アンケート記事
医師としてのアルバイトも含め、本業とは別に収入を得る“副業”を行っている医師はどの程度いるのでしょうか。また、どんな副業を、どのような理由で行っているのでしょうか。民間医局コネクトでは、医師の副業についてアンケートを実施し、2,288名から回答を得ることができました。医師の多くは副業で成果を挙げており、収入以外のメリットも享受していることがわかりました。
【目次】
・現在副業をしている医師は60%強、経験者は80%
・副業内容の大多数が「非常勤勤務」や「講演・セミナー」といった、医師の資格や経験、能力を活かしたもの
・副業の年間収入は、100万円以上」が68.7%、500万円以上が25.4%、約10%(8.3%)は1,000万円以上
・副業をする理由は、生活や子育て・老後など「暮らし」のため、趣味も含めた「自由に使える資金」を得るため
・副業がもたらす収入以外の良い効果は、余裕が生まれる、メリハリがでる、リフレッシュなど「精神的なもの」
・「過去副業をしていたが現在していない人」「副業経験がない人」ともに、“時間”を理由に副業を行っていないという傾向があった
・「過去副業をしていたが現在していない人」「副業経験がない人」の約80%は、今後何らかの副業をしてみたいと考えている
・今後してみたい副業では、回答者の約半数が、医師の資格や経験、能力を活かした仕事を考えている
・起業については、したくないという回答が多数派。してみたい意向を示した中では、「医院・クリニックを開業」がやや多い
・リスキリングとして、医師としての知識を深めること、お金に関する知識を身に付けること、語学に興味を持っている医師が多い
・起業、副業に関する自由回答では、副業について肯定的なコメントが多く集まり、起業については肯定的な意見とともに消極的な意見が寄せられた
医師の80%が非常勤勤務や投資などの副業を経験している
まずは現在の勤務形態をお聞きしました。
Q:勤務形態を教えてください(回答数2,288)
91%が勤務医で、開業医は4%、それ以外が5%。今回お答えいただいた医師の方の大部分は、勤務医でした。
勤務医が中心の回答者に、副業を現在しているか、したことがあるかを聞きました。ここでいう副業には、非常勤勤務やアルバイトで行う診療も含んでいます。
Q:これまでに本業とは別に収入を得る「副業」をしたことはありますか。勤務先以外で医師として勤務するアルバイトも副業としてお考えください(回答数2,288)
64%の医師が、現在副業をしていると回答しました。過去に副業をしていたが現在はしていないと回答した医師は15%で、合わせると約80%が副業を経験していることがわかりました。現在も過去も副業をしたことがない人は全体の21%でした。
それでは、どのような医師が副業を経験しているのでしょうか。性別で分けて、副業経験を見てみました。
「現在『副業』をしている」は、男性68%、女性55%で男性の方が多い傾向がありました。逆に「過去『副業』をしていたが、現在はしていない」は、男性13%、女性21%で女性の方が多いという結果でした。「現在も過去も『副業』をしたことはない」は、男性19%、女性24%で同じく女性の方が多い傾向がありました。
性別で見ると、現在副業をしている割合、副業経験がある割合ともに男性の方が高いことがわかりました。それでは、年代ごとの違いはあるのでしょうか。20代から70代まで、年代別に見てみました。
「現在『副業』をしている」は20代で最も少なく49%、30-40代では増加し60%以上、50-60代では70%を超えて最も多いという結果となりました。20代から50代にかけて、年代が上がっていくにつれて、「現在も過去も『副業』をしたことはない」率が減っていく傾向がみられる一方、「過去『副業』をしていたが、現在はしていない」が大きく増えることはなく、年代が進むごとに副業を新たに始め、一定数の方がそれを継続している様子がうかがえます。
70代以上になると「現在『副業』をしている」は56%に減少し、「過去『副業』をしていたが、現在はしていない」は30%に上昇します。副業をやめるタイミングとしては、60代後半から70代が多いと考えられます。
性別、年代別の集計から、副業は女性よりも男性が、また年代が上がるほどしている人が多いことがわかりました。それでは、副業をしている医師、副業経験がある医師はどのような業務を行っているのでしょうか?
