記事・インタビュー

2025.07.01

小児科医以外も大歓迎。園生の人生に寄り添う療育園で共に働きませんか?

小児科医以外も大歓迎。園生の人生に寄り添う療育園で共に働きませんか?

豊かな自然に抱かれた、東京都東村山市に位置する「秋津療育園」。重症心身障害児者の人生に寄り添う場所として開設され、今では多くの方々にとってなくてはならない存在となっています。
「重症心身障害児者施設での勤務」と聞くと、ハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。しかし秋津療育園では、専門領域やこれまでの経験にかかわらず、安心して働ける環境が整っています。
また、ほぼ定時での退勤が可能、休日もしっかり確保されているなど、ワークライフバランスを大切にしたい方にもおすすめです。
今回は、園の成り立ちや具体的な仕事内容について、園長の原田正平先生と部長のA先生に伺ってきました。

<お話を伺った方>

原田 正平 先生

園長
原田 正平 先生

北海道出身。1980年に北海道大学医学部医学科を卒業。道内の病院小児科や北海道立衛生研究所での勤務を経て、2004年に国立成育医療センター(現、国立成育医療研究センター)に入職。研究所の室長として定年を迎える。2016年から2021年まで、聖徳大学の教授として従事。その後、社会福祉法人天童会・現理事長(当時、園長)の大石勉先生より誘いを受け、2022年4月に秋津療育園へ入職。2024年7月に園長に就任する。

A 先生

部長
A先生

秋津療育園入職6年目

Q: はじめに、秋津療育園の概要を教えてください。
外観

 原田 先生 

秋津療育園は、1958年11月20日に開設された施設です。開設は1958年ですが、病院としての始動は1959年7月20日になります。
当時は障害のある子どもたちへの支援制度が法的に整っていない時代です。「福祉の谷間」に取り残されてしまった子どもたちに、楽園のような安心できる場所を提供したい――創設者の草野熊吉によるその思いが、秋津療育園の原点です。
位置づけとしては、重症心身障害児者の医療、看護、介護、療育を一体的に提供する社会福祉法人天童会の主力施設であり、東京都東村山市の静かな住宅街で、医療型入所、短期入所、通所、相談支援といった多岐にわたるサービスを24時間体制で展開しています。病床数は現在178床で、そのうち175床が長期入所、3床が短期入所用として利用されています。

Q: 重症心身障害児者医療の分野における秋津療育園の特徴はどういったところだとお考えですか?

 原田 先生 

当園は医療法に基づく「病院」であるとともに、児童福祉法による「医療型障害児入所施設」と、障害者総合支援法による「療養介護事業」を展開する、全国的に見ても規模の大きな施設です。
医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、介護福祉士、保育士など、多職種がチームを組み、医療的ケアと療育を融合させた支援を行っている点が大きな特徴です。こうした体制により、一人ひとりの可能性を最大限に引き出せるような環境づくりを実践しています。
重症心身障害児者の人生を支えるために開設したという経緯もあって、高度な医療を提供するというよりは、園生が豊かで充実した生活を送れるような支援に重きを置いています。人生を支援する「最後の担当者」として、医療と福祉を一体的に提供する役割を担っている施設です。

Q: 利用している方たちの年齢や病態を教えてください。
施設

 原田 先生 

園生の年齢は幅広く、3歳から80歳代の方までいらっしゃり、平均年齢は、男女ともに50歳を超えています。
施設内は4つの病棟に分かれており、1棟と4棟が医療型、2棟と3棟が療養型です。医療型の方が医療度の高い園生が多く、寝たきり、重度知的障害と運動麻痺、加えて、てんかんあるいはほかの疾患を有しているケースが多いです。
また、園生には、嚥下調整食が必要な方や胃ろうを使用している方など、さまざまな状態の方がいらっしゃいます。先程豊かな生活を送ってもらうことを目指しているといったお話をさせていただきましたが、当園で大事にしていることのひとつが食事です。QOLの向上を目指し、一人ひとりに合わせた栄養カルテを作成して、季節の食材を取り入れた料理を施設内で調理しています。さらに、年に一度はビュッフェ形式にするなど、食事が楽しみになるような工夫をしています。

Q: 重症心身障害児者施設と聞くと小児科出身の医師が多いイメージがあるのですが、実際はいかがでしょうか。また、働く医師は同様の施設での勤務経験が必須となりますか?

