アンケート記事
医師が診療科目を選ぶ際、どんなことを重視して決めたのでしょうか。民間医局コネクトは会員医師を対象にオンラインでアンケートを実施。1218人から回答が寄せられました。9割超の医師が現在の科目を選んで良かったと答える一方で、再び診療科目を選び直せるとしたら、今と同じ科目を選ぶと答えた人が半数を超える一方で、「選ばない」と回答する人も1割超いました。また、3割の人が「わからない、答えられない」としました。診療科目を選んだポイントや、選び直すとしたらどの科目に行きたいのか、また自分の子どもや医学生へ勧めたい科目についても聞きました。
9割以上が現在の診療科目を選択して「良かった」と回答
まず、現在の診療科目を選択したことについて、どのように感じているのかを聞きました。最も多かったのは「良かった」で60.7%(739人)、次いで「非常に良かった」が33.9%(413人)でした。合わせて9割以上が好意的に感じていることがわかります。
一方、「良くなかった」と答えた人は5.0%(61人)、「非常に良くなかった」と回答した人は0.4%(5人)という結果でした。
Q:現在の診療科目を選択したことについて、どのように感じていますか。(回答数1218)
Q:現在の診療科目を選ぶ際、重視したことを3つまで教えてください。(回答数1218/3つまで選択可)
現在の診療科目を選ぶ際、重視したことを聞きました(3つまで選択可)。突出して多くの回答を集めたのが「興味・関心がある」で58.8%(716人)でした。その他には、「勤務時間や休日など、ワークライフバランスがとれる」が27.8%(338人)、「医局の雰囲気がよさそう」が22.6%(275人)、「急な呼び出しが少ない」が17.5%(213人)と、働き方や職場の雰囲気に関するものも、それぞれ2~3割の医師が選択しています。
医師を志した当初に希望した診療科目と異なる科目に進んだ人は約7割
Q:現在の診療科目を選んだのはいつ頃ですか。(回答数1218)
現在の診療科目を選んだ時期について尋ねました。多かった順に、「初期研修医の頃」が56.9%(693人)、「医学部の学生の頃」が34.7%(423人)、「医学部に入学する前」が8.4%(102人)という結果でした。
Q:医師を志した当初、興味・関心があった診療科目と、実際に進んだ診療科目に違いはありますか。(回答数1218)
医師を志した当初、興味・関心があった診療科目と、実際に進んだ診療科目に違いはあるかを聞きました。65.8%(801人)が「医師を志した当初に希望した診療科目とは異なる科目に進んだ」と回答。「医師を志した当初に希望した診療科目に進んだ」という医師は34.2%(417人)でした。
当初に希望した診療科目と異なる診療科目に進んだ人について、多かった科目の上位5つは「内科から精神科」が14人、「小児科から精神科」「消化器外科から消化器内科」がそれぞれ9人、「産婦人科から麻酔科」が8人、「外科から内科」が7人という結果になりました。
Q:医師を志した当初、興味・関心があった診療科目と、実際に進んだ診療科目に違いはありますか。(回答数1218)と、Q:現在の診療科目を選ぶ際、重視したことを3つまで教えてください。(回答数1218/3つまで選択可)をクロス集計
「医師を志した当初、興味・関心があった診療科目と、実際に進んだ診療科目に違いはあるか」という質問と、「現在の診療科目を選ぶ際、重視したこと」という質問でクロス集計を行いました。当初の希望通りの科に進んだ医師と、違う科目に進んだ医師とで、診療科選びで重視したポイントの違いはあるのかを分析しました。
当初希望した診療科目の通りに選んだ医師で「興味・関心がある」と答えた人は、違う科を選んだ医師よりも多いという傾向がありました。一方で、違う科を選んだ医師は「勤務時間や休日など、ワークライフバランスがとれる」「急な呼び出しが少ない」「結婚・子育てがしやすいかどうか」などを重視した人が多いことがうかがえます。
