予定が減るはずである。しかしながら、無理な手術予定を立てる主管科が後を絶たない。その結果、麻酔科も当番者でない医師も、残業をすることになる。超勤扱いとなり給料は増えるがそういう問題ではない。当職の勤務する主な病院は大学病院であるから教員としての勉強(例:他大学医学部の試験監督認定に向けて等)、研究の組み立てをする時間が少なくなり医業だけで精一杯となる現状に危機感を抱いている。 (麻酔科 40代)

・自分自身には変化がない。気になるのは、果たして新しいスタイルでこれまでのような医療サービスをやっていけるのか。医師の犠牲で成り立ってきた部分も大きいので、それが減って行くと今までと同じ形でやっていては崩壊するのが目に見えている。 (健康診断 40代)

・産業医をしているが、企業の職員が実際より短く勤務時間を申告するような圧力がかかっており、本末転倒だと感じています。 (産業医 50代)

・厚労省の狙いを知りたい。建前は知っているけれど本音の部分は何なのか。 (精神科 40代)

・研修医を指導する際、働き方改革のため研修医の勤務時間と、自分の勤務時間が合わず、指導ができない。 (呼吸器内科 60代)

・勤務時間は制限されたが、業務量は多く、他の職種(看護師/医師事務作業補助)にタスクシフトできていない。もう少し、厚生労働省からの具体的な他部署への働きかけが必要だと思います。 (糖尿病科 40代)

・急性期病院を辞める人が増えた (呼吸器内科 30代)

・開業医には何の恩恵もありません。 (精神科 50代)

・ビーコンで位置情報を把握されることがストレス。医局で診療業務をしていても、自己研鑽・研究との区別がつきづらいため、時間外の申請をし辛い。 (内科 30代)

■医学生

Q 2024年4月から施行した「医師の働き方改革」による、医師の勤務内容への影響についておうかがいいたします。施行前と施行後の変化で、ご自身がお考えになる、「最も良い変化」「最も悪い変化」の内容を1つずつお選びください。(回答数: 362)

 

Q 「医師の勤務先で実際に起こっていること」について、あてはまると思われるものをお選びください。(複数回答: 770)

Q「医師の働き方改革」によって実際に変化したと思われることや、ご自身が気になることなどあれば、どのようなことでも結構ですので、お知らせください。(自由記述:全文・原文のまま記載)

・これまでに十分な給与を得られていた場合でも、実際に行う業務量は変わらないのに給与は減るという話をあちこちで聞く。自分たちが医師になった場合にそのようになるのであれば働く気がなくなってしまう人たちが出てくるのではないかと思う。 またこれまでもやりがい搾取のような形が横行していたが、さらにそれが加速していくのではないかと危惧している。実際に医学部の定員を増やしても医師数が増えてきていないのは医師を含めた医療従事者の給与が充分ではないため、医師で言えば美容外科のような方向にいってしまうのではないか。 (医学生 30代)

・しわ寄せを被る人への対処はどうするのか (医学生 30代)

・以前まで20時程までしていた整形外科のカンファレンスが早朝に変わり時間削減になった。 (医学生 20代)

・医師の働きを制限している制度で、働いていた事実を自己研鑽とする忖度を強いる状況が生まれている。 (医学生 20代)

・回診やカンファレンスの回数が減っていた。 (医学生 20代)

・学生の実習ですら17時になると気にされることが増え、学習機会が減った。 (医学生 20代)

・勤務が厳格化され、用を足す、部屋から部屋へ移動するといった勤務時間中の些細な事象でさえ業務外とされ、本人のストレス値を無視した給与体制がとられている現状がある (医学生 20代)

・勤務して良い時間が減るのに仕事は減らないので、短い時間でそれまでと同じ仕事をこなさなければならず、強いストレスがかかったり、お給料が実質的に下がってしまったりなどすることが大きな問題であることが気になっています。医師の先生の中にはしっかりとやりがいをもって長時間のお仕事でもがんばれる方が多いのではないでしょうか。それなので、勤務時間をただ短くするだけでは医師の働き方改革の問題の解決にならないと思います。 (医学生 20代)

・研修医の学ぶ機会が失われる(17時以降のオペを見られない等) (医学生 20代)

・言葉が先行している感が否めない。今まで時間外で稼いでいた医師の給与が減ったり、当直回数の減少で初期研修医の経験量が減少したりといったことばかりが耳に入り、あまりうまくいっているようには思えない。 (医学生 20代)

・今の上級医が第一線で活躍できているのは、研修医時代の多大な自己研鑽があったからだろう。働き方改革によって、病院側も、医師を早く帰らせることに固執してしまうと、自己研鑽の場が失われる。そうなったら、自分が将来有能な医師になれるか不安で不安で仕方がない。 (医学生 20代)

・初期研修医がより守られることになったおかけで、後期研修医になったときの仕事量のギャップに苦しまないか心配です (医学生 20代)

・地方への医師派遣が継続されているのか、継続されているとすれば頻度や人数に変化はあるのか (医学生 20代)

・当直が休憩時間とみなされるなど、実際の労働に見合わない対価が支払われることが心配。また3年目以降、大学病院勤務で専門医を取得するにあたり、生活が成り立つのか、その上で家庭をもつことができるのか不安。 (医学生 20代)

・働き方も重要だが、体調や自律神経の整え方、夜勤がある人の睡眠の取り方、栄養、運動、瞑想などについても最新の研究で新たにわかったことがたくさんあるので医療従事者に定期的に啓蒙していく必要があると思う (医学生 20代)

【アンケート概要】
調査期間:2024年6月6日 ~ 2024年6月8日
対象:「民間医局」会員の医師・医学生
回答者数:2,590人

勤務時間は短縮傾向だが、その分給与減少と業務へのしわ寄せが明らかに 〜「働き方改革・施行後について」のアンケート〜

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