記事・インタビュー

2025.09.01

夜間在宅で切り拓く〈第三の医師像〉 ③ 0 → 1 の資金調達:保険診療でも「成長曲線」は描けるか

案件番号:25-C100 施設・自治体名称:(株)on call

夜間在宅で切り拓く〈第三の医師像〉 ③0 → 1 の資金調達:保険診療でも「成長曲線」は描けるか

夜間・休日往診代行サービス ON CALL 代表  符 毅欣(ふう たかよし)によるシリーズ記事の第3回をお送りします。

0 → 1 の資金調達:保険診療でも「成長曲線」は描けるか

「在宅医療で、臨床もキャリアも広げたい」。そんな思いを抱く若手医師にとって、在宅医療スタートアップの成長ストーリーは決して遠い世界ではない。政策金融公庫の創業融資とVC二回の調達で得た資金は、夜間往診アプリと地域拠点の拡充に使われ、現場に入る医師一人ひとりの働きやすさと成長機会を生み出している。加えて、医師という専門職としての信頼性と、立ち上がりのある具体的な事業計画を備えていれば、創業融資の獲得自体は十分に現実的であると実感した。エクイティ(新株発行)による資金調達は馴染みがなく抵抗感を抱く人もいるが、事業を加速させ、成長のストーリーを描き、志を同じくする仲間を増やすうえで有力な選択肢だ。私自身、早く事業を前に進め、早くフィードバックを得ることが極めて重要だと考えており、その意味でも投資家(VC:ベンチャーキャピタル)からの調達価値は大きい。

保険医療の枠を超える「成長性」

医療、特に保険医療は公的な診療報酬と人的リソースが収益を決めるため、「スタートアップ的な成長は難しい」と語られる。しかし私たちは、拠点展開による効率化と情報連携のプラットフォーム化を提示し、保険医療からでも成長曲線が描けることを示した。若手医師が夜間往診に参加しやすいマッチングのアプリや、相談を受けた瞬間にディレクターをアサインする体制は、診療の質を保ちながら経験を積める場を提供している。この設計図に共感した投資家等が、創業時の融資に続く、二度のVCラウンドで事業拡大を後押しした。スタート段階の資金を確保できたことが、拠点の立ち上げスピードとプロダクト改善の初期循環を大きく前倒しした。

伴走するVCの価値

(初めての外部投資家である、
VCファンドのPartners Fund様とご一緒に)

エクイティ調達は希薄化への不安から敬遠されるが、実装スピードや学習速度は一段引き上がる。調達の際の面談では専門用語が先行し、価値が伝わりにくかった。そこで対応フローをシンプルな図にし、医療機関数と拠点数を変数に置いた損益シミュレーションを示したところ、原価率が低下するポイントが明快になり、対話が深まった。以降のラウンドでは、導入医療機関が四半期平均20%増と着実に向上している実績を添え、専門職としての医師がプラットフォームの成長を牽引している姿を数字で提示した。VCは資金の供給者にとどまらず、サービス開発優先順位や財務指標を共に検証する経営の伴走者となり、若手医師が安全に挑戦できる環境づくりを後押ししている。結果として、仮説→実装→現場検証→改善のフィードバックループが短縮され、採用・提携・広報の各面でも心強い“仲間”が増えた。

若手医師が加わる「成長の循環」

調達資金の主な用途は二つ。第一に夜間休日往診アプリの進化で、依頼からマッチングまでを自動化し、診療歴やプロトコルを一画面に集約する。これにより初めて在宅医療を経験する医師でも迷わず診療でき、実践的なスキルが短期間で身につく。第二に人的資本への投資で、エリアマネージャーや教育担当を配置し、日々の診療サポートの向上に励む。このプラットフォームに入った若手医師は現場の悩みを共有しながらコミュニティを広げ、紹介で仲間を呼び込む。こうして医師が増えるほど患者対応の質が上がり、拠点の稼働率も向上する―医師とプラットフォームが相互に成長を促す循環が生まれている。さらに、医療機関や地域のステークホルダーが同じ地図で前進することで、現場からのフィードバックがより早く・深くプロダクトに反映されるようになった。

まとめ

保険診療を基盤とする在宅医療でも、視座を上げれば成長資金は確保できる。とりわけ、医師としての専門性と実行可能な計画があれば、創業融資の獲得は現実的だ。さらに、エクイティによる調達は事業を加速し、成長のストーリーづくりと仲間づくりを同時に進める有力な選択肢である。融資であっても投資であっても、それは夜間往診に挑む若手医師と共に皆が同じミッションを共有する仲間を作っていくためにある。アプリで素早くシフトに入り、地域医療の最前線を体験しながら、プラットフォームの進化に貢献する―そんな接点がここにはある。夜の往診で出会う患者との一つひとつの対話が、医師としての幅を広げ、在宅医療の未来を形づくっていく。

【 夜間在宅で切り拓く〈第三の医師像〉シリーズ 】

符 毅欣(ふう たかよし)プロフィール

2017年 京都大学医学部卒業。虎の門病院で初期研修・泌尿器科の専門研修を開始後、長野市民病院・江戸川病院で臨床経験を積む。日本泌尿器科学会専門医。現在は株式会社on call 代表取締役CEOとして、医療現場と経営の双方から在宅医療インフラの構築に挑み、患者・医療機関・地域社会に貢献するサービス創出に取り組んでいる。

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