もしも診療科目を選び直せたら…現在の科目を選ぶ人は5割超 15%の人は「選ばない」
Q:再び、診療科目を選び直せるとしたら、現在の診療科目を選びますか。(回答数1218)
診療科目を選び直せるとしたら、現在の診療科目を選ぶかどうかについて尋ねました。多かった順に、「選ぶ」が52.5%(640人)、「わからない、答えられない」が31.8%(387人)、「選ばない」が15.7%(191人)という結果になりました。
再び現在の診療科目を「選ばない」と回答した191人に対して、診療科目を選び直せるとしたらどの診療科目を選択するのかを聞きました。加えて、その理由や現在の診療科目と比較した魅力についても尋ねました。選び直したい診療科目として選ばれた数が多い順に、自由回答の一部を紹介します。
【皮膚科】
・保険診療もあるが、美容分野へ行きやすく自由診療も出来るので(耳鼻咽喉科・30代・女性)
・需要の大きさ、開業のしやすさ、研究領域の大きさ、自由診療の発展性(腎臓科・40代・男性)
・緊急が少ない。定時で終わるので家庭を持った人にもいい(外科・30代・女性)
・あまり命に関わらない点が良いなと思います。手術も好きです(救命救急科・30代・女性)
・需要が多く重症者が少ない(消化器内科・20代・男性)
【精神科】
・心の問題に関心があり、あまり年齢に制限なく、医療を続けられるから(その他・60代・男性)
・1人1人の患者さんの話を良く聞けること。急変や夜間呼び出しが圧倒的に少ないこと(呼吸器内科・30代・女性)
・思ったより診察の時間がとれておらず不満なので、まとまった時間の診察で患者と向き合える科を選びたい(小児科・20代・男性)
・患者が減ることがなさそう(消化器外科・40代・男性)
・精神療法の専門家になれる。身体科と精神科の挟間の心療内科では限界を感じる(心療内科・60代・男性)
【眼科】
・呼び出し、臨時の処置が少ない点。 開業に繋がりやすい点(消化器内科・30代・男性)
・労働時間あたりの給与が高く、開業しやすく、生命にかかわる疾患がない(腎臓科・40代・男性)
・時間的ゆとり(外科・20代・女性)
・QOLを考慮して(消化器内科・20代・男性)
【糖尿病科】
・食生活や習慣など、社会的な側面を含めて関われる点(美容皮膚科・20代・男性)
・開業しやすいし儲かる(リハビリテーション科・30代・男性)
・残業が少ない(消化器内科・40代・男性)
・緊急が少ない、治療の成果が検査で如実にわかる、医学以外に話術も治療の一環である(糖尿病科・40代・男性)
【消化器内科】
・血液内科は比較的大きな病院でなければほとんど自由に診療できず、転職など非常にしにくい。消化器内科であれば小規模の病院でも需要が高く、開業やバイトなど選択肢も幅広い(血液内科・30代・女性)
・内視鏡という飛び道具があるから(総合診療科・30代・男性)
・手技の獲得、診療の進歩がめざましいため(糖尿病科・30代・男性)
【循環器内科】
・医者として、本当に患者の命を救うことを行なっており、重要であると考えるから(眼科・50代・男性)
・将来性がある(心臓血管外科・30代・男性)
・デバイスが多様で低侵襲、世の中からの評価も影響力も桁違い。患者さんを救う実感に富む(麻酔科・50代・男性)
【外科】
・ヒエラルキーのトップの外科医。昭和のお父さんのような立ち位置で仕事をしてみたい(精神科・40代・男性)
・手術が好き(精神科・40代・女性)
・再生医療など今後の医療発展に沿った働きができるから(放射線科・40代・男性)
【麻酔科】
・職場と家庭のメリハリがありそう(循環器内科・40代・男性)
・病棟業務がない(腎臓科・30代・男性)
・個人プレイで幅広くやりたいようにできる(泌尿器科・40代・男性)
【放射線科】
