記事・インタビュー
公益財団法人 日米医学医療交流財団が主催する「2019年 医学医療交流セミナー」を取材してきましたので、その様子をご紹介します。
<テーマ>
世界に羽ばたく医師・医学研究者
<本セミナー開催の趣旨>
世界の医療に関する情報の9割が英語です。しかし現在の日本の教育ではその現状を学ぶ機会は非常に少なく、世界のグローバル化とともに医療の世界はますます国際化が進み、医師として世界と繋がり、国際的視野を持って働くことは必要不可欠となってきています。
今回のセミナーの第1部では、医学英語を専門とする医師から、医療現場で活用できる英語力を身につけるコツや、米国での医師免許取得のためのUSMLE合格準備について、第2部では、米国で医師や医学研究者として働く日本人医師から、アテンディング・ラウンドの実際や、米国で医師や研究者として働くことの意義や魅力を伝えます。
開催概要
日時:2019年11月2日(土)12:45~16:50
場所:名古屋大学 東山キャンパス シンポジオン会議室(1階)
コーディネーター:
粕谷 英樹先生(日米医学医療交流財団 賛助会員/名古屋大学大学院医学系研究科 国際医学教育学 教授)
小池 薫先生(日米医学医療交流財団 理事/京都大学大学院医学研究科 初期診療・救急医学 教授)
スケジュール
9:00~11:45 名古屋大学医学部附属病院内ツアー ※対象:高校生のみ
粕谷 英樹先生(日米医学医療交流財団 賛助会員/名古屋大学大学院医学系研究科 国際医学教育学 教授)
12:45~13:00 開会の辞
門松 健治先生(名古屋大学大学院医学系研究科長・医学部長)、黒川 清先生(日米医学医療交流財団 会長)
13:00~14:35 【第1部】海外で活躍する医師・研究者になるために
司会:門松 健治先生(名古屋大学大学院医学系研究科長・医学部長)、伴 信太郎先生(日米医学医療交流財団 顧問/愛知医科大学 特命教授 医学教育センター長 シミュレーションセンター長)
医療現場で使える英語力と USMLE の準備
押味 貴之先生(国際医療福祉大学医学部 医学教育統括センター 准教授)
大学院でのJoint Degree Program(JDP※)を経験して
※JDP:日本と海外の2大学から博士号を取得するプログラム
富貴原 淳先生(名古屋大学大学院医学系研究科 呼吸器内科)
6年生の海外臨床実習を経験して
布施 佑太郎先生(半田市立半田病院 脳神経外科)
留学に関するご案内
宇田 左近氏(日米医学医療交流財団 専務理事)
14:55~15:45 【第2部】海外で医学研究者、医師として働く
司会:粕谷 英樹先生(日米医学医療交流財団 賛助会員/名古屋大学大学院医学系研究科 国際医学教育学 教授)、赤津 晴子先生(日米医学医療交流財団 選考委員/国際医療福祉大学医学部 教授 医学教育統括センター長 成田キャンパス国際交流センター長)
米国で医学研究者として働く
土井 洋平先生(ピッツバーグ大学医学部 感染症内科 准教授/藤田医科大学医学部 微生物学講座・感染症科 教授)
米国で医師として働く -レジデントと教員を経験してー
平井 大士先生(ミズーリ大学医学部 循環器内科 助教)
15:55~16:45 【第3部】総合討論(質問票を基にディスカッション)
パネリスト:押味 貴之先生(国際医療福祉大学医学部 医学教育統括センター 准教授)、布施 佑太郎先生(半田市立半田病院 脳神経外科)、土井 洋平先生(ピッツバーグ大学医学部 感染症内科 准教授/藤田医科大学医学部 微生物学講座・感染症科 教授)、平井 大士先生(ミズーリ大学医学部 循環器内科 助教)
16:45~16:50 閉会の辞
門松 健治先生(名古屋大学大学院医学系研究科長・医学部長)
17:00~18:30 懇親会
名古屋大学 東山キャンパス シンポジオン2階 ユニバーサルクラブ
インタビュー
コーディネーター:
粕谷 英樹先生(日米医学医療交流財団 賛助会員/名古屋大学大学院医学系研究科 国際医学教育学 教授)
小池 薫先生(日米医学医療交流財団 理事/京都大学大学院医学研究科 初期診療・救急医学 教授)
2019年11月2日(土)に名古屋大学で行われた、日米医学医療交流財団主催“医学医療交流セミナー2019「世界に羽ばたく医師・医学研究者」”には、医師だけではなく医学生や高校生も多く参加し、活気あふれるセミナーとなりました。
――今回のセミナーは「海外で医学研究者、医師として働く(活躍)するために」をテーマに、現場で通用する英語力の習得方法、USMLEの合格準備、さらにアテンディング・ラウンドの実際や外国で働くことの魅力などについて登壇者から語られました。
小池:このセミナーは20年ほど前から毎年行われ、全国から留学に興味のある熱心な方々が参加されています
粕谷:登壇者は医学英語やアメリカ留学に詳しいバラエティ豊かな人選で、実例を交えながら留学準備からその後のキャリア形成までの具体的なアドバイスが数多く発信され、来場者の関心が途切れることのない有意義なセミナーとなりました
――近年、医療界でもグローバル化が進み、これからの医師は国際的視野を持つことも重要ですが、海外留学をする日本人医師は減少傾向にあるのが現状です。留学する魅力や意義について両氏からメッセージをいただきました。
粕谷:留学は人生観が変わり人脈も広がる素晴らしい機会です。チャンスは突然回ってきますが、その時、たとえ語学などの準備ができていなくても手を挙げ、行動することが大切。努力した分、キャリアの選択肢が増え、自分らしく自由な人生を実現できるはずです
小池:私自身も当財団の助成によってアメリカに留学し、その経験が後のキャリアにどれだけ役に立ったのかを身に染みてわかっています。留学は間違いなく人生を大きく変え、豊かなものにしてくれるでしょう
セミナーの主催である日米医学医療交流財団は医療従事者の国際交流支援を目的に1988年に設立され、現在までに600名超の医療従事者の留学助成を実施。2018年からはアメリカで増加している「ホスピタリスト」に着目し、日本版ホスピタリストを志す医師を対象に留学助成を実施しています。
ホスピタリストとは、入院患者に対して特定臓器や疾患にとどまらず、包括的な医療を提供する医師のこと。こうした医師は日本全体で不足しており、これからの時代に必要となる医師です。海外留学や「ホスピタリスト」に興味のある方は日米医学医療交流財団の留学支援を活用してみてはいかがでしょうか。
公益財団法人 日米医学医療交流財団
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