記事・インタビュー

2022.07.12

金魚すくいのポイとスマートフォンアプリで手術トレーニングを変える

外科医のトレーニング環境改善に向けて

【経歴】

一般社団法人メディカルキャリアラボの山田敏之です。普段は名古屋市立大学に所属し、大学病院で心臓血管外科医として手術を行ったり、大学教員として医学生や大学院生を指導したり、はたまた研究員として研究したりしています。

大学を卒業して14年、心臓血管外科医になって12年、心臓血管外科医としては大体の手術ができるようになりましたが、職人と言われる域に達するにはまだまだ長い道のりがあるように思います。また、研究者としては慶應義塾大学大学院にて博士号を取得しましたが、研究に関しても目指すゴールはまだまだ遠いといった印象です。

外科人生をだいたい30年とすると、そろそろ折り返し地点となりますが、自分が一人前になるのと並行して、外科業界に何か役に立てることはないかと考える年頃になりました。

【現状】

外科医のトレーニング環境改善に向けて

ところで、日本において外科医が不足しているということをご存知でしょうか?外科医は自らの手で手術という技で患者の疾患を直接治す診療科です。そのやりがいといったら言葉では例えようもありません。しかし、その責任の重さ・働き方、また独り立ちするまでに時間がかかるということにより、外科医を目指す若者が減っているのが現状です。
外科医のトレーニング環境改善に向けて
そこで、外科医という仕事の魅力がより良く伝わるように教育をより効率的に、さらには外科医+アルファとなるような面白い生き方を提示できたら外科医の未来が明るくなるのではないかと考えるようになりました。私は心臓血管外科医として、外科医を取り巻くトレーニングを行う環境を、何か面白い方法で解決したいと考えたのです。

まず、私も所属していた心臓血管外科学会のU-40という名前の40歳以下の若手医師の会で、金魚すくいのポイを手術で使用する糸と針で縫っていくというトレーニングが考案されました。薄くて破れやすいポイの紙を皮膚に見立てて、破らないように縫っていくことで、外科手術の上達が見込めます。安くて簡単にトレーニングできるのがポイントです。さらにこのトレーニングの出来栄えを自動で採点できる携帯アプリを慶應義塾大学にて開発しました。定型化されたトレーニングキットと、いつでも客観的に採点できるアプリを組み合わせることで、トレーニングのゴールが点数で目に見えることで技術の習得期間が短縮されることが期待されます。これは心臓血管外科の手術に限る物ではなく、腹腔鏡や胸腔鏡、ひいてはロボットを利用しての手術トレーニングに応用可能ですし、また外科医にならずとも簡単な手術手技は全ての医師に必要な技量ですので、医学生の外科手術教育にも役に立つと考えました。
外科医のトレーニング環境改善に向けて

参考動画(チームWADA:本物の外科医)

【意気込み】

手術トレーニングを面白く、しかし科学的根拠を持って行われることは「まじめな」医療業界ではあまり考えられたことではありませんでした。また、「医者の常識は社会の非常識」と言われるように、私たち医師は医業に全力投球する一方で社会の仕組みをあまり知りません。これは大学に入学したのちにそれらを学ぶ機会も知る機会もあまりないからです。よく考えますと、医療機器のほとんどは海外製品です。物を作って売るということがどういうことなのかを知りたくなったのも、法人を作って手術教育アプリを世の中に実装したいと思った理由です。外科医のトレーニング環境のため、そして外科医を目指す若者のために、ご支援・応援を、よろしくお願いいたします。

<プロフィール>

山田 敏之

山田 敏之(一般社団法人メディカルキャリアラボ)

#名古屋市立大学(心臓血管外科、医局長) #慶應義塾大学 #JKiC (JSR・Keio University Medical and Chemical Innovation Center) #U40(プロジェクトリーダー、中部支部幹事) #一般社団法人メディカルキャリアラボ(#旧JAYCS 副理事長/副代表)

山田 敏之

金魚すくいのポイとスマートフォンアプリで手術トレーニングを変える

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