記事・インタビュー

2025.04.10

書評『無敵の腎臓内科』臨床で使える腎臓内科領域の知識が凝縮された一冊!

民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

医学書を読むのが大好きな先生方より、医学書のレビューをお届けします。

レビュー:三谷雄己先生(踊る救急医先生)

書評『無敵の腎臓内科』臨床で使える腎臓内科領域の知識が凝縮された一冊!

腎臓内科は電解質異常について学ぶことが多すぎて、苦手意識が強くなりがちです。

腎性腎不全の鑑別は、どこから手を付ければいいのかわからない…

腎臓内科領域は、臨床現場で避けては通れない分野の一つです。

しかし、腎不全の評価や電解質異常の補正、透析導入の判断など、専門的な知識を要する上に、ガイドラインや文献も多岐にわたっており、どこから学習を始めたらいいのか悩む方が少なくありません。

たとえば救急の現場では、高カリウム血症の緊急対応や低ナトリウム血症の補正など、そのときどきで「患者さんの命を大きく左右する判断」を迫られます。

私自身も救急外来で腎障害の患者さんを診療するたびに、「この治療方針で合っているのか?」「ほかの手段はないのか?」と頭を悩ませています。

そんなとき、この一冊に出会いました。

本書を読むことで、腎臓内科領域全般の苦手意識を払拭し、どんな状況でも “腎臓の問題”に自信を持ってアプローチできるスキルが身につきます!

腎臓内科をローテする研修医はもちろん、知識を深めたい若手医師必読の一冊となっています。

これからご覧いただく医学書レビューは、これまで研修医時代に100冊以上の医学書を読み、その中でもオススメの医学書のレビューを月5冊以上書いている、ある救急科専門医によるレビューです。

医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、是非この一冊を手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!

無敵の腎臓内科
無敵の腎臓内科
谷口 智基 (著)/ 中外医学社 発行
価格:5,940円(税込)
発刊:2024/9/26
Amazon

書評『無敵の腎臓内科』臨床で使える腎臓内科領域の知識が凝縮された一冊!
    1. 1.本書のターゲット層と読了時間
    2. 2.本書の特徴
    3. 3.個人的総評
    4. 4.おすすめの使い方・読み進め方
    5. 5.まとめ
    6. 6.医書レビュー

1.本書のターゲット層と読了時間

【ターゲット層】
研修医や専攻医をはじめ、総合診療や救急を含む非専門医、さらには若手の腎臓内科医まで、腎領域に関わるあらゆる医療従事者(薬剤師・看護師などのメディカルスタッフにもオススメ)

【推定読了時間】
8時間程度

2.本書の特徴

本書は、谷口 智基 先生が執筆されました。

【本書の特徴】
●Q&A(クイズ)形式で読み進めやすく、現場で遭遇する疑問に即したリアルな問題設定
●病棟や救急外来でよくある「どう判断すればいいの?」をエビデンスと著者の実体験を基にわかりやすく解説
●中心静脈カテーテル挿入など手技面のポイントまで網羅し、“手技のハードル” を下げてくれる

 

本書を読むことで学べる項目をピックアップすると、以下のようになります。

【本書で学べること】
●AKI(急性腎障害)やCKD(慢性腎臓病)、血液透析導入などの臨床判断の実際
●高カリウム血症・低ナトリウム血症など電解質異常への具体的な初期対応
●腎エコーから中心静脈カテーテル挿入手技までのプロシージャ解説
●尿検査の見方や腎生検の必要性など、腎障害を見逃さないトリガーを学ぶ

これらは、救急外来から病棟管理まで、腎臓内科に苦手意識がある方がまず知っておくべき“鉄板知識” といえます。

3.個人的総評

本書の最大の魅力は、実臨床で「使える知識」がそのまま載っていることです。

「低ナトリウム血症が苦手」「AKIって定義が複雑」「ARBは腎機能低下時に中止すべき?」など、まさに初学者や研修医が日常でつまずくポイントをQ&A形式でスッキリと整理。