・仕事の自由度が高く、在宅での読影などワークライフバランスが調整しやすい。他科からの仕事の押し付けが少ない(糖尿病科・40代・男性)
・オンラインで勤務可能(皮膚科・40代・女性)
・給料がいい(緩和ケア科・30代・男性)
【神経内科】
・アカデミックとして興味深いので(リハビリテーション科・50代・男性)
・競争がない(循環器内科・40代・男性)
・少しでも研究に時間を割けるから(精神科・40代・男性)
【形成外科】
・専門性を追求して、最終的には開業でお金を稼ぐことができるから(外科・30代・男性)
・子供の先天性の疾患を手術で治したい(糖尿病科・20代・男性)
・外科だけど皮膚科の要素もあり、美容のバイト、開業もできそうだから(内科・40代・男性)
【美容外科】
・QOLが高そう(その他・30代・女性)
・収入が良い(産婦人科・30代・男性)
【美容皮膚科】
・オンコール、当直もなくて収入がいい。治らない病気じゃなくて健康な人をさらにいい方向に持っていけるため(神経内科・20代・男性)
・費用対効果が高いと思うから(麻酔科・30代・女性)
【内科】
・つぶしがきく。高齢になっても続けやすい。勉強ができる(外科・60代・男性)
・患者さんとふれあう時間が長い(放射線科・40代・女性)
【腎臓科】
・つぶしがきく。緊急呼び出しがない(循環器内科・30代・男性)
・透析のクリニックなど収入が安定している(循環器内科・30代・男性)
【産婦人科】
・バイトの時給が高い(呼吸器内科・30代・女性)
・人の幸せの場面に立ち会えるから(精神科・40代・男性)
回答からは、働き方の多様性やQOLの高さ、また収入面での安定や開業のしやすさなどを挙げる声が寄せられました。
子どもや医学生に自身の科目を勧める人は24% 勧めないという人は10%
医師を志す自分の子どもや医学生から、診療科選びの相談をされた場合、自身の診療科目を勧めるかどうかを尋ねました。最も多かったのは「好きなようにさせたい」で56.6%(689人)でした。次いで、「自身の診療科目を勧める」が24.1%(294人)、「自身の診療科目を勧めない」が10.8%(131人)、「わからない、答えられない」8.5%(104人)という結果になりました。
Q:仮に、医師を志すご自身の子どもや医学生から、診療科選びの相談をされた場合、自身の診療科目を勧めますか。(回答数: 1218)
自分の子どもや医学生に「自身の診療科目を勧めない」と回答した131人に対して、どの診療科目を勧めるか、またその理由について尋ねました。勧めたい診療科目として選ばれた数が多い順に、自由回答の一部を紹介します。
【消化器内科を勧めたい】
・技術が世界のトップクラスだから(救命救急科・40代・男性)
・内科なので潰しが効くし、消化器は学問的に面白いと思うため(小児科・30代・男性)
・診療範囲が広く、開業にも適している(消化器外科・30代・男性)
・つぶしが効く。OBが多い。手技を得られれば独り立ちしてもやっていけそう(腎臓科・40代・女性)
・自分自身が選択すれば良かったと思っているため、今後の需要が高まる分野と考えるため(糖尿病科・30代・男性)
【麻酔科を勧めたい】
・全身管理ができる、オンオフがはっきりしている、転職やアルバイトがしやすい(精神科・30代・男性)
・QOLや給与体系が確立されている(循環器内科・50代・男性)
・どこでも働ける+時間が確保されている(呼吸器外科・30代・男性)
・育児と両立しやすい。技術が様々に応用が効く(産婦人科・30代・女性)
【内科を勧めたい】
・幅広く患者を見ることもできる。また専門に特化することもできる(精神科・40代・女性)
・基本は内科だから(麻酔科・50代・男性)
・結局のところ必要とされる機会が多い(産婦人科・30代・男性)
【循環器内科を勧めたい】