 原田 先生 

常勤医師4名はすべて小児科出身です。当園における医師の主な業務は、園生の日常的な全身管理であり、特に重要なのは感染症への対応と栄養管理になります。これらは小児科の専門性が活かせる領域でもあるため、重症心身障害児者施設での勤務経験がなくても、十分に対応可能だと考えています。
現状は先述の通りですが、採用にあたって診療科の専門は問いません。現在も、非常勤や嘱託の医師には、精神科や形成外科など、さまざまな専門分野の方が在籍しています。

 A 先生 

小児科は特定の臓器だけでなく、全身を幅広く診ます。私自身、専門が小児科ですが、これまでの経験や小児科の「なんでも屋」のような側面がここでの仕事にも活かせていると感じています。
とはいえ、重症心身障害児者施設での勤務は初めてだったので、入職前は少し身構えていたところもありました。しかし、当園には長年勤めているスタッフの方が多く、わからないことがあっても優しく教えてくださいます。私の経験からも「未経験でも身構えなくても大丈夫ですよ」とお伝えできます。

Q: 先ほど、採用にあたって診療科は問わないとお話がありました。内科など、小児科以外の診療科のスキルが活きるような場面もありますか?

 A 先生 

園生の高齢化が進んでいることから、癌や骨粗しょう症、腎不全などの疾患を抱える方が増えてきています。そうした背景もあり、内科や外科、整形外科、皮膚科など、さまざまな専門分野の先生方に、それぞれの専門性を活かしてご活躍いただけると感じています。

 原田 先生 

A先生もお話しされていたように、一般的な臨床経験をお持ちの先生であれば、これまでの知識やスキルを十分に活かせる環境だと思います。
障害があり、なおかつ高齢者特有の疾患を抱える方を診ると聞くと、難しく感じられるかもしれませんが、当園がすべての医療を単独で担っているわけではありません。近隣には複数の医療機関があり、各機関と連携しながら、ここを園生が人生の最期を過ごせる場所として整えています。
具体的な連携の内容については、日々の健康管理や一般的な感染症への対応は園内で行ないますが、重症化した場合や特殊な疾患に関しては近隣の医療機関で診療を受けられる体制になっています。こうした医療連携があるため、小児科以外のご専門の先生でも安心して勤務していただけます。

Q: 近隣の医療機関と良好な関係を築けているのですね。

 A 先生 

重症心身障害を抱えている方の場合、体調を崩して病院に相談しても、通常の医療機関では敬遠されることも少なくありません。しかし、当園の近隣にある医療機関はとても理解があり、相談に乗ってくださるだけでなく、必要に応じてスムーズに転院することもできます。地域のなかで、秋津療育園の存在を深く理解していただいていることを実感しています。

Q: 現在、秋津療育園さまでは医師を募集していますが、勤務日数や業務内容などを教えてください。
診察室

 原田 先生 

常勤医の勤務日数は平日週4日勤務です。残り1日は研究日、土日はお休みになります。勤務時間は9時から17時45分まで。また、他施設から派遣されている当直医との申し送りのため、週1~2回ずつ早番と残り番があり、早番の場合は7時から15時45分まで、残り番は10時15分から19時までの勤務になります。
主な勤務内容は病棟管理で、午前中は病棟を回診し、体調の変化などがあれば対応していただきます。午後は園生に変わりがなければ部屋で仕事をしていただいても構いません。
なお、当直(宿直、日曜日の日直)は近隣の医療機関からの派遣医にお願いしているため、原則として当園医師が対応することはありません。そのかわり、派遣医での対応が難しい場合に備えて、週末は常勤医が当番制でオンコールを担当していますが、私自身はまだ呼ばれたことがなく、ほとんどないというのが現状です。夏休みもみんなで重ならないよう調整して取得できますし、平日が祝日にあたる場合は、当園医師が日勤医として病棟回診を当番制で担当しますが、希望の平日が振替休日になります。

子育て中の先生方が勤務された場合については、これまでそうした方の応募がなく、現在はルールとして決まっていません。秋津療育園では、それぞれの医師が働きやすいように、年休や夏休みなどをしっかりとっていただくことを基本としていますので、子育て中の場合も、時間年休や子育て休暇などを活用して、安心して働いていただきたいと考えています。

 A 先生 

ワークライフバランスのとれた働きやすい職場です。これまで研究職として勤務されていた方で、臨床の現場に復帰したいと考えている先生や、研究を続けながら臨床にも携わりたいという先生にもおすすめできます。

Q: 最後に、今後の展望をお聞かせください。
原田 先生

 原田 先生 

より多くの方々に対応できる体制を目指し、2030年を目途に、新築移転または建て替えを検討しています。地域に開かれた存在でありながら、最後に頼れる施設として機能するために、現在、設備や人員の充実に取り組んでいるところです。
同時に、さまざまな職種の方が経験を積み、成長できる場として、「ここで働いてみたい」と思っていただけるような施設づくりも目標にしています。秋津療育園での仕事は、重症心身障害児者の人生の最後に寄り添う、やりがいのある仕事です。経験を積みたい若い先生から、これまで培ってきた知識やスキルを活かしたいと考えるベテランの先生まで、幅広い方にご応募いただきたいです。

秋津療育園では一緒に働いてくれる医師を募集しています。
外観

東京都東村山市青葉町三丁目31番地1

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秋津療育園

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