記事・インタビュー

2016.02.05

2016年1月の税制改正で投資はどう変わった?

2016年1月の税制改正で投資はどう変わった?

皆さんの中には金融所得をお持ちの方もいるかと思います。また、将来的には持ちたいと検討されている方も少なくないことでしょう。金融所得やそれらの利子・配当金から発生する資本所得の魅力は、労働所得とは違う税のかかり方をしていて優遇があることです。
その反面、確定申告の仕方などが複雑で面倒だったという弱点がありましたが、それも今回の税制改正で大きく改善されました。
今回の税制改正のポイントを、改正前の税制と比較しながらご紹介したいと思います。

金融所得課税が一体化する

今までは「上場株式」「公募株式投資信託」「公募公社債投資信託」「公社債(債券)」といった金融所得の税制がバラバラでした。
これが2016年1月より統一されました。上記全てに発生する「譲渡損益」「配当金」「償還差損益」「利子・分配金」は全て申告分離課税20%がかかるようになります。
この改正によって影響を受けるのは、「国債」「地方債」「外国の国債と地方債」「公募公社債」「公募公社債投資信託の受益権」「MRF」「MMF」などです。
例えば、今まで外貨の買付と売却で利益が出ても非課税でしたが、そのままそれらの利益にも20%の申告分離課税が発生するのです。

損益通算範囲の拡大

2016年1月の税制改正で投資はどう変わる?

税金の一体化によって分かりやすくなった反面、今までよりも税金かかってしまうのではないかと考える方もいるかと思います。
しかし、必ずしもそうではなく、以前より支払う税金額が減るケースもあります。
それと密接な関係がある改正が、一体化による損益通算範囲の拡大です。損益通算とは、繰越控除のことを指します。
今までは「上場株式」と「公募株式投資信託」で発生した「譲渡損益」と「配当・分配金」のみ損益通算が可能でした。
しかし今回の税制改正にともない、「公募公社債投資信託」と「公社債(債券)」で発生する「譲渡・償還損益」と「利子・分配金」も損益通算が可能になったのです。
例えば、株式の譲渡損益で300万円の利益が出たにも関わらず外貨の売買で180万円の損益を出した場合、今までは300万円に20%の税金がかかって60万円の支払いをしなければなりませんでした。
しかし今後はこれら2つの損益通算が可能になり、『利益300万円-損益180万=120万』と計算できて、120万円の20%である24万円の支払いで済むのです。
また、確定申告をすることにより、損失の繰越控除が最大3年間可能になりました。

特定口座を開けばもっと楽に

今までは各金融所得毎に計算方法や税率が違ったので、ひとつずつ計算する必要がありました。
しかし、今回の一体化によりそれらが一度で済むようになりました。
さまざまな金融所得を総合的に管理することで税金が軽減されることがあるのも魅力のひとつです。
しかし、医師には「忙しくて金融所得の管理なんかしていられない」とお考えの方も少なくないことでしょう。
そんな方には、証券会社で特定口座を開くことをおすすめします。今までも、「上場株式」と「公募株式投資信託」ならばこの特定口座が使えました。
さらに、源泉徴収ありの特定口座にすることで譲渡損益と配当金等の損益通算を任せることができました。
その対象範囲に、今後は「公募公社債投資信託」と「公社債(債券)」も適用されることになったのです。
さらに、今後は源泉徴収ありの特定口座で金融所得と資本所得をまとめて管理することで、損益通算のみならず、必要に応じて確定申告を任せることが可能になりました。

開業のための準備金を集める方法の1つ

勤務医をされている方で、将来は開業しようと考えている方もいるかと思います。しかし勤務医の労働所得のみで開業準備金を貯蓄するのは容易ではありません。
中には学生時代の奨学金返済に追われている方もいるのではないでしょうか。
また、忙しいため投資の管理に手を出せなかった方もいるかと思います。
こういった医師にとって今回の税制改革は、リスクこそあるものの投資によるリターンも得やすいものとなりました。
開業準備金に悩みを持つ医師は、これを期に「投資」を考えてみるのも良いのではないでしょうか。

最終更新(2016/02/08)

2016年1月の税制改正で投資はどう変わった?

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