・手技を身に付ければ職にあぶれることがない。最終的に心臓を救うことができるから(腎臓科・40代・男性)
・癌がないから(血液内科・50代・男性)
・能動的に治療でき、やりがいがある(呼吸器内科・30代・答えたくない)
【眼科を勧めたい】
・特に白内障の手術などは患者さんの満足度が高い。また、例えば「◯◯内科」と専門を謳っているのに、日本の現状では内科医は一括りにされている。内科枠として頭痛も腹痛も腰痛も咳も浮腫も全て診なければならず専門だけに集中できない。眼科は自分の専門科のみの勉強や研究に集中できるし、ワークライフバランスも保たれ健康を保ちながら長く仕事できるから(呼吸器内科・30代・女性)
・開業できる。緊急少ない。拘束少ない。ホワイト(消化器外科・30代・男性)
・急な呼び出しや当直も少ない。ニーズが高い科ながら、QOLが高い(消化器内科・30代・女性)
【美容皮膚科を勧めたい】
・内科医と比較し、給料・QOLは高い。また、学問的な興味深さもあるため(代謝内科・30代・男性)
・QOL高くて儲かるから(神経内科・20代・男性)
・職人的なこと(整形外科・50代・男性)
【糖尿病科を勧めたい】
・開業しやすく儲かるから(リハビリテーション科・30代・男性)
・今後需要が増えるから(消化器内科・30代・男性)
【総合診療科を勧めたい】
・全分野での知識が必要と思うから(消化器外科・50代・男性)
・地域のニーズが高い(精神科・40代・男性)
【精神科勧めたい】
・児童精神科に関わってほしいので(外科・40代・男性)
・肉体的に楽そう(麻酔科・30代・女性)
【科目を問わない】
・本人の意志に任せる(循環器内科・40代・男性)
・自身の興味がある診療科を選べばいいと思う(循環器内科・20代・女性)
・どの科も苦労は多く、先行き不透明(精神科・50代・男性)
・その子の特性による(精神科・50代・女性)
・やりたいことをするのが一番だと思う(美容皮膚科・20代・男性)
・循環器内科以外を勧めたい(循環器内科・40代・男性)
【その他】
・勧められる科はない(内科・40代・男性)
・医師は勧めない(皮膚科・40代・女性)
多く寄せられた回答は、働きやすさや報酬の高さ、開業のしやすさについての意見でした。その他には「やりたいことをするのが一番だと思う」「医師は勧めない」という意見も寄せられました。
医学部の学生や研修医が診療科目を選ぶ際、どんな点を重視して診療科目を選ぶべきだと思うか、自由記述形式で聞きました。回答の一部を紹介します。
【好きなこと、興味があること】
・その科の疾患、病気に興味がないと仕事を続けるモチベーションが保てないと思います。(消化器内科・30代・男性)
・将来性の予測は30~40年後まで正確にすることは難しいため、いま、自分に興味のある分野があれば、そこに熱中するほうがよい(放射線科・40代・男性)
・自分自身は、試行錯誤しつつ縁があって今があると思っているので、自分のしたいことを突き詰めていけば自ずと自分の道は見えてくると思っています(訪問診療・50代・女性)
・興味がなければ、家業の科目を継ぐ場合でもうまくいかないと思います。(産婦人科・60代・女性)
・興味がある科の情報をできる範囲で集めて、しっかり検討するのが良いと思う。多分、どこに行っても、よほどでない限り後悔はしないと思うが、転科にもエネルギーが必要なので、可能なら最初にしっかり検討した方がいい。 メリット、デメリットや仕事への感覚などは人それぞれ違うので、他人の意見は参考程度にしておいた方がいいだろう。 基本的には自分が自由に選べば良いと思う。(麻酔科・30代・男性)
・医学生の頃や医師になりたての研修医は、「全身を診れる」「救急対応できる」ことに憧れを感じて、救急、総合診療、循環器内科、集中治療に進む人も多いが、ある程度医師を続けていれば遅かれ早かれ必要な能力は身につく。目先のキラキラよりも、自分がその科の勉強し続けることが楽しくて、心身に負担も少なく、細く長く続けられるよう、長期的な視野を持った方が後悔はないでしょう。(呼吸器内科・30代・女性)
