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2021.08.06

医学部では教えてくれない【女性医師の婚活】

医学部では教えてくれない女性医師の婚活

結婚・妊娠・出産は個人の自由ですが、結婚をしたい場合は婚活をしなければ始まりません。結婚を希望しているのに婚活をしていないのは、ホームランを狙っているのにバッターボックスに立っていない、料理を作りたいのに食材を買っていない、ツイッターでバズりたいのにアカウントを作っていないのと同じです。

結婚するためには、とにかく、婚活を始めなければなりません。

女性医師の婚活のエビデンス

女性医師が、婚活において不利な理由は数え切れないほどありますが、まずはエビデンスをご紹介します。

医師・看護師の婚姻状況を調べた論文(2013)では、20~59歳の女性医師のうち、47.9%が未婚であると推定しています。一方、男性医師の未婚率は14.6%、女性看護師の未婚率は33.0%、男性看護師の未婚率は36.9%です(1)。そもそも女性医師は経済的に自立しているため、結婚を望まない人も多いかもしれませんが、約2人に1人は非婚(注)です。結婚を希望する女性医師は、仕事に加えて婚活を頑張らなければいけないことが推定されます。

次に、結婚する年齢です。女性医師の平均初婚年齢は34.9歳で(1)、これは専門医免許の取得前後のタイミングにあたります。一方で、男性医師と女性看護師の平均初婚年齢は約30歳、男性看護師は28.8歳であり(1)、30歳を超えると周囲のメディカルスタッフは既婚者が増えてくるようになります。

もう一つは妊娠・出産です。論文では、子どもが最低1人欲しい場合は、自然妊娠では32歳、不妊治療を覚悟すれば35歳から妊活を開始することが推奨されています(2)。体外受精などの生殖補助医療(ART:Assisted Reproductive Technology)を使用したときの妊娠率は、35歳で25%ですが、流産率が10%あるため、実際に出産まで至るのは20%前後です。40歳以降は、妊娠率よりも流産率の方が高くなってしまうため、出産まで至るのはARTを行った人の10%以下になってしまうことに注意が必要です(図1、参考文献3)。

婚活開始から結婚・妊娠まで数年かかることを考えると、妊娠・出産を希望する女性医師は、30歳には婚活を開始したほうがよいかもしれません。

注:未婚は「まだ結婚していない」と、将来結婚することが目標のように受け取れるため、この記事では「非婚:そもそも結婚を目標としていない」と定義しました。

医学部では教えてくれない女性医師の婚活
【図1】生殖補助医療(ART)妊娠率・生産率・流産率(2018年)

参考資料3.公益社団法人日本産科婦人科学会 登録・調査小委員会
https://plaza.umin.ac.jp/~jsog-art/

女性医師の婚活の方法

現実には、映画のような素敵な出会いも、漫画のような突然の偶然は存在しません。街を歩いていて芸能事務所にスカウトされるくらいの絶世の美女でない限り、結婚するためには婚活をする必要があります。婚活の方法は、ライフスタイル、投資額、目的、目標に合わせて選ぶことが可能です。重要なのは「とりあえず、やってみる」ということです。表2は筆者が独断と偏見で作成したものになります。必ずしも1個だけにこだわらず、並行して何個か行っても問題ありません。正直、仕事をしながらの婚活は、気持ち的も体力的にも精神的にも大変だと思いますが、千里の道も一歩から。“失敗は成功のもと”を座右の銘として、「とにかくまずはやってみる」ということで、始めてください。

【表2】婚活の方法

方法 本気度 身体的負担 費用 確実性
お見合い ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★ ★★★★★
結婚相談所 ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
婚活パーティー ★★★ ★★★★ ★★★ ★★★
合コン ★★ ★★★ ★★★ ★★★
婚活サイト ★★
知り合いの紹介 ★★ ★★ ★★

女性医師がパートナーに求めるもの

まずはパートナーをイメージしてみます。女性医師のパートナーの多くは同業者(医師)ですが、良い点(仕事に対する理解が得られる、話が合う)も悪い点(忙しくて家事・育児をしてくれない、不倫が多い??等)もあります。これらは筆者の個人的なイメージなので、何を求めるかはあなた次第です。あなたがパートナーに最低限求めるものを3つ紙に書き出してみてください(例:優しい、ギャンブルをしない、家事・育児を手伝う、趣味が合う、家事・育児をしてくれる、身長○○センチ、年収●●●円など)。そのうちの1つを削ってください。残った2つがパートナーに最低限求めるものです。3つを同時に満たせる人間は、この世には存在しないと思ったほうがよいでしょう。2つにしてください。パートナーの目標として「80点くらいの人がいれば~」と思っている方がいたら、「60点以下」に設定し直してください。基本的には平均以上のことをパートナーに求めていると婚活は始まりません。目標は60点以下にしましょう。

まとめ

女性医師は非婚率が非常に高い職業であり、その職業に就いている場合、結婚・妊娠を希望する場合は婚活が必須となります。妊娠を希望する場合、卵巣機能の視点から30代前半からの婚活開始が推奨されます。女性医師は経済的には自立している職業であり、結婚・妊娠・出産は個人の自由なので、婚活・結婚は必須ではありません。もし婚活をするなら、失敗を恐れず「とにかくまずはやってみる」ことが大事です。

【参考文献】

<プロフィール>

柴田綾子 (しばた あやこ)先生
施設名:淀川キリスト教病院 産婦人科
役職:医長
大学時代にバックパッカーとして15カ国を旅行し、沖縄で初期研修に参加。2013年より現職。
著書:『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社、2017)、『産婦人科研修ポケットガイド』(金芳堂、2020)、『女性診療エッセンス100』(日本医事新報社,2021)
私自身の婚活話については(ほとんどニーズはないと思いますが)、もし希望者がいたら追加で執筆しますので編集部へリクエストをお願いします。

柴田 綾子

医学部では教えてくれない【女性医師の婚活】

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