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2019.06.20

円滑な転職や開業を実現するために、家族の理解と応援を得るには?

家族の理解と応援を得るには?

「行きたい病院が見つかった!」
「開業にピッタリな物件が見つかった!」
期待に胸を膨らませ、家族に相談する。しかし誰の同意も得られず、あえなく白紙になってしまった。そんな経験をした方もいらっしゃると思います。転職市場では一般に、こうした家族などによる反対を「嫁ブロック」「夫ブロック」「家族ブロック」などと呼んでいます。転職をブロックされる原因は、自分だけの判断で転職活動をしたことによるものが大きく、これは医師の転職や開業においても同じです。「キャリアアップのチャンスを逃してしまった」「開業にピッタリな優良物件を逃してしまった」などと嘆かないよう、円滑な転職や開業を実現するためにはパートナーや家族の理解が非常に重要です。

そこで今回は、「円滑な転職や開業を実現するために、家族の理解と応援をどう得るのか」をテーマに、家族から反対される要因や、家族からの理解と応援を得るための方法などを解説していきます。

転職も開業も大きなチャンス! でも、なぜ反対されるのか?

転職や開業は本人のみならず家庭全体にも影響を及ぼす大きなイベントです。本人は目指すキャリアを実現する大きなチャンスだと思っていても、家族にとってはライフスタイルが変化するため、反対されることがあります。その変化が家族にとって許容できるものであればいいですが、遠方への引っ越しや収入減といったマイナス面に大きく変化する場合、家族から猛反対をうけて計画が白紙になってしまうことがあります。また、反対を押し切って強行しても、家族からの冷たい視線、場合によっては離婚にまで発展することさえあり得ます。

唯一の解決策は、事前の“しっかりした話し合い”

転職や開業を家族に理解してもらうためにはどうしたらいいのでしょうか。そもそも、反対されるのは本人の独断で決めたことが大きな原因です。理解してもらうための策はシンプルであり、それは事前に家族としっかり話し合いをすること。その際は、「転職したいと思っている」「開業したいと思っている」といった、単に自分の思いを伝えるだけではダメです。なぜなら家族は「本人が思っているだけ」で「まだまだ先のことだろう」と、現実問題として捉えないからです。重要なのは、細かなことまで具体的にきっちり話すこと。それが話せるかどうかは、現実を見据えた明確なビジョンをもっているかどうかの証でもあり、ひいては転職や開業の成否にも関わってきます。

転職や開業で家族が心配する主な要因とは

ここで、転職や開業における家族の心配要因をピックアップし、理解を得るためのポイントなどを解説していきたいと思います。

収入の変化

収入の変化は家族の生活に直接的に大きな影響を与え、転職によって年収が下がるとなれば大きな問題となります。たとえば、大学院への通学や、国内留学、海外留学、サブスペシャリティの習得のために転職する場合、本人は年収にこだわらないことが多く、実際に下がることもあるでしょう。そのような計画を家族に話す場合は、「この転職が将来のキャリアに必要であること」「キャリアを積むことで将来医師として年収の高い仕事を得ることができること」などをしっかりアピールし、さらに、年収が下がることに対しては「アルバイトを上手く入れながら給与をカバーする」という具体的な解決案も示すことが重要です。

勤務体制や休日の変化

転職によって、それまでのライススタイルが変わることもあります。勤務時間や当直回数、休日の変化なども反対されやすい要素です。たとえば、転職先が主治医制なら急な呼び出しもあり、家族との予定が組みにくくなることもあります。在宅専門のクリニックを開業するとなればなおさらです。ただし、こうした勤務体制や休日の変化に関しては、想定される状況を事前に共有しておくことで理解を得ることができます。

勤務地の変化

転職をすれば当然、勤務地が変わります。問題は、その勤務地が自宅から通えない場所にあるときです。引っ越しをすれば子どもの学校を変えなければならないという問題も発生します。また、自宅が持ち家の場合、引っ越しは簡単にはできず、単身赴任も子育てから離れるため反対されることも。医局に入ると数年単位で転勤があることから、パートナーの反対で医局に入らなかったという医師もいます。また、「仕方がない」「そこは諦めている」と理解はしてくれていても、本音では生活環境を変えたくはないもの。ここでもやはり具体的な話し合いが重要であり、「この転職が将来のキャリアに必要であること」や「移住先の生活環境の魅力やメリット」をしっかりアピールすることが大切です。もちろん、場合によっては「単身赴任」という選択も必要となるでしょう。

資金の確保

開業する場合、転職にはない大きなリスクが発生します。それはお金の問題です。開業には、科目によりますが数千万円~数億円がかかります。自己資金で賄えない場合は銀行からお金を借りることになりますが、いざ開業しても収入の安定は保証されていません。何かあれば家族たちも影響を被る可能性があり、家族にとっても大きなリスクを背負うことになります。具体的な説明をしながら説得を試みても、まず間違いなく反対されるでしょう。

開業は夫婦の共同事業であり、パートナーが反対していたら準備は決して上手くいきません。実際に「開業に良い物件が見つかったが、パートナーからの反対でストップしてしまい、説得した頃には物件が他にわたってチャンスを逃してしまった」という医師もいます。そうならないために、開業コンサルタントと協力して、パートナーや家族にも理解・納得してもらえるよう、診療圏調査や事業計画書を用いてしっかり説明することが重要です。その際のポイントは、自分で説明するのではなく専門家(開業コンサルタント)を通して説明をすることです。専門家が話すことで信用度も高まり、開業への理解も得られるでしょう。

参考:「開業支援のプロが語る必ず成功する医院開業とは?-第2部【準備編】-

応援される転職・開業を実現するために

転職や開業は、家族から理解され応援されて実現したいもの。それには普段から家族とのコミュニケーションを取っていることが大切です。キャリア形成や、それを実現するための具体的なキャリアプラン、今後の子育て方針やそれにかかるお金のこと、さらに資産がどのような状況になっているのかを常に共有しておくことです。もちろん、転職活動や開業準備を始めたなら、その状況も毎日細かく報告し、問題や課題があるならば都度話し合って解決しておくことも重要です。

また、転職の際の病院見学や開業場所の下見などは、本人だけでなく家族も同伴することをオススメします。転職エージェントを利用する場合には、家族での下見もぜひ希望してみましょう。転職に伴う引っ越しがネックだったとしても、病院や病院が位置する土地環境を実際に見ることで、家族の考えが前向きになる場合もあります。こうして転職や開業におけるネガティブな部分を日々の話し合いのなかで少しずつクリアしていけば、家族の理解はもちろん、応援される転職・開業を実現することができます。

もちろん、日頃から話し合いを重ねていても転職や開業を反対されることはあるでしょう。しかし、家族からの反対によって、「転職や開業は得策ではなかった」「そのタイミングではなかった」と後々気付くこともあるかもしれません。普段からしっかり話し合いをした上で最終的に反対されたとしても、話し合いによって双方が導き出した結果であるならば、それが現時点の最善の選択であり正解なのです。

円滑な転職や開業を実現するために、家族の理解と応援を得るには?

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