アンケート記事
アルバイトなどを行うことで確定申告の義務が生じることが多い医師たち。一連の作業やe-Taxといった制度などについてどのように捉えているのでしょうか。民間医局コネクトでは、医師の確定申告についてアンケートを実施し、1,868名から回答を得ることができました。アンケート結果からは、多忙な業務の合間を縫って、自分一人で確定申告を行っている医師の多さが読み取れました。
[サマリー]
・確定申告は自分自身で行った人が76%
・作業にかかる日数は、「1日未満」が4割を占めた
・大変なのは「領収書など必要書類のとりまとめ」
・「e-Tax」を利用したことがある人は75%
・税理士に依頼したことがある人は少数派
・8割以上が「確定申告は面倒」と思っている
76%が確定申告を「自分で行った」と回答。8割が3日以内で終えている
医師の皆さんは、ご自身の確定申告をどう行っているのでしょう。アンケート結果からは、「どこにも相談せずご自身で」「1日未満で」行ったという声が目立ちました。
76%と大多数が「ご自身」と回答。次に多いのが「税理士」に依頼した人で14%でした。「ご家族」が行った人も5%いることがわかりました。
Q:ご自身の「2022年分(一昨年/令和4年)」の確定申告について、作業はどのように行いましたか(複数回答可、回答数1,413)
確定申告をしたと答えた1,413人の医師に聞いたところ、「どこへも相談せずすべてご自身で行った」が1,271票で大多数を占めました。「ご家族に手伝ってもらった」は90票でした。
Q:ご自身の確定申告について、一連の作業にかかる通算日数を教えてください(回答数1,413)
続いて、確定申告をしたと答えた1,413人の医師に、作業にかかる日数を聞きました。
「1日未満」が40%、「1日以上〜3日未満」が39%で、8割の方が3日未満で作業を終えていることがわかりました。一方、「10日以上」と答えた人は4%。短期集中で作業を進めている様子が読み取れます。
Q:ご自身の確定申告について、大変だと思うことをいくつでもお選びください(複数回答可、回答数1,413)
確定申告をしたと答えた1,413人の医師へ、大変だと思うことを聞いたところ、トップが「領収書など必要書類のとりまとめ」で930票でした。次いで、「集計結果の入力、記入」が495票、「データの集計」457票となっています。
「確定申告についての勉強」は325票と一定数おり、申告書の作成や申告方法などの情報収集に時間を使っていることがわかります。「毎回の帳簿づけ」は133票と少数でした。
ほとんどの医師が「e-Tax」を認知。75%が利用している
確定申告のオンライン利用状況はどうなっているのでしょうか。インターネットから納税できる「e-Tax」について、その利用率や認知率、メリット・デメリットについて聞きました。
Q:インターネットから納税できる「e-Tax」について、ご自身にあてはまるものをお選びください(回答数1,413)
確定申告をしたと答えた1,413人に「e-Tax」の利用について聞いたところ、75%が「e-Tax」を「利用したことがある」と回答しました。「知っているが利用したことはない」は24%。「知らない」と答えたのは1%のみとなり、ほとんどの人に認知されていることがわかりました。
Q:「e-Tax」について、ご自身が「良い」と感じる点を教えてください(複数回答可、回答数1,399)
では、「e-Tax」のどんなところに良さを感じているのでしょう。前述の質問で、「e-Tax」を利用したことがある・知っているが利用したことはないと答えた人に聞いたところ、他を引き離して最も票が集まったのは「自宅で作成できる」の1,252票でした。次に、「控除証明書など添付書類を省略できる」が505票。「申請の訂正が簡単にできる」が303票、「2月15日以前から申告を受け付けてくれる」が251票となりました。
「e-Tax」には、「書面での提出より、還付金が早く受け取れる」という利点もありますが、集まったのは180票で、「その他」を除くと最も票が集まりませんでした。
利用にあたっては、申告の際の“手軽さ”を重視している傾向が表れました。
Q:「e-Tax」について、ご自身が「良くない」と感じる点を教えてください(複数回答可、回答数1,399)
一方、「e-Tax」の良くない点はどんなところに感じているのでしょう。「e-Tax」を利用したことがある・知っているが利用したことはないと答えた人に質問したところ、「導入手続きが煩雑、わかりにくい」が537票でトップでした。約50票差で「ICカードリーダライターの取得に手間や費用がかかる」の487票が続き、導入までの手間をデメリットに感じる方が多いようです。
ほかには、「電子証明書の取得に手間や費用がかかる」が275票、「セキュリティに不安がある」が275票、「マイナンバーカードの取得が必要」が257票とほぼ同数となりました。
税理士へ依頼したことがある人は少数派
煩雑な確定申告の作業を、専門家である税理士にお願いする人は一定数います。
医師の皆さんはどれくらいの方が税理士を利用しているのでしょうか。依頼状況やその理由について聞きました。
Q:これまでに、ご自身の確定申告を税理士へお願いしたことはありますか(回答数1,592)
