記事・インタビュー

2018.08.01

[カナダ留学奮闘記 第4話] 出産・帰国とハーグ条約の壁!

独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 呼吸器内科
濵元 陽一郎

みなさま初めまして。独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院 呼吸器内科の濵元 陽一郎です。2013年9月より2年間カナダ ケベック州モントリールにありますマギール大学Meakisn-Christie Labへ喘息の基礎研究で留学をしました。42歳になってからの家族とともに海外への留学で、多くのトラブルも経験しましたが、多くの人に支えられ・助けられ無事に海外での研究留学を終えることができました。

2016年7月より埼玉県西部医療圏の西埼玉中央病院へ赴任し、新たに呼吸器診療を立ち上げ、研修教育へも力を注いでいます。カナダ留学前から留学生活などについて6回シリーズにてレポートして参ります。今回は第4話です。

留学2年目の2015年3月5日。我が家に3番目の子供を授かることになりました。ただ、義母が出産の手助けのため、カナダへ滞在中、突然の義父の死亡にて急遽状況が一変しました。家族の帰国、パパと新生児2人だけの生活、ハーグ条約の壁など海外ならではの問題が…。

第三子の誕生

第三子の誕生

モントリオールのHospital Saint-Lucで第三子が無事産まれました。義母が出産の手助けにとカナダまで来てもらい、母子ともに無事出産を終えました。出産までの苦労もありましたが、産まれてきた子の顔をみると全て忘れてしまいました。

突然の義父の死亡

日本で待っている義父とは、スカイプで生まれたばかりの子供を見てもらいました。しかし、突然義父の訃報で、急遽家族皆帰国です。子供たちは、小学校へお別れを伝え、翌日の飛行機で日本へ帰国しました。

幼稚園と小学校の仲間とのお別れ幼稚園と小学校の仲間とのお別れ

取り残された新生児とパパ

新生児とパパカナダの自宅ソファーで寝ている第三子

家族は皆無事帰国したのですが、新生児はまだ出生証明書や日本・カナダ両国のパスポートすらありませんので、最短で1週間、カナダのパスポートを入手できるまで二人で残留です。約3時間毎にミルクで泣きます。改めて、母親の偉大さを実感しました。また、ラボの仲間や日本人の友人が食事を持って来てくれ、本当に助かりました。

ハーグ条約の壁

家族が帰国して1週間後、ようやく両国のパスポートを入手でき、いざ帰国(日本のパスポートは臨時パスポート)。空港カンターで物言いが入りました。カウンターの職員より、「母親はどこにいる?」「Documentはあるのか?」と。

トロントでの二人飛行機の中と経由地トロントでの二人

ハーグ条約では、子供の連れ去りを防止するため、両親と一緒の帰国もしくは、書面での説明が必要になります。確かに、友人よりその内容を聞いていましたが、余裕がなく準備していませんでした。カウンター職員にこの1週間の出来事を泣きながら説明しました。しばらくすると、空港職員より「帰国していい」と許可が下り、無事に帰国することができました。経由地では、空港職員がカートで出迎えてもくれるような好待遇でした。

後に、モントリオール ブレテンの新聞へ、モントリオール日本人会を通じて今回のエピソードが掲載されることにもなりました。

■モントリオール ブレテン 2015年9月号
››› Montreal Bulletin Sept 2015 Japanese(PDF)

››› 第5話へつづく「残り半年の一人での研究生活」

濵元 陽一郎

濵元 陽一郎
卒業年度:1998年
留学先:McGill University(Canada)
Meakins-Christie Laboratory(Research fellow)
勤務先:独立行政法人国立病院機構 西埼玉中央病院
呼吸器科 https://www.westsaitamaresp.org
教育研修部 https://www.westsaitama-kenshu.com

濵元 陽一郎

[カナダ留学奮闘記 第4話] 出産・帰国とハーグ条約の壁!

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