記事・インタビュー
広島からバスで約2時間、松山空港からは約1時間、愛媛県東部にある今治市。瀬戸内海に面したこの土地で、80年以上、地域の医療を支えてきたのが済生会今治病院です。特にがん治療に関しては地域がん診療連携拠点病院に指定され、先進的な機器による治療から緩和ケアまで総合的な診療を提供しています。今回は、済生会今治病院や今治市で働く魅力について、院長の松野剛先生と二宮俊男事務長にお話を伺いました。
<今回お話を伺った方>
院長 松野 剛先生(まつの・つよし)
二宮 俊男 事務長(にのみや・としお)
Q:まずはご経歴を教えてください。
松野 院長
大学卒業後、大学院で13年ほど胃がんと腎臓移植を担当した後、2000年の10月に今治病院に外科部長に就任しました。
副院長時代の仕事としては、臨床研修病院の指定をうけたこと、2007年に地域がん診療連携拠点病院になったことなどがあります。その後、2009年に院長に就任し、放射能治療装置を導入したり、化学療法もできる体制を整えるなどし現在に至ります。
二宮 事務長
1994年から30年近く医事課を中心に事務を担当しています。2002年頃には地域の医療連携を担当する部門の立ち上げに関わりました。その辺りから、医師や職員といった“人”と関わることが多くなり、今の事務長としての役割につながっていくようになりました。
Q:済生会今治病院の魅力はどんなところにありますか。
松野 院長
まず、がんの拠点病院になっているところでしょうか。191床という中規模の病院とは思えない医療機器を導入しています。例えばサイバーナイフ(定位放射線治療機器)やPET-CTなどですね。地域の方に最新の医療を提供し、かつ特殊な脳腫瘍などに関しては県外からも患者さんが来る病院になっています。
また、健診センターでは年間1万人以上の方を検診し、がんの早期発見にも力を入れています。
臨床研修の病院でもあるので、若い先生が多いのも魅力です。研修医の指導をする熱意のある先生も来てくれているんです。
二宮 事務長
職員間の風通しが良いと思います。専門職集団は縦割りになりがちだと思うんですが、当院の場合はそういったことが以前から少ない。60人近くの医師がいますが、伝統的に大部屋制をとっていて、年齢や科目に関わらずコミュニケーションが取りやすいんですよね。
また、メディカルスタッフの多さも特徴です。臨床工学技士が現在16人、管理栄養士が13人、診療放射線技師も21人と同規模の病院と比べても多いんです。先生方からは業務の役割分担がしっかりしていて、過剰な負担を担うことなく仕事がしやすいと好評です。
私自身は、現場に足を運ぶことを心がけ、本当に困っていることは何か、自分自身で確かめるようにしています。特に入職されたばかりの先生とは、定期的に情報交換するようにしています。
Q:どんな先生と一緒に働きたいですか。
松野 院長
チーム医療を行なううえで、コミュニケーションをとれる方が良いですね。具体的な求人でいうと、特に麻酔科の先生が高齢になってきたので、ぜひ若い先生に来ていただきたい。
二宮 事務長
地方都市でも最良の治療を提供できるんだという思いを持っている先生、チーム医療における意思疎通の重要性を認識している先生に来て欲しいです。
Q:どのような病院を目指していますか。
松野 院長
ロボット支援手術の導入を検討するなど、医局関係なく、特に外科にどんどん若い先生が来てくれるような体制作りを進めています。
二宮 事務長
次の5年間のビジョンとして、地域で最も信頼される中核病院になることを掲げています。そのためには患者さんはもちろん、医師や医療スタッフからも選ばれる病院にならないといけません。働きやすい環境作りなどその努力を続けています。
Q:働き方改革をうけて、取り組んでいることはありますか。
松野 院長
タスクシェアによって少しでも働きやすくしていく必要があると思っています。元々新人看護師に対する教育体制が整っており、かつ臨床工学技士などスタッフ数も多いこともあり、そういった取り組みは進めやすいですね。
また、院内保育所を完備しています。実際、女性の研修医が出産後お子さんを預け、研修を続けるということもありました。出産・育児と、キャリアアップを両立させたい先生の助けにもなるのではないでしょうか。
Q:今治の素敵なところについて教えてください。
松野 院長
20年前、私が来た時には今治は人口が減り寂しい町になりかけていたんです。ですが、市長さんをはじめいろんな方が努力し、人が集まる街づくりが進められ活気づいていったんですね。実際、宝島社の2023年版「住みたい田舎」ランキング全4部門で、今治は1位になったんですよ。
市内の今治西高校や、松山市の愛光学園など進学校もそろい教育環境も整っています。大きな公園もあり子育てにも良い土地だと思います。
二宮 事務長
サイクリングでお馴染みの瀬戸内しまなみ海道もありますし、自然が豊かで癒されます。魚の品質も本当に良いんです。来島海峡の鯛は、潮に揉まれて、美味くなるんですよね。刺身にすると今治の魚はひと味違うなって感じますよ。
松野 剛、二宮 俊男
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