最初に聞いた「2022年分(一昨年/令和4年)」のご自身の確定申告は、どなたが行いましたか」の問いに「税理士」「その他」「答えたくない」と回答した人を除いた1,592人に、税理士への依頼状況を聞きました。その結果、「過去にお願いしたことがある」人は10%に留まり、90%の人はこれまでに一度もないことがわかりました。
Q:ご自身の確定申告について、いつから税理士に依頼していますか(回答数261)
続いて「2022年分(一昨年/令和4年)」のご自身の確定申告は、どなたが行いましたか」の問いで「税理士」と答えた261人に、いつから税理士に依頼しているかを聞きました。「2022年分」が初めてと答えた人は6%で最小。最も多いのは10年以上前で30%でしたが、その他にもまんべんなく回答が分散しています。税理士に確定申告を依頼している人は、9割以上が過去にも依頼した経験を持っていることがわかりました。
Q:現在の税理士に決めた理由で、最もあてはまるものをお選びください(回答数261)
同じく、最初の問いで「税理士」と答えた261人に、現在依頼している税理士に決めた理由を聞きました。
決めた理由のトップは「友人・知人からの紹介」で52%という結果に。次点は「知識が豊富だった」の14%で、「コストパフォーマンスが良かった」が12%、「その他」が10%、「人間的に信頼できた」が10%と続きます。「事務所のネームバリュー」は2%で、ほとんど決め手とはなっていないことがわかりました。
Q:税理士へ依頼することは、ご自身にとってどのような「メリット」がありますか(複数回答可、回答数421)
「2022年分(一昨年/令和4年)」のご自身の確定申告は、どなたが行いましたか」の問いに「税理士」と答えた261人に加え、「これまでに、ご自身の確定申告を税理士へお願いしたことはありますか」の問いで「過去にお願いしたことがある」と回答した160人の合計421人に、依頼するメリットを聞いました。
上位を占めたのは、「時間の節約になる」(284票)、「正確な申請ができる」(279票)で僅差でした。次いで、232票で「手間の節約になる」が続き、正確な申請ができる点のほか、多忙な中での時短、業務削減に価値を置いていることがわかります。
尚、「節税対策ができる」は106票にとどまりました。
Q:税理士へ依頼することは、ご自身にとってどのような「デメリット」がありますか(複数回答可、回答数421)
一方、依頼するデメリットについてはどう感じているのでしょう。前の問いと同じ421人へ質問したところ、「費用がかかる」が323票で他を引き離して1位という結果に。次に、「自分の税の知識が増えない」が87票、「打合せなどで時間が取られる」が60票となりました。
費用がかかることがデメリットと感じている人が多数派であることが読み取れます。
確定申告は「重要なこと」ではあるけれど、やっぱり「面倒」!
確定申告では、ポイ活で貯めたポイントも対象となりますが、なかなか知られていないのが現実。医師の皆さんにも、知っているかどうかを聞いてみました。
また、最後の問いでは、医師の皆さんが確定申告についてどんな気持ちを抱いているのかうかがいました。
Q:ポイ活で貯めたポイントは、確定申告が必要となる場合があります。この点について、ご自身にあてはまるものをお選びください(回答数1,592)
ポイ活で貯めたポイントは確定申告が必要になる場合があります。その事実について、「知らない」人が56%で最多となり、認知率の低さにまだまだ課題があることがわかりました。
「『ポイ活ポイント』を確定申告したことがある」人は5%と少数派。「『ポイ活ポイント』を確定申告したことはないが、知っている」人は39%で、知っている人は計44%に留まりました。
Q:確定申告に関する項目ついて、ご自身の気持ちにあてはまるものをそれぞれお選びください(単一回答マトリクス、回答数1,868)
最後に、確定申告に関して、自身の気持ちに当てはまるものを聞きました。その結果、10項目中8項で「かなりそう思う」「ややそう思う」の合計が50%を超えました。下回ったのは「確定申告は税理士に任せたい」「確定申告を自分で行うのは難しそう」の2つでした。
「かなりそう思う」と回答した人が一番多かった項目は「確定申告は面倒」の46.7%。一方で「確定申告は自分にとって重要なこと」に対して、42.9%の人が「かなりそう思う」と答えています。
勤務医でも、条件次第で確定申告が必要に
多くの医師にとって身近な確定申告。勤務医の場合は勤務先が年末調整を進めるため、確定申告をする必要はありません。ただ、年間の給与収入金額が2,000万円を超える場合や、常勤先以外で収入が年間20万円以上になる場合には、確定申告が必要になります。
今回のアンケート結果からは、ご自身で行う人が多数派であることがわかりました。時間短縮や手間の削減を優先し、税理士に相談してみるのも一つの方法。自分に合ったやり方を模索できるといいかもしれません。
【アンケート概要】
調査期間:2024年1月11日~2024年1月17日
対象:「民間医局」会員の医師
回答者数:1,868人(男性1,394人、女性409人、答えたくない65人)