緊急透析の適応や電解質異常の補正計画など、救急医にとっても死活的に重要なトピックを豊富な症例を通じて解説されています。

中心静脈カテーテル挿入や腎エコーの当て方といった手技面の具体的なコツも紹介されており、動画によるサポートも素敵です。

本書が特に優れていると感じたのは、著者自身が若手医師の目線を理解しているので、「何がわからなくて、どこで困るか」を的確に突いてくれるところです。

単なるガイドラインの羅列にならず、「結局こうするのがベター」という実践知を示してくれるので、当直や病棟管理の心強い相棒になりそうです。

一方で、ボリュームはA5判で500ページ超と決して薄くはありません。

じっくり読み込むと、それなりに時間がかかるかもしれません。

とはいえ、軽妙な文体とQ&A形式のおかげで意外と読みやすく、長めの通勤時間や当直の合間に少しずつ読んでも、飽きにくい構成になっています。

総評として、「腎臓内科の苦手意識を “無敵” に変えるための最良のワンストップ実践書」だと感じました。

4.おすすめの使い方・読み進め方

【本書のおすすめの読み方・活用方法】
●まずは興味のあるQ&Aからつまみ読み:ハードルを下げて少しずつ慣れる!
●研修医同士の勉強会でクイズ化:みんなで問題を出し合うと理解が深まる!
●初期研修・後期研修問わず、疑問が出たときに辞書的に引く:その場でエビデンスに基づく知識を補強!
●時間があるときに通読:腎臓内科領域の全体像を頭に入れて、より “無敵”へ

私自身の推奨は、まず日常で直面した悩み事に対応するQ&Aを読んでみることです。

Q&A形式なので、「本当にこれで合っているんだろうか?」と手探りで考えながら読み進めると、理解度がぐっと深まります。

また、研修医同士で問題を出し合うスタイルで使うのも非常に効果的なのではないかと思います。自分が学んだ知識を、楽しみながらアウトプットできるのが一番ですよね◎

5.まとめ

『無敵の腎臓内科』は、腎臓内科領域における実践的ノウハウをギュッと凝縮した “現場力アップ” の必読書!

本書は、腎臓内科の幅広い知識を総合的に身につけたいと考えている方にとって、頼りになる一冊です。

電解質異常の初期対応からAKI・CKD・透析導入、手技解説までを網羅しているので、「腎臓内科って苦手…」という方でも、本書を手元に置いておくだけで急に安心感が増すでしょう。

Q&A形式でサクサク読めるのに、最新のガイドラインや論文も反映されており、学びの楽しさを存分に味わえます。

以下に要点や基本事項をまとめました。気になった方は是非チェックしてみてください。

6.医書レビュー

基本情報 無敵の腎臓内科
著者:谷口 智基
出版社:中外医学社
発行年月日:2024/9/26
ターゲット層

研修医・専攻医、総合診療や救急を含む非専門医、若手の腎臓内科医、薬剤師や看護師など

推定読了時間

8時間程度

本書の特徴

●Q&A形式で実践的かつ読みやすい
●電解質異常から透析導入・手技解説までを網羅
●最新トピックも積極的にフォロー

本書で学べること

●AKIやCKDなどの診断・管理のコツ
●高カリウム血症・低ナトリウム血症など、救急で必須の電解質異常への対応
●腎エコーや中心静脈カテーテル挿入のポイントなど、手技の実践知

本書のおすすめの読み方・活用方法

●まずは気になるQ&Aをつまみ読み
●勉強会でクイズにして盛り上げる
●辞書的に活用して当直・病棟で困ったときに即参照

評価
購入先 無敵の腎臓内科

本書のまとめ 本書は、腎臓内科の苦手意識を “無敵” に変える実践書

▲TOPへ戻る

この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は今後も定期的に記事を更新していきますので各種SNSの登録をよろしくお願いいたします!

各種SNSでコンテンツを定期的に配信!
この中でしか見られない限定動画も配信しています◎
日々のスキマ時間に気軽に見ることができるので、興味があれば是非登録していただければ幸いです!

公式LINEアカウント:https://lin.ee/cFNFoeg

みなさまのリアクションが今後の記事を書くモチベーションになります!

<プロフィール>

三谷 雄己先生

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
救急科専門医
日本医師会公認健康スポーツ医
JATEC・ICLSインストラクター

立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。


【踊る救急医】
X https://x.com/houseloveryuki
ブログ https://dancing-doctor.com/

三谷 雄己【踊る救急医】

書評『無敵の腎臓内科』臨床で使える腎臓内科領域の知識が凝縮された一冊!

一覧へ戻る