副業を現在している、過去にしたことがあると回答した1,815人を対象に、副業の内容について、複数回答可として聞きました。
Q:これまでに経験したことがある副業はどんなことでしょうか。あてはまるものをすべて教えてください(複数回答可、回答数1,815)
他を大きく引き離して最多となったのは「非常勤勤務(定期・不定期含む)」の1,660票。続いて「株や投資信託など金融商品の投資」が642票、「講演やセミナー講師」が388票という結果でした。
副業内容の大多数が「非常勤勤務」や「講演・セミナー」といった、医師の資格や経験、能力を活かしたものであることがわかりました。次いで「株や投資信託など金融商品の投資」も約3人に1人の割合で票を集め、一部の医師は投資にも積極的であることがわかりました。
多くの票を集めた「非常勤勤務」「講演・セミナー」「株や投資信託など金融商品の投資」について、性別・年代別に集計すると、次のようなことがわかりました。
・「非常勤勤務(定期・不定期含む)」
性別、年代別ともに大きな差は見られませんでした。
副業経験がある医師の90%以上の票を集めており、男性女性問わず、また年代を問わず非常勤の診療に従事している割合が高いことがわかりました。
・「講演やセミナー講師」
性別で分けてみると男性24%、女性13%と男性の方が多い傾向がありました。
年代別で見ると、20代4%、30代15%、40代28%、50代30%、60代34%、70代17%となっており、20代から60代まで年代が上がると多くなるという結果でした。
講演やセミナー講師については女性よりも男性が、また年代が上がるほど行っている人が多い傾向がありました。講演や講師は自分で選ぶというよりは、依頼されるものであるため、女性よりも男性が、年代がより上の医師が依頼されやすいということを意味しているのかもしれません。
・「株や投資信託など金融商品の投資」
性別で分けてみると男性38%、女性28%と男性の方が多い傾向がありました。
年代別で見ると、20代36%、30代39%、40代39%、50代29%、60代21%、70代26%となっており、年代が若い医師がより積極的に投資に取り組んでいる様子がわかりました。
約10%は副業の年間収入1,000万円以上
高い割合で行われていることがわかった医師の副業。医師たちは、どの程度の労力を副業に割き、どのような成果を得ているのでしょうか。
まずは副業を現在している、過去にしたことがあると回答した1,815人を対象に、副業にあてる、またはあてていた時間を聞きました。
Q:1週間で副業にあてる時間は何時間ですか。※過去副業していた方は、当時を思い出しながらお答えください(回答数1,815)
「1〜5時間未満」33%、「5〜10時間未満」36%で、約70%が週10時間以内で副業を行っている(いた)ことがわかりました。一方で「20時間以上」と答えた方も12%いて、1日の就労時間を7〜8時間で換算すると週に3日程度、副業に費やしている医師もいることがわかりました。
週20時間ということは、単純計算で年間1,000時間以上。仮にこれが「時間外労働」で行う「診療行為」だとすると、医師の働き方改革で規定される年間960時間(A水準)を超えてしまいます。そのため、今後は非常勤勤務やアルバイトといった、副業の診療にあてる時間は減少傾向になることが見込まれるのではないでしょうか。
それでは、一定の時間を割いて行っている副業によって、医師はどの程度の収入を得ているのでしょうか。本業による収入と合わせて聞きました。
Q:ご自身の年間の収入を教えてください。※過去副業していた方について、「(本業を除き)副業だけで得られる年間の収入」は副業をしていた当時のおおよその額を教えてください(回答数2,288=本業の年間収入/回答数1,815=副業の年間収入)
本業の収入は、700万円以上が回答者の72%を占めました(「1,000万円未満」以上に回答した割合の合計値)。1,000万円以上に絞ると、56%という結果でした(「1,200万円未満」以上に回答した割合の合計値)。
副業収入のボリュームゾーンは「(100万円以上)300万円未満」で副業経験者の4人に1人(25%)が回答しました。「100万円以上」の合計(「300万円未満」以上に回答した割合の合計値)は69%、「300万円以上」の合計(「500万円未満」以上に回答した割合の合計値)は44%、「500万円以上」の合計(「700万円未満」以上に回答した割合の合計値)は25%でした。副業経験者は、多くの医師が副業だけで数百万円の収入を得ていることがわかりました。