【転科できる/やってみないとわからない】
・性格、体質、興味などがその科目とどの程度合致しているか考えながらポリクリ、研修医時代を過ごして決めれば良いと思う。場合により専門を決めて数年してから転科するドクターもいます。(精神科・60代・男性)
・悩むと思いますが、いろんな同期や先輩を見て来て、いつでも辞めたり、転科できます。やりたいこと、譲れないことを重視して決めてください。(麻酔科・30代・女性)
・短期間ではわからない事もあるので、実際に医師として働いてから決めたり変えたりしても良いと思います。(産婦人科・40代・男性)
・新専門医プログラムにはメリットとデメリットがあるが、プログラムの整備によって転科がしやすくなったと考える。その点、診療科を直感的に選択して失敗しても、事後に修正が効きやすくなっていると考える。(精神科・30代・男性)
【人間関係/職場の雰囲気】
・自分の興味、関心は大前提だと思いますが、人間関係が最悪な職場もあるので、実際働く場の事前調査は念入りにすべきと思います。(小児科・30代・女性)
・以前からの残業体質・パワハラ気質・緊急対応の頻度は、時代が変わっても受け継がれる。そういったことを含め、希望的観測で科を選ぶと失敗する。どうしても選択したい科がないのであれば、QOLの高い科を選んでおくのがいい。ふとやりたい科ができた時に、後から科は変えられる。(消化器内科・40代・男性)
・診療科トップの考え方は、気にした方がいい。某科は女医はいらない、入るなら結婚出産は当面やめてほしいと言っていて、結局入った女性が冷遇され辞めざるを得なくなった。(小児科・30代・女性)
・興味や情熱を持って続けられる科目に出会えるかが大事だと思いますが、そのような科目がないこともありますので、その際は雰囲気や良い先輩、良い指導者がいる科も選択肢にあがると思います。(腫瘍内科・40代・男性)
・選んだ診療科の同僚とは、家族よりも、または家族並みに長い時間を過ごすかもしれないので、科の雰囲気は大切。(整形外科・40代・男性)
【ワークライフバランス】
・女医にとって結婚出来るかは一大事なので、「忙しくて結婚できない」が避けられる科も選択肢の1つと考えます。(眼科・30代・女性)
・学生や初期研修の時にはなかなか10年後を想像できないが、子供が産まれたりした後の方が働く期間は長いので、そこまで考えた方がいいなと思います。(耳鼻咽喉科・30代・女性)
・女性ならライフイベントでキャリアが難しいときがあります。両立に苦悩することをよく考えて、二足の草鞋でスタートするのもよい。私も産業医資格を持ちながら、研鑽が絶えずいる眼科をしばらく頑張っていましたが、出産後途中から産業医になりました。この道を事前に用意しておいて良かったです。(産業医・30代・女性)
【需要が低下しない】
・好きなところに行くのが一番だとは思いますが、現場や医療機関のニーズから選択する目も持つことが大事だと思います。(整形外科・30代・男性)
・糖尿病内科は需要の割に供給が少なくこれからも良い科目である(糖尿病科・40代・男性)
・将来的に精神科も含めて複数の診療科が飽和するので、そこを考えた選択を(精神科・・30代・男性)
・リハビリテーション科はあまり知られていなかったし、いろいろな人にやめておけと言われたが、高齢社会でも対応しやすく将来性もあり、子育てしながらも活躍できているのでこの科を選んで良かったと思う。(リハビリテーション科・40代・女性)
・マイナー科でワークライフバランスを取りやすい時代がいつまで続くかはわかりません。 メジャー科は大変ですが、需要は低下しにくいと信じています。(消化器内科・40代・男性)
【収入や楽さで選ばない】
