記事・インタビュー
民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。
医学書を読むのが大好きな先生方より、医学書のレビューをお届けします。
レビュー:三谷雄己先生(踊る救急医先生)
医療現場での症例プレゼンは、患者さんの病態や経過を正しく共有し、上級医や多職種の協力を得るための要となるスキルです。
にもかかわらず、「うまく要点をまとめられない」「何を優先して伝えればいいのかわからない」と悩む人は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、研修医や専攻医、医学生にとって必読ともいえる一冊『あの研修医はすごい! !と思わせる 症例プレゼン』を徹底レビューします。
ページ数はコンパクトながら、相手のニーズに寄り添うプレゼン方法や、多職種へのコンサルテーションにも応用できる実践的なノウハウがぎっしり。
短時間で読み切れるので、忙しい医療従事者こそぜひ手に取ってみてください。
この記事を読むことで、症例プレゼンへの苦手意識が大きく変わるかもしれません。最後までお付き合いください!
- 書評『あの研修医はすごい! と思わせる 症例プレゼン〜ニーズに合わせた「伝わる」プレゼンテーション』
1.本書のターゲット層と読了時間
【ターゲット層】
研修医・専攻医・医学生を中心に、プレゼンテーションスキルを磨きたいすべての医療従事者におすすめです。
プレゼン技術の本質は「相手に伝え、動いてもらうこと」。そのため、看護師や薬剤師など、多職種の方にも応用が利く内容になっています。
【推定読了時間】
全体のページ数は約207ページ程度とコンパクトなので、半日(5~6時間)あれば一気に読める印象です。じっくり読み込むなら3日ほどで無理なく読破できます。
2.本書の特徴
●「相手のニーズ」ありきのプレゼンテーションを徹底解説する一冊。
●ケースカンファレンスやコンサルテーションなど、実践的な症例プレゼンの型を紹介。
●多職種へのプレゼン方法(看護師・薬剤師など)にも触れており、守備範囲が広い。
●学会発表・レクチャー時のアウトラインやマナーについてもコンパクトにまとまっている。
本書は「症例プレゼンでどのように情報を整理し、上級医や多職種に“動いてもらうか”」という視点を強調しています。
患者さんの経緯や評価を羅列するだけではなく、結論から伝えるか、情報から共有するかを状況によって使い分けるテクニックがわかりやすくまとめられているのが特徴です。
3.個人的総評
最も印象的だったのは、自分本位ではなく「相手が欲しがる情報」「相手の状況・ニーズ」を最優先にするという姿勢です。
皆さんは、ただ“患者さんのデータや身体所見を上級医に伝える”だけで終わってしまい、自分で何も考えずに「伝書鳩」になってしまった、苦い記憶はないでしょうか?
私も病棟管理などで同じ経験したことがあり、心が痛くなりました…笑
本書では「根源的なニーズを過不足なく、スピーディーにまとめたうえで、研修医自身が提案も行うべき」という教えを繰り返し説いています。
また、パッと見では「症例プレゼン本」という印象ですが、多職種への依頼(リハスタッフ、MSWなど)や学会発表、講演など、プレゼンテーション全般に応用できるフレームワークが詰まっています。
内容量自体はそこまで多くありませんが、コンパクトにまとまっている分 “実践で使えそうなエッセンス”に集中して触れられる構成になっているのは嬉しいポイントですね。
4.おすすめの使い方・読み進め方
●まずは半日集中して一気に通読してみる
●時間がない人は「プレゼンの基本」や「症例プレゼンの型」を重点的に
●多職種や学会発表など、自分が直面する場面ごとに拾い読みしてもOK
●骨格を理解したら、自身の発表で実践→振り返り→必要に応じて再読
ページ数が207ページほどとコンパクトなので、余裕がある方は一気に読み切るのがベストです。短時間で読みやすく、すぐに臨床現場で応用できるのも魅力的。
もちろん多忙な方や「とりあえず症例プレゼン部分だけ知りたい」という方は、冒頭のプレゼン基本論やステップ解説をチェックするだけでも、十分に実践のヒントが得られます。
207ページほどなので、集中すれば1〜2時間程度で要点をインプットできますよ◎
5.まとめ
「あの研修医はすごい!」と思われるプレゼンスキルの基礎が凝縮された一冊です。
本書を読むことで、「相手目線で話を組み立てる」というプレゼンテーションの本質を身につけられます。医学生や研修医が壁にぶつかりやすい症例プレゼンを中心に、多職種連携や学会での発表にも使えるテクニックが得られるのは大きな魅力です。
もしプレゼン術をはじめとする、初期臨床研修で躓くことの多いコミュニケーション全般についてさらに深掘りしたい方は、是非こちらもご一読いただければ嬉しいです。
https://dancing-doctor.com/compass-for-resident/
「研修医が乗り越えなければならない壁の一つ」である症例プレゼンを克服したい方には、ぜひ手にとっていただきたい一冊です!
6.医書レビュー
この記事を読んで参考になった方、面白いと思ってくださった方は今後も定期的に記事を更新していきますので応援の程よろしくお願いいたします!
みなさまのリアクションが今後の記事を書くモチベーションになります。
★今回の書籍以外にも、踊る救急医先生の医学書レビューはこちらのページで読むことができます!
想定読者や各診療科ごとにわかりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
詳細はこちら≫https://dancing-doctor.com/2021/03/31/review-reader/
<プロフィール>

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
救急科専門医
日本医師会公認健康スポーツ医
JATEC・ICLSインストラクター
立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。
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