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2021.11.03

書評『フローチャート整形外科診断』整形外科初学者は必読の一冊!

民間医局が、専攻医・研修医・医学生におすすめ書籍を集めた「医書マニア」。

医学書を読むのが大好きな先生方が初学者に向けた医学書解説・比較の医学書レビューと、
日々医師のために医学書を作る出版社の担当者がおすすめの良書をこちらで集めて発信していきます。

購入先のリンク(Amazon)も掲載していますので、お気に入りの書籍あればご購入ください。

レビュー著者:三谷雄己先生(踊る救急医先生)

書評『フローチャート整形外科診断』整形外科初学者は必読の一冊!
ERでの業務の合間に後輩たちからよく聞くのは、

「整形外科疾患に苦手意識を感じます…」

「首や腰が痛いとの訴えで来院された方に、内科的疾患を除外したあとの鑑別にても足も出ません…」

という声です。

確かに自分自身、もともと整形外科に興味があったためいろんな整形外科の本を読んできましたが、実際に読んだのは手術の本ばかりで、救急外来での診断学については断片的な知識しかないので経験則で診断や鑑別をしていたのも確か…。

初期研修医の先生たちがもっとわかりやすく、そしてクリアに整形外科の診断学について教えてあげられるように知識を身に着けたいなあ…。そんな時にこの書籍に出会いました。今回整形外科の診断学分野の初めに読むべき一冊として自分が自信をもっておすすめするのがこちらです。

これから皆さんにご覧いただくのは、研修医時代に100冊以上の医学書を読み、その中でもオススメの医学書レビューを月5冊以上書いている、ある救急科専攻医のレビューです。医学生や研修医、各分野の初学者の気持ちが痛いほどわかるので、手に取ってみたいと思っていただけるようなレビューを心がけています!

今回の医学書レビューは、著者である藤井達也先生に当記事を確認いただいており、一部本書の前書きの内容も引用させていただきました。

書評『フローチャート整形外科診断』整形外科初学者は必読の一冊!
    1. 1.本書のターゲット層と読了時間
    2. 2.本書の特徴
    3. 3.個人的総評
    4. 4.おすすめの使い方・読み進め方
    5. 5.医書レビュー
    6. 6.まとめ

1.本書のターゲット層と読了時間

【ターゲット層】整形外科診療に関わるプライマリーケア医救急外来でのwalk-in診療に従事する初期研修医、卒後3年目の駆け出し整形外科医

【推定読了時間】 5-6時間程度

2.本書の特徴

本書の特徴は、整形外科医師として勤務するなかで、整形外科の診断学について日々研究されてきた藤井達也先生が、

●救急外来での頻度の高い整形外科疾患を自信を持って診断できるようになってほしい!

●この本をきっかけに、整形外科疾患の診断に近づく体験をしてもらいたい!との思いを込めて制作した一冊です。

この本を読み終えた時には、救急外来での主訴に応じた整形外科疾患の鑑別を中心とした、今後何科に進んでも大事な基礎となる整形外科で学ぶべき重要事項を学習している事でしょう。

3.個人的総評

今回の総評はほぼカンストしていますが、正直オススメ度やわかりやすさには☆100個ぐらい付けたいほどでした…笑

こんなに夢中で読み進めた医学書は久しぶりでした。

本書の特徴は、なんと言っても症候ごとに最初に掲載されているフローチャートでしょう。このフローチャートに準じて実際に救急外来でコモンな疾患を診断していきます。それぞれの症候や疾患について豊富な図表を使ってくださっているのでスイスイ読み進められます。

特に各部位に掲載されている外表から触れることのできる疼痛部位と鑑別疾患についてのまとめイラスト内容については目から鱗の内容ばかりでした。

そして、何より著者の藤井達也先生の愛を感じるのが、本文中の初学者がつまずきやすい用語や身体所見について丁寧に注釈やPOINTとして別項にまとめてくださっている点です。専門用語は頻出し、つまずきそうになった瞬間そっと手を差し伸べてもらえるような安心感で、最後までストレスなく読み進めることができる…読了感の心地いい一冊でした。

あくまで個人的な評価であり、何様だよと言われてしまうことは重々承知ではありますが、本書は整形外科疾患の診断学を学ぶ上で必読の一冊である!と感じました。今後出会う初期研修医に本書を勧めたいと思います。

4.おすすめの使い方・読み進め方

●これまで悩んだ診療を思い出しながらまず通読!

●その後は救急外来で各症候に該当する症例に出会うたびにフローチャートを中心に復習

個人的におすすめの使い方をご紹介します!

私個人の意見としては本書を読んだ後に経験する整形外科疾患の診察はフローチャートを用いた体系的なものとなるため、初期研修医など早い段階での通読をおすすめします。

個人的な印象ではありますが、救急外来で経験する軽症整形外科疾患は詳細な身体診察を行うことなく画像診断を早期に行い、結果頻度の高い疾患でしたというパターンが多い気がします。本書を使って適宜復習し、自分の問診や診察が果たしてもれなく行えていたかを毎回確認することが大切だと感じました。

5.医書レビュー

基本情報

著者:藤井達也
出版社:中外医学社
発行年月日:2020/12/30
B5変形
258頁
ISBN978-4-498-05484-4
価格:定価 7,040円(本体6,400円+税10%)

ターゲット層

ターゲット層は、整形外科診療に関わるプライマリーケア医救急外来でのwalk-in診療に従事する初期研修医卒後3年目の駆け出し整形外科医。

推定読了時間

5-6時間程度

評価 フローチャート整形外科診断
購入先
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6.まとめ

本書は整形外科疾患の診断学を学ぶ上で必読の一冊である!以下に要点や基本事項をまとめましたので、購入する際には参考にしてください。

★今回の書籍以外にも、踊る救急医先生の医学書レビューはこちらのページで読むことができます!
想定読者や各診療科ごとにわかりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
詳細はこちら≫https://dancing-doctor.com/2021/03/31/review-reader/

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<プロフィール>

三谷 雄己(みたに ゆうき)先生
広島大学救急集中治療医学所属
広島大学病院 救急科 医科診療医
日本医師会公認健康スポーツ医
日本救急医学会認定ICLSインストラクター

立派な救急医を目指し、指導医の先生方に教えていただきながら日々修行させていただいています。
信念である「知行合一」を実践できるよう、臨床で学んだ内容をアウトプットすることで心掛けております。


【踊る救急医】
Twitter https://twitter.com/houseloveryuki
ブログ https://dancing-doctor.com/

三谷 雄己【踊る救急医】

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