・最近は美容整形に行く人が多いが、やりがいを感じているなら良いと思うが、お金目的で行くとすると先はないと思う。(整形外科・30代・男性)
・自由診療主体の科を初期研修後に選ぶ医師が多いことに不安を覚える。(小児科・30代・男性)
・責任と情熱を持てる診療科を選んでほしいです。楽そうだから、稼げそうだから、などという理由で人を診てほしくないです。(小児科・30代・女性)
【その他】
・よく学生に教えているのが、10年後に何らかの専門医を持っていると仮定して、「どこで」「どんな医者になっているか」を考えた方が良いと話しています。例えば地方の実家に帰るなら、ある程度つぶしがきき、周りにあまり競合するクリニックがない科を選んだ方が良いし、大学や大手の病院に残って一つのことを突き詰めるのであれば、興味がある内容の科に行った方が良い。(心療内科・40代・男性)
・消化管内視鏡など、日本が世界をリードしているような分野を選ぶと臨床でも研究でも楽しいのかもしれないと思います。(産婦人科・40代・女性)
・将来どの分野に進むにしても、全身管理の経験はしておいた方がいい。また簡単な縫合技術は身につけておいた方がいいと思う。(外科・40代・男性)
・デメリットを説くその科の上級医の意見こそ信用してください。(消化器内・30代・男性)
・同じ診療科目でも専攻プログラムや場所によって内容が大きく異なるので、何科になるかと同じくらいプログラム選びが重要だと思う。(総合診療科・30代・女性)
・今現在、不人気な内科や外科を勧めます(今人気で多人数の科目は、数年すれば、医師数自体が飽和すること)。また、美容外科等の全身管理を専門としない科目に行くと、医師としてのスキル(全身管理やとっさの救急対応)がなくなるのでお勧めできない。(心臓血管外科・50代・男性)
・海外では成績順に科を選択できる国もあるが、日本でもそのような制度を導入しても良いのではないかと思う。(放射線科・30代・男性)
・どれでもいいが、その道で自分だけの何かを得られれば。死ぬときに後悔しない生き方を。(麻酔科・50代・男性)
目立った回答は、「好きな科目、興味のある分野を選ぶべき」「実際に働いてみて考える、合わなければ転科する」といった意見でした。ワークライフバランスについてのアドバイスは、特に女性医師から多く寄せられました。
まとめ:科目を選び直せても5割以上が「同じ科目を選ぶ」 子どもには「好きなようにさせたい」が多数
今回のアンケートでは、回答した9割超の医師が現在の科目を選んで良かったと回答しました。もう一度、科目を選び直せるとしても、5割以上の人が同じ科目を選ぶと答えました。
一方で、15.7%が現在の科目は「選ばない」、3割以上が「わからない、答えられない」という回答でした。子どもや医学生に自身の科目を勧めるかという問いに対しては、半数以上の人が「好きなようにさせたい」と回答しました。
診療科目を選び直すとしたらどの科目に行きたいか、また自分の子どもや学生に勧めたい科目について聞いた自由記述回答では、「開業がしやすい」「急な呼び出しや当直が少ない」「給料がいい」「QOLが高い」といったコメントが寄せられました。子どもに対しては、「やりたいことをするのが一番だと思う」という声も多く寄せられました。
現在の診療科目を選ぶ際に重視したことを聞いた質問では、「収入が多く得られるかどうか」は8.8%、「開業しやすい」は6.5%といずれも1割以下にとどまっています。医師としてのキャリアをスタートさせたのち、自分の人生設計や今後のキャリアプランを考えるようになったからこそ、収入面や開業のしやすさが重要なポイントとして多く挙げられたのかもしれません。
【アンケート概要】
調査期間:2023年7月6日~12日
対象:「民間医局」会員の医師
回答者数:1218人(男性865人、女性320人、答えたくない33人)
回答を寄せていただいた方の内訳は以下の通りです。