記事・インタビュー
神奈川県を拠点とする在宅医療のクリニック「医療法人社団さんりつ会 そうわクリニック」では、分院も含め、ともに地域の在宅医療を支える医師を募集しています。求人内容の詳細から職場環境、在宅医療への想いまで、理事長の壁谷悠介先生、そうわ堀之内クリニックの院長である天木惇先生、そうわクリニック(橋本)で勤務する伊藤史之先生に伺いました。
<お話を伺った方>



在宅医療への挑戦を万全の体制でサポート
Q: はじめに、グループの概要を教えてください。

壁谷 先生
グループの医療法人は、相和病院、訪問診療を行っている、さんりつ会、東京さんりつ会、あすなろ会があります。また、訪問看護を提供している訪問看護ステーションクラエもグループです。
現在、グループの在宅医療を提供するクリニックは9つあり、常勤医師は25名ほどです。訪問診療では、グループ全体で約4千人の患者さんの療養を支えています。
Q: 医師を募集しているクリニックや勤務日数、求めるスキルなどを教えていただけますか。

壁谷 先生
在宅医療へのニーズの高まりもあり、医師はすべてのクリニックで募集中です。
勤務時間は9時から18時までとしていますが、子育て中のため半日だけという先生もいます。多くの先生が在宅医療に参加できる受け皿をつくりたいと思っており、勤務日数についても、週4日や週1日のみなど、可能な限り柔軟に対応しています。
来ていただく先生に求めているのはコミュニケーション能力です。患者さんやご家族、地域の事業者の方と丁寧にコミュニケーションをとれるか、スタッフとフラットに話ができるか、そうした部分を重視していますね。
在宅での処置や使用するデバイスなどは、やりながら覚えていただければ良いと思っています。経験や希望にもよりますが、入職後2週間ほど他の医師の訪問診療に同行し、学んでいただきます。
また、糖尿病、血液、循環器など、各科の先生が在籍しているため、疑問があればすぐ相談できます(見学したい処置がある場合は同行も可能)。
長く臨床から離れていた元研究職の先生が、数か月前に入職されたのですが、一定期間僕が同行し、処置を覚えていただきました。そうしたセカンドキャリアとして在宅にチャレンジしたい方や、クリニック経営・学会活動といった臨床プラスαの経験を求める方にも、ぜひ来ていただきたいです。
Q: 天木先生はさんりつ会のどのようなところに惹かれ、入職を決めたのでしょうか?また、伊藤先生は前職でも在宅医療に携わられておりますが、入職のきっかけを教えていただけますか。

天木 先生
入職の決め手は、当院が輸血の対応を行なっていたことです。前職の病院で血液腫瘍内科として勤務するなかで、輸血が必要という理由で自宅に帰れず、病院で最期を迎える患者さんを多く診てきました。「自宅で過ごしたい」という希望を叶えるため、今後は在宅で血液疾患を診られる医師、輸血に対応できる体制を持ったクリニックが必要になってくるのではないか、ぼんやりと考えていました。
そして在宅医療の分野に進むことを決め、転職先を探していたときに、当院と出会いました。当時は在宅で血小板の輸血まで対応しているクリニックは非常に珍しく、ここでぜひ学ばせていただきたいと思い、入職を決意しました。患者さんのためにやった方がいいことがあれば、難しいことでもどうやったら実現できるかを考えてくれるクリニックだと、入職後さらに実感しています。

伊藤 先生
きっかけのひとつはオンコール対応です。
当院の前に働いていた在宅クリニックも、職場環境はとても良かったのですが、毎週末にオンコール対応があり、体力的に少し厳しさを感じていました。その点、当院ではオンコールの体制はあるものの、「やる・やらない」を医師自身が選べます。僕は平日のみの当番にしているので、土日はしっかり休めるようになりました。体力が持つ限りはオンコール当番も続けたいと思います。けれども、将来的には難しいと思う時期も出てくるかもしれません。オンコール当番の選択肢があるのは、今後の働き方を考えるうえでも大きな魅力だと思っています。
Q: 伊藤先生からもお話がありましたが、オンコール対応や休日の取得に関して、詳細を教えていただけますか。
壁谷 先生
当院は「オンコール当番なし」を希望されている先生も採用しています。常勤の先生に関してはオンコールをやらない方がほとんどです。もちろん、当番に入った先生には手当てがつきます。ちなみに、オンコールは近いエリアのクリニックで構成した3グループに分かれており、夜間・週末は常にグループ毎に当番医師が待機しています。

天木 先生
一般的な在宅クリニックに比べ医師の人数が非常に多いため、体調不良などの急な休みであってもカバーしあえるのが特徴です。各拠点のカルテも共有できるシステムになっています。
夏休みは皆取得されています。僕も昨年お休みをいただきました。
Q: 職場環境はいかがですか?