また、副業だけで1,000万円以上の収入を得ている人も、副業経験者の8%を占めました「1,200万円未満」以上に回答した割合の合計値)。副業収入が高額になりやすいのは、大学病院の医師など、外勤勤務の割合が高い医師と考えられます。医師の働き方改革により、副業の診療による収入は減少することが見込まれており、今後はそれを補填するという意味でも、副業の内容が多様になっていくのかもしれません。
副業収入の平均額を性別で分けて見てみると、男性約447万円、女性約315万円と男性の方が高額でした。年代別に見ると、50代の約498万円がトップであり、その他の年代は20代約284万円、30代約420万円、40代約417万円、60代約377万円、70代約324万円。副業収入の高低は、前述の「副業経験」と似ており、男性が女性よりも高く、20代から50代にかけて増加傾向があることがわかりました。
続いて、副業を現在している、過去にしたことがあると回答した1,815人に対して、副業の目的について聞きました。
Q:副業をしている/副業をしていた目的は何でしょうか。過去副業していた方は、当時を思い出しながらお答えください(複数回答可、回答数1,815)
トップは「生活資金」の1,064票、次点が「自分が自由に使える資金」の765票でした。「子どもの教育資金」484票、「医師をリタイアした後を見据えて」418票が続き、4番手には404票で「趣味の一つ」が選ばれました。
副業の目的を年代別に集計すると、次のことがわかりました。
・「生活資金」は、20代から40代の割合がやや高い
・「子どもの教育資金」は、30〜50代の割合が高い
・「自分が自由に使える資金」は、20代、30代の割合が高い
・「医師をリタイアした後を見据えて」は、40代から60代の割合が高い
年代ごとに様々な事情を抱える中、生活や子育て、老後といった暮らしのため、または趣味も含めて自由に使える資金を得るために副業を行っていることがわかりました。
副業の主な目的は収入であるという結果ですが、副業に収入以外の効果は期待できるのでしょうか。続いて副業による、収入以外の効果について聞きました。
Q:副業をすることでどんな効果がありますか。もっともあてはまるものを1つだけお選びください(複回答数1,815)
39%の方が「精神的な余裕が生まれる」と回答しました。「医師の肩書きが活かせる」15%、「医業と副業とでメリハリができる」14%、「リフレッシュできる」13%がそれに続きました。全体的に、副業は精神的に良い効果を生むと答える傾向が見られました。
年代別に集計すると「精神的な余裕が生まれる」は、年代が若くなるほど答える割合が高くなっていました。本業での余裕がまだ十分でない年代では、副業による収入補助や、本業以外の道があるという事実が、精神面にプラスの効果を生むようです。
副業をしない理由は本業や自分、家族の「時間」
副業経験がある人の割合が高い医師ですが、副業をしない、または辞める医師も一定割合います。副業をしない医師は、どのような考えを持っているのでしょうか。
まずは副業経験のない医師473人に、これまで副業をしたことがない理由を聞きました。
Q:これまでに副業をしたことがない理由を教えてください(複数回答可、回答数437)
最多回答は「勤務先の仕事が忙しい」の265票で、「自分の自由時間を確保したい」138票、「家族との時間を優先させたい」125票が続きました。「勤務先からの収入で十分満足している」は60票にとどまりました。
性別で分けてみると、「家族との時間を優先させたい」に回答した人は、男性よりも女性のほうが多いこともわかりました。
副業経験のない人は、本業や自分、家族の“時間”を理由に、副業を行ってこなかったという傾向がわかりました。
続いて、過去「副業」をしていたが、現在はしていないと回答した352人へ副業を辞めた理由を聞きました。
Q:現在副業をしていない理由を教えてください(複数回答可、回答数352)
前問と同様、最多回答は「勤務先の仕事が忙しい」で171票でした。「家族との時間を優先させたい」112票、「自分の自由時間を確保したい」82票が続きました。
