記事・インタビュー

2025.12.15

書評『みんなで楽しくホスピタリストになろう! エビデンスと実臨床の架け橋』

民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

医学書を読むのが大好きな先生方より、医学書のレビューをお届けします。

レビュー:三谷雄己先生(踊る救急医先生)

書評『みんなで楽しくホスピタリストになろう! エビデンスと実臨床の架け橋』

また低ナトリウム血症の患者さんだ…何をどうしたらいいんだっけ?
腹痛の患者さん、先週の人は想像以上に重症だったな…。今から搬送される患者さんには、うまく対応できるかな?

“当たり前のこと”が、当たり前にできるように毎日勉強していても、なかなかうまくいかないのが初期研修だと思います。
救急外来の初動、よく見る症候の優先順位づけ、カルテ・紹介状の書き方、プレゼンの型など、学ぶべきことはもりだくさんですよね。
そんな皆さんにおすすめしたいのが、この一冊です。

これからご覧いただく医学書レビューは、
これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、その中でも特におすすめの医学書を毎月5冊以上レビューしてきた立場からまとめたものです。
医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、「是非読んでみたい」と思っていただけるようなレビューを心がけています!
こちらの書籍は、以前著者の方よりご贈呈いただいた一冊になります。

みんなで楽しくホスピタリストになろう! エビデンスと実臨床の架け橋
みんなで楽しくホスピタリストになろう! エビデンスと実臨床の架け橋
永井 友基 (編集), 松坂 俊 (編集), 橋本 知直 (編集), 阿河 昌治 (編集)/ じほう 発行
価格:6,380円(税込)
発刊:2025/2/20
Amazon

書評『みんなで楽しくホスピタリストになろう! エビデンスと実臨床の架け橋』
    1. 1.本書のターゲット層と読了時間
    2. 2.本書の特徴
    3. 3.個人的総評
    4. 4.おすすめの使い方・読み進め方
    5. 5.まとめ
    6. 6.医書レビュー

1.本書のターゲット層と読了時間

【ターゲット層】
初期研修医・総合内科/救急ローテの医学生・看護師(特定行為含む)

【推定読了時間】
約12–14時間(通読)/症候ごとの要点確認 5–10分

2.本書の特徴

【本書の特徴】
●one-pagerで初動と優先順位を一発把握
●症候→鑑別→検査→オーダー例まで実装可能な粒度
●プレゼン法・紹介状・カルテ記載などノンテクニカル領域も具体例つきで解説
【本書で学べること】
●救急外来の初動アルゴリズム/モニタリングの勘所
●低Na/K など電解質異常の安全な補正プロセス
●抗菌薬の初期選択〜見直しのタイミング
●プレゼンの型(OPQRST→要約→プラン)とNG例→改善例
●紹介状・カルテ記載の実例とチェックリスト

3.個人的総評

【私が刺さったポイント】
この本が「本当にいい!」と思ったポイントを以下にまとめました。
1. 痒いところに手が届く
鑑別の優先順位とオーダー例が並走しているため、当直前に読むと行動が速くなります。「この症候が来たら、まずこれを確認して、このオーダーを出す」という流れが明確です。
2. 見開きでザッと確認できる
要点→チェック→プランまで1ページで完結しており、復習が爆速でできます。忙しい当直前や、カンファレンス前の確認に最適です。
3. ノンテクニカルスキルの内容が濃い
プレゼン/紹介状/カルテの悪い例→良い例が超実践的。これまでの医学書ではあまり扱われなかった「伝える技術」について、具体例が豊富で即戦力になります。
【実際に使ってみて感じたこと】
救急当直の前に、よく遭遇する症候のページを開いて5-10分復習するだけで、実際の対応がスムーズになると思います。
特に「胸痛」「呼吸困難」「意識障害」など、頻度・緊急性が高い症候では、見開きを繰り返し見返すことで、自然と初動が身につきそうです。知識の整理にもなりますし、救急外来に1冊置いておきたい本だと思います。
また、カルテ記載やプレゼンの章は、指導医からよく指摘される「わかりにくいプレゼン」「情報が整理されていないカルテ」の改善に直結する内容でした。
NG例と改善例の対比が非常にわかりやすく、「自分のプレゼンのどこがダメだったのか」が一目瞭然です。

4.おすすめの使い方・読み進め方

【本書のおすすめの読み方・活用方法】
通読するにはページ数も多いと思うので、以下のようにシチュエーションに分けて読むと良いと思います。
● 当直前:1ページ見開きで症候の初動を総ざらいすれば、5分以内で必要な知識を再確認できます。
● カンファ前:鑑別→検査→プランを復習し根拠を提示できるようになりましょう。「なぜこの検査を出したのか」を明確に説明できるようになります。
● レクチャー時:NG→OKの実例をそのまま教材として、 後輩指導の際、具体例を示しながら教えられます。
【読み進め方のコツ】
初期研修開始時: まずは自分がローテーションする科に関連する章を重点的に読む。
救急ローテーション中: 胸痛・呼吸困難・腹痛・発熱など頻度の高い症候学を繰り返し復習。
内科ローテーション中: 電解質異常、抗菌薬の選択、慢性疾患管理の章を熟読。
通年: プレゼン、カルテ記載、紹介状の章を何度も読み返し、実践と改善を繰り返す。

5.まとめ

“明日から実践”を後押しする、最初の一冊。
『みんなで楽しくホスピタリストになろう!』は、初期研修医が「できる研修医」になるための、最も実践的な教科書の一つです。
症候ベースのアプローチ、見出しページによる要点整理、そして非テクニカルスキル(プレゼン・カルテ・紹介状)まで網羅した本書は、まさに“明日からの診療”を変える一冊と言えるでしょう。
560ページという大ボリュームですが、必要な部分から読み進められる構成のため、負担なく活用できます。
初期研修の2年間、そしてその後の専門研修でも、繰り返し参照する価値のある一冊です。
興味がある方は、是非手に取ってみてくださいね。

6.医書レビュー

基本情報 みんなで楽しくホスピタリストになろう! エビデンスと実臨床の架け橋
著者:永井 友基/松坂 俊/橋本 知直/阿河 昌治 ほか
出版社:じほう
発行年月日:2025/2/20
購入先 みんなで楽しくホスピタリストになろう! エビデンスと実臨床の架け橋

▲TOPへ戻る

<この書籍には問題集が存在します>

この書籍は、医学書を解いて学べるアプリ、「医学書ドリル」にも登場します。
以下のURLから、是非問題集を解いてみてください。

https://medicalbooklabo.com/quiz-books/

実際に問題を解いてみることで、本書の内容がより深く理解できます。知識の定着にも最適なので、ぜひ挑戦してみてください!

おすすめの医学書や日々の学びを発信

この記事を読んで「他のおすすめの医学書が気になる」「救急について楽しく勉強したい」という方は、ぜひこちらのLINEで最新の医学書レビューやスライドのまとめをチェックしてくださいね

https://line.me/R/ti/p/%40339dxpov

<プロフィール>

三谷 雄己先生

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
救急科専門医
日本医師会公認健康スポーツ医
JATEC・ICLSインストラクター

立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。


【踊る救急医】
X https://x.com/houseloveryuki
ブログ https://dancing-doctor.com/

三谷 雄己【踊る救急医】

書評『みんなで楽しくホスピタリストになろう! エビデンスと実臨床の架け橋』

一覧へ戻る

このシリーズの記事一覧