記事・インタビュー
民間医局コネクトで、2025年6,7月に初期研修1年目会員を対象に、初期研修の実態や悩みに関するアンケートを実施しました。
今回は、「入職前後のギャップ」についてまとめました。
実査期間: 2025年6月13日(金)~ 2025年7月21日(月)
調査対象: レジナビ・民間医局会員の初期研修医1年目
回答者数: 197人
調査実施主体: 株式会社メディカル・プリンシプル社
ギャップを感じた人は約7割!
回答者のうち、7割は入職前後でギャップが「あった」と回答しました。
ギャップが「あった」と回答した人たちが、どのような点でギャップを感じたのかを具体的に見ていきましょう。
最も多かったギャップは「忙しさ」

病院見学ではなかなか実感しづらい「忙しさ」。実際に働いてみて初めてわかる部分が多く、最も多くの声が集まりました。
入職前の印象より“忙しかった”
- ハイポ病院と聞いていたが意外とハイパー病院だった。
- 大学病院にも関わらず意外にもハイパーであった。
- 様々な学会に行けるものだと思っていたが、研修が始まったばかりで忙しく参加出来なかった。
- 基本的には思っていたよりもゆったりとした雰囲気で良かったが、診療科によって忙しさが大きく違う。
- 想像以上に当直が忙しい。
- 救急外来や日当直での患者対応数が思ったより多い。
- 入職後、思ったよりも忙しかった。 見学した科だけの情報で、病院全体の雰囲気や忙しさを判断していたが、結局、同じ病院でも科によって雰囲気が異なり、見学だけでは全体像を掴むのは無理だと感じた。
入職前の印象より“忙しくなかった”
- 想像よりハイポ。自主的にやる能力が求められる。
- めちゃくちゃ忙しいと思っていたが、思ったよりも勉強する時間があった。
- 救急がとても忙しいと聞いていたが、想像よりは忙しくなかった。
- ハイパー病院であっても必ずしも業務に追われ、多忙に苦しむことはない。
- 仕事に追われて休めないというイメージだったが、想像以上に休日がとりやすいと感じた。
- 多忙なイメージだったが、忙殺されるような感じではなく、業務を通じてon the jobのなかでフィードバックがもらえるため、非常に充実した研修が送れている。
指導・教育体制のギャップ

研修医にとって重要な「指導・教育体制」も、ギャップを感じたポイントのひとつです。
<期待以上だった点>
- 指導医が優しい。
- もっと放置されるかと思っていたが、どの先生も色々教えてくれて勉強になる。
- 若手の先生が多いと、声をかけてもらえることが多く指導機会に意外と恵まれた。
<想定と異なった点>
- 上級医も多忙なため、自分で動かないと学ぶ機会が得られないことがある。
- 指導体制が確立されている訳では無く、つく先生によって学べることがまちまちな点。
- 思ったよりも指導医との関係性が薄い。こちらが積極的に声をかけないと手技の見学や実際にやる機会が得られないことが多い。
研修プログラムに関するギャップ
<期待以上だった点>
- プログラムの自由度が高いことの価値に後から気付いた。
- 当直制度の自由度が思ったより高い。
- ローテの自由度はさほど高くないと思っていたが、実際は外病院に出られる期間もかなり長く、組み合わせも最低限の研修基準を満たせばほぼ自由に組み合わせられた。
<想定と異なった点>
- オリエンテーションが短かった。
- 意外と希望の診療科を回る期間が少ない。
- 内科系が強いとは思っていたが、全てが揃っている訳ではないため、希望診療科がないと魅力半減。
- 働き方改革の影響で、当直が始まるのが遅すぎた。
- 一人当直が不安。
- 見学時からカリキュラムが変更になっており、外病院を選択しにくくなっていた。
経験に関するギャップ
<期待以上だった点>
-
- 入職前は、先生方の後ろについて、見ながら学び、研修すると思っていた。入職後は、自分も最前線に立って仕事ができると感じた。
- たすきがけ研修先がどれくらい経験できるのかあまり理解していなかったが、それなりに経験ができている。
<想定と異なった点>
- 学生のときとは比べ物にならないくらい研修では自主性が求められる。
- 国試の知識は実戦に応用するのは難しいこと。
- 事務作業が思ったより多い。
- 救急では当初の想定より研修医が積極的に動いていた。逆に、病棟管理、処方、手技などは積極的に動かないと経験しづらい(積極的に動いても経験できないことも多い)。
- 大学病院の割にcommon diseaseも多く、研修医にも任せてもらえる仕事の幅が多い、と思って選んだが、全然違っていた。 大学病院の後期研修の先生が1年だけくることが多く、自分の研鑽が大変なので研修医の面倒は見ないし、担当患者を持たせてもらえないので自力で調べて治療をする、といったことも(自習はできても実際の治療は)できない。
人間関係に関するギャップ

<スタッフとの関係>
- 全員やさしい。
- 看護師さんがとても優しかった。
- 指導医に質問しやすい。
- パワハラ気質な上司がいる。
- 待遇と立地が良いので決めたが、指導医の質が高くなく、世間話ばかりしたり村社会的に接してくるコメディカルとのコミュニケーションに苦労する。
<同期との関係>
- 同期が多く、どの科でも基本的にはほかのレジデントと一緒に回ることになるので、相談や協力がしやすく、働きやすい。
- 見学時の研修医の雰囲気で決めたが、全くやる気のない、仕事をしない研修医が多すぎた。大学病院で同期の人数が多いので友達を作るのが大変。また、自大学出身者が例年より多かった。
その他のギャップ
その他にも、以下のような声が寄せられました。
- ウォークインをいかに早く捌くかがここまで大事とは思わなかった。
- 想像よりも診療科ごとの先生方の個性が強く、診療科ごとに雰囲気やスタイルが異なる。
- 当直・半当直の回数は多いが、代休制度により休みは確保できる。
- 勤務時間等非常に守られていると思う一方で、専攻医の先生は色々こき使われているので最初から使い物にならないと思われているのでは?という感覚を覚える。
全体のまとめ
入職前とのギャップは、誰にでも起こり得るものです。今回のアンケートからは、「忙しさ」や「教育体制」など、見学だけでは見えづらい部分に多くの気づきがあることがわかりました。
ギャップを感じたときこそ、自分の研修スタイルを見直すチャンスです。悪いギャップでも改善できることであれば、周囲に相談したり、自分から動いてみることで、研修生活はより充実したものになるはずです。
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