性別で分けてみると、「家族との時間を優先させたい」に回答した人は、男性よりも女性のほうが多く、こちらも前問と同様の結果となりました。
これまで副業経験がない医師、副業を辞めた医師は共通して、本業や自分、家族の「時間」を理由に副業を行わず、女性は特に家族との時間を優先させたいと考えていることがわかりました。
続いて全回答者を対象に、今後経験してみたい副業について聞きました。
Q:今後、経験してみたい副業を教えてください(複数回答可、回答数2,288)
「今後も副業するつもりはない」は172票でした。現在副業をしていないのは825人(現在も過去もしていない473人、過去していたが今はしていない352人)であり、そのうち今後も副業を始めるつもりがないのは、20%程度にとどまりました。約80%は、今後何らかの副業をしてみたいと考えていることが読み取れます。
してみたい副業で最多票を集めたのは「非常勤勤務(定期・不定期含む)」の1,116票で、続いて「株や投資信託など金融商品の投資」が597票、「医療相談」が468票となりました。
回答者の多くが医師の資格や経験、能力を活かした副業をしてみたいと考えています。それ以外では各項目に票が分かれ、医師はさまざまな副業に興味を持っていることがわかりました。
多くの医師は副業に肯定的も、起業には消極的
働き方が多様化する中、医師には副業だけでなく起業など、様々な選択肢が増えています。選択肢は医療だけに限定されるわけでもありません。副業、起業や学び直しなどについて医師はどのように考えているのでしょうか。
まずは、「勤務医」の2,089人へ勤務先での副業規定について聞きました。
Q:勤務先から、医師としてのアルバイトすること以外に副業することも認められていますか(回答数2,089)
約半数が「認められている」と回答し、「認められていない」は17%、「特に規定はない」は34%でした。副業を認める勤務先が多く、規定が定められていない機関が多いこともわかりました。
続いて「リスキリング」や「学び直し」について、全回答者に聞きました。医師はどのような知識や資格を身に着けたいと考えているのでしょうか。
Q:昨今、「リスキリング」や「学び直し」をする人が増えています。副業目的に限らず、身に付けたい知識や資格はどんなことですか。(複数回答可、回答数2,288)
多くの票を集めたのは「本業の診療科目の知識を深める」1,143票、「サブ・スペシャリストなど、専門科目の周辺科目の知識を深める」969票、「語学」960票、「確定申告や節税のための税金の知識」912票、「NISAや投資信託、株式などに投資する金融知識」1,017票の5つでした。
おおまかに分類すると、医師としての知識(「本業の診療科目の知識を深める」「サブ・スペシャリストなど、専門科目の周辺科目の知識を深める」)、語学、お金に関する知識(「確定申告や節税のための税金の知識」「NISAや投資信託、株式などに投資する金融知識」)の3種に興味をもっていることがわかりました。
この結果を性別、年代別に集計すると、次のことがわかりました。
・医師としての知識を深めることは、若年層ほど割合が高い
・お金に関する知識を身に付けることは、30、40代の割合が高い
・語学は、男性よりも女性の割合が高い
医師としての経験が浅いうちは医師としての知識を深めたい、収入が上がってくるとお金に関する知識が気になってくる、と言えそうです。女性は前述の通り家族との時間を重視する、ここでは語学にも興味を持つという結果が出るなど、より視野が広いと言えるのかもしれません。
続いて、医師の起業について聞きました。全回答者を対象に、病院やクリニックの開業・その他の医療関連サービス・医療以外の起業をどの程度したいと思うか、質問しました。
Q:医師が起業するケースも増えています。副業ではなく、次のケースで起業をしてみたいと思いますか(単一回答マトリクス、回答数2,288)
「医院・クリニック開業」「その他の医療関連サービス」「医療以外での起業」すべてで、起業したい意向よりも、したくないという回答が上回りました。起業してみたいという回答の中では、「医院・クリニックを開業」がやや多いという結果でした。
副業については多くの医師が経験を持ち実行している一方で、起業に対しては消極的である様子がうかがえます。性別、年代別に集計すると、女性よりも男性のほうが、また年代が若くなるほど、起業意欲が高い傾向がありました。
