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2016.05.17

医学部か医科大学か?子どもを医師にするためにかかる費用

医学部か医科大学か?子どもを医師にするためにかかる費用

「医師ペディア」をご覧の皆さんの中にも、お子さまを医師にしたいとお考えの方も多いと思います。
皆さん自身が経験されたように、医師になるにはいくつかの道があります。
そして、「医師になるまでの道」は、選択肢によってかかる費用が大きく異なります。
今回は、「お子さまを医師にする」までにかかる費用を基に、最新事情を紹介します。

医学部へのルートの選択肢とそれにかかる費用

教育を受けるルートは学校の種類によって分かれていきます。
まず、小学校、中学校、高校について。
私立校と公立校で学費の格差があるのは当然です。試算によれば、私立校ルートでは高校卒業までに課外活動を合わせて約1,100万円かかると言われています。これに対して公立校ルートでは約680万円となり、この時点で学費の差が約400万円生じます。
そして、この先は大学に進学し、医師としての将来が具体的に近づいてくるわけですが、大学の段階については学校のタイプで大きく分けると「医科大学」と「総合大学の中に作られた医学部」の2つのルートに分かれます。また、それぞれに私立と国公立が存在します。
国公立の大学については一律の費用が定められています。
2016年度は入学金約30万円、授業料約350万円(6年間の総額)となっています。
初年度納入金については大学によって異なりますので、各大学のホームページなどで確認する必要があります。
国立大学に比べ、高額な費用が必要になる私立大学の場合、どの程度の金額がかかるのか見てみましょう。

私立大学の医学部に通う場合に必要となる費用はどれくらい?

私立大学に通う場合の学費を、いくつか例としてピックアップします。
・岩手医科大学:約3,400万円(寮に入居する場合は別途費用が必要)
・獨協医科大学:約3,660万円(その他として学友会費10万円・父母会費60万円)
・川崎医科大学:約4,700万円
・順天堂大学 :約2,080万円(寮に入居する場合は別途費用が必要)
※上記金額は6年間の総額

私立大学の学費は十数年前に比べると、各大学、減額しているものの、平均3,200万円となっており、費用分布は2,000万円台から4,000万円台となっています。(2016.4現在)
大学を選ぶにあたり学費など、費用面も気になるところですが、できれば大学ごとの強みや、将来どのような医師として活躍したいのか、目的から受験する大学を選ぶようにしたいところです。
学費については奨学金制度も活用できるので、どのようなサポート制度があるか把握しておくことをおすすめします。

進学サポート(支援制度)について

医学部か医科大学か?子どもを医師にするためにかかる費用

お子さまの医大進学をサポートする支援制度もいくつかの種類があります。
教育ローンや奨学金制度など、返済義務の有るものから無いものまで、さまざまです。
国の教育ローンについては、国立大学の6年間分の学費にあたる350万円までの借入が可能です。
一方、奨学金制度の中には、JASSO奨学金や大学の独自奨学金、地方自治体による奨学金などがあり、条件付きで返済不要となる給付型奨学金の制度もあります。
例えば、埼玉県医師育成奨学金の場合、埼玉県出身者であり、かつ、県外の大学に通う医師候補生であること。
また、埼玉県に戻って医療機関に就業する意思があることなどを応募資格とし、例年おこなわれている書類選考(小論文)と面接選考により、貸与候補者を確定しています。

平成27年度は、募集定員20名に対して119名の応募がありました。
入学金100万円と月額20万円が貸与され、貸与機関の1.5倍に当たる9年間埼玉県内で勤務すれば返済義務が免除されます。6年間で考えると1,500万円超になります。

必要の有無にかかわらず、進学サポートの制度についても情報を集めてみてはいかがでしょうか。
今回は医師を目指すルートによって、大きく費用が異なることをご紹介しました。
2007年医師不足を解決するため、厚生労働省による「緊急医師確保対策」が打ち出され、各自治体が一斉に奨学金制度を設立しました。また、各大学の学費も昔に比べ軽減されています。

皆さんの学生時代と比べて、現代の進学サポートは手厚くなっているのではないでしょうか。
いつどのような教育をお子さまが受けるのか、どこでどれくらい費用をかけるのか、段階を踏んでプランニングすることをおすすめします。

最終更新(2016/5/18)

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