天木 先生
非常に働きやすい環境です。輸血のマニュアルをつくった際も、入職して間もない僕の提案をすんなり受け入れてくれました。
壁谷先生が話していたように、さまざまな診療科の医師が在籍している点も大きな魅力です。担当患者さんの約9割が、私の専門外の病気をお持ちですが、気になることがあれば他の常勤医師に直接尋ねたり、Teamsで聞いたりと、気軽に相談できる環境があります。こうした日々のやり取りはスキルアップにつながっていると感じています。
そして何よりも魅力に感じているのが、地域の事業者さんとのつながりを大切にしている点です。何かあったときにすぐにコミュニティ内で情報を共有し連携できることは、医師にとっての働きやすさにも大きく貢献していると思います。
伊藤 先生
基本的に残業もなく、休みも取れる、さらにオンコールの「やる・やらない」も選べると、医師自身の生活に合わせて働ける環境です。運転や書類関係などすべてを医師一人が担う在宅クリニックもありますが、ここは看護師が同行しますし、事務スタッフもいるため、サポート体制が整っていると感じます。

壁谷 先生
在宅医療は患者さんとの距離が近くやりがいがあります。だからこそ、働きやすい環境づくりは常に心がけています。常勤医師数が多いさんりつ会ですが、過去に退職された先生は数名だけで、辞める先生がほとんどいません。先日先生方と個別面談をしたときにも、皆さんから「働きやすい」と言ってもらえてすごくうれしかったです。
在宅医療は患者さんの生活があってこそ。謙虚に、丁寧に信頼関係を築く
Q: 壁谷先生が在宅医療のクリニックを立ち上げたのには、どのような経緯があったのでしょうか。

壁谷 先生
今の道に進んだきっかけは、前職のクリニックから「在宅医療をやらないか」という誘いがあったことです。
糖尿病内科として病院で勤務していたころから“患者さんの生活と医療を一緒に診る”という視点を
持っていたので、訪問診療自体は未知の分野でしたが、飛び込んでみたらとても面白く、やりがいを感じました。
そして訪問診療を行っていく中で、病床を持つ病院をコアに、地域に在宅医療がある形が理想ではないかと考えていたところに、相和病院から在宅医療部門立ち上げのお話をいただいたので、チャンスと思い、参画することにしました(相和病院:神奈川県の療養型病院)。
その後、2019年に病院と連携した訪問診療のクリニックを開設。2021年に「医療法人社団さんりつ会」を立ち上げ、今に至ります。
Q: 立ち上げから5年間で9クリニックにまで拡大と急成長を遂げておりますが、その要因はなんだとお考えですか?
壁谷 先生
立ち上げ当初から大切にしてきたことが2つあり、それが現在の成長の要因だと考えています。
ひとつは、患者さんやご家族とのやり取りを真摯に行うことです。ごく当たり前のことではありますが、在宅医療では患者さんやご家族としっかり向き合う姿勢が何よりも重要です。
もうひとつは、地域の事業者の方々との関係を、謙虚に、丁寧に築くこと。在宅医療は、患者さんの生活が成り立っていることが大前提となります。ご自宅でご家族と穏やかな時間を過ごしていただくためには、まず生活を支える事業者の方々を尊重しなくてはいけません。
この2つを一貫して実践してきたことで、まずは相模原で「やっぱり、そうわクリニックさんだよね」と言っていただけるようになりました。続いて八王子にも展開したところ、同じように地域に受け入れていただき、現在は、より多くの方々に私たちの医療を届けたいという想いでクリニックの拡大を進めています。
Q: 最後に、今後の展望を教えてください。

壁谷 先生
東京や神奈川では在宅医療が一定程度普及していますが、今後さらにニーズが高まると予測されています。そうした背景を踏まえ、2040年頃を目標に、関東を中心に40-50の拠点を展開していきたいと考えています。
また、チャンスがあれば、現在のように「コアとなる病院」と「在宅医療の拠点」が連携する形を、他の地域にも広げたいと思っています。そうして、まだ私たちの在宅医療を届けられていない患者さんにも必要なケアを提供していきたいです。
在宅医療は非常にやりがいがあり、面白い分野です。これからこの世界に飛び込もうと考えている先生方にも、安心して力を発揮していただける環境を整えていきたいと思っています。関心のある人にぜひ来ていただきたいです。
そうわクリニックでは一緒に働いてくれる医師を募集しています。

(法人本部所在地)
神奈川県相模原市緑区東橋本2丁目30番8号 2階
TEL:042-785-2801(採用担当)
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そうわクリニック
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