続いて、医師の副業や起業に対する考えについて、自由形式で回答いただきました。
Q:医師が副業をしたり、起業したりすることについて、どのようにお考えですか。ご自由にお答えください
[副業]
・いいと思う!視野広がるし(代謝内科 30代)
・今後は標準になっていくと思う(代謝内科 40代)
・医師の働き方も多様化しており、様々なニーズもある。発信力のある先生もいらっしゃるし、文才のある先生もいらっしゃる。通常の勤務だけでは発揮しきれないスキルを持っている先生も多く、就業規則や法律に反しないのであればどんどん活躍してほしいと思います(呼吸器内科 30代)
・将来の収入低減リスクに備えるために必要だと思う(血液内科 30代)
・今後インフレが進んだ時、医療費の問題で医師の給料は上がらないと想定される。今から副業などで他の稼ぐ手段が必要である(形成外科 30代)
・本来は、本業だけで生活できるようにしてほしい(リハビリテーション科 50代)
・オンコールや残業の多い職場では副業は難しい(小児科 40代)
・給与のみでは限界があるので致し方ないと思うが、時間的、精神的な拘束が増えるため、QOLは下がると思う。家族がいるかどうかで取り組み方も変わると思う(放射線科 30代)
[起業]
・起業家精神を持つ医師が増えることはいいことだ(皮膚科 20代)
・勤務医だと節税に限界もあり、自分の好きなように働けなかったりするので断然開業したい(美容外科 30代)
・医師で起業した人のSNSなどを目にする機会が最近よくあります。勉強して能力がある人はどんどん起業していけばいいと思います(皮膚科 30代)
・これまでは否定的に見られがちであったがビジネスの世界に飛び込む人も増えていて、社会課題を解決する上で重要な流れであると思う(呼吸器内科 30代)
・副業はいいが、起業はしたくない。リスクを負いたくない(耳鼻咽喉科 30代)
・医師は、医師の業務に集中すべき(泌尿器科 30代)
・起業しましたが大変でやめました(美容皮膚科 30代)
副業については、視野を広げる、能力を発揮する、多様な働き方、収入補助などの面から肯定的な意見が多数寄せられました。起業についても肯定的な意見があるものの、リスクを取りたくない、一部の限られた人ができるもの、といった消極的な意見が多く見られました。
あくまで本業としての「診療」があり、副業は副業として捉えている(副業を本業にするつもりはない)方が多数派である、と言えそうです。
医師の働き方改革が副業に与える影響は?
医師にとって、外勤での診療や当直アルバイト、講演依頼などの副業は元々慣れ親しんでいたものです。今回のアンケートでも、大多数の医師が副業を経験、または実践しており成果を挙げていることがわかりました。この状況は今後も続いていくと思われますが、今後「医師の働き方改革」による影響を受ける可能性があります。
働き方改革は、多様な働き方やキャリア形成を促すため副業を勧めていますが、医師の場合は「長時間労働の是正」を同時に達成したいという、一定の矛盾を含んでいます。本記事の「副業にあてる時間」「副業の収入」に関する質問のところで述べたように、副業の診療は時間外労働とみなされ、規制の対象になる可能性があります。
規制を受け、非常勤勤務やアルバイト診療の減少が見込まれる中、自分に合った副業や、十分な収入を得られる副業を選び実行していくには、制度の理解や工夫が必要になると思われます。
自らの働き方をデザインし、自分だけのキャリアを築いていくため、副業について検討するきっかけにしていただければと思います。
【アンケート概要】
調査期間:2023年9月28日~10月4日
対象:「民間医局」会員の医師
回答者数:2,288人(男性1,674人、女性525人、答えたくない89人)
執筆者:Dr.Ma
2006年に医師免許、2016年に医学博士を取得。大学院時代も含めて一貫して臨床に従事している。現在も整形外科専門医として急性期病院で年間150-200件の手術を執刀する。知識が専門領域に偏ることを実感し、医学知識と医療情勢の学び直し、リスキリングを目的に医療記事執筆を開始した。一般の方向けの医療解説と、医療関係者向けのコラムを主に担当し、これまでに執筆した医